ハイビスカスの花言葉
ハイビスカスの花言葉の由来
(1)マレーシアの国花に意味づけられた花言葉ハイビスカスの花はマレーシアの国花に定められているが、その選定にあたっては紆余曲折があったとされる。マレーシアが建国を果たす前、「マラヤ連邦」としてイギリスから独立を果たした1958年に、新国家の国の花としてハイビスカスやジャスミン、バラなど、7つの候補が挙げられた。この中から一つに絞るにあたって、国民に行ったアンケートでは、バラを推すマレー系、ジャスミンを推す華人を中心とする移民系などで意見が分かれてしまう。検討を重ねて最終的に国が選んだのはハイビスカスだった。国土のほぼ6割が熱帯雨林で覆われている同国では至る所にハイビスカスが自生しており、国民にとって身近な花であったこと、なおかつマレーシアが国家として成立した1960年代前半は、ハイビスカスを国花としている国がまだどこにもなかったことなどが採用の理由だとされている。
国花であるハイビスカスには、多民族国家として共存を図りながら統治を進めていこうとする国の方針を、より鮮明に示すものとして、5枚ある花びらの1枚1枚にそれぞれ意味付けがなされている。「神への信仰」「国王ならびに国家への忠誠」「法律の遵守」「法による統治」「良識ある行動」がそれである。イスラム教徒が多数を占めるマレーシアではあるが、信仰の自由は誰にも認め、自らの信じる神に篤く帰依することを奨励した。神への信仰と同様に、国王や国家、法律、法による治安の維持、責任ある行動などを国民に求め、国は国民に信頼を寄せているというメッセージをハイビスカスの花びらに込めて託した。「あなたを信じます」という花言葉は、花びらに込められたこの国民へのメッセージが由来となったとされている。
(2)ヒンドゥー教の神話にまつわる花言葉
ヒンドゥー教の女神であるカーリーは、破壊と再生をつかさどるシヴァの妻であり、この上ない凶暴性を持った破壊と殺戮の象徴ともみなされている。「黒」を意味するカーラーが名前の語源となったとされ、その名のとおり黒い肌で4本の手を持ち、首には戦いに勝って刎ねた魔物の生首を数珠のようにつなげてかける姿が神像として描かれている。魔物をせん滅し、その血を飲んで酔ったカーリーが狂喜乱舞し、その激しすぎるダンスが大地を揺らして世界を壊しそうになったため、見かねた夫のシヴァ神が地に横たわり、カーリーの足の下に入り込んでいさめたのでようやく正気に戻って躍るのをやめた、という言い伝えが残されているほどその強さと破壊力は際立つとされている。
ヒンドゥー教においてハイビスカスは、黒女神の異名を持つこの憤怒の女神カーリーと、知恵と学問の神ガネーシャへの供物として使用されるものである。さらにハイビスカスはこのカーリー女神の花とされ、戦いに常に勝利をもたらすカーリーと融合し一体化したものとして描かれることが多いことから、「勝利」はハイビスカスの花言葉の一つとなった。
ハイビスカスの英語の花言葉
ハイビスカスの英語の花言葉は「delicate beauty(繊細な美)」。ハイビスカス、色別の花言葉の解説
#オレンジ色「繊細な美」オレンジ色は、黄色とともに南国の太陽の力強い輝きを象徴している一方、赤みがかったその色合いによって、日の盛りから陰りへと移ろう変化をも表している。その微妙な移ろいの姿を「繊細な美」という花言葉で彩った。
#黄色「輝き」
黄色は力強く明るい太陽の光を連想させ、目にする者の気持ちを明るくするパワーに満ち溢れている。南国の日の光を受けて燦然と輝くそのさまを表す花として黄色のハイビスカスには「輝き」という花言葉が付いた。
#赤色「勇敢」「常に新しい美」「新しい恋」
赤色は燃え盛る炎や炎天下に輝く太陽を連想させ、情熱的なエネルギーに満ち溢れる南国カラー。見る者を圧倒するその威風堂々とした色合いは「勇敢」という花言葉を連想させる。また、ハイビスカスは朝に咲いて夕方には花がしぼむ1日花。限られたその時間の中で、色あせることなく毎日次々と新しい情熱色の花を咲かせる様子が「常に新しい美」「新しい恋」という花言葉を生んだ。
#ピンク色「華やか」
柔らかできらびやかな雰囲気に彩られ、見る者に和やかな印象を与えるピンク色は、包容力と繊細な美しさを併せ持つロマンチックカラー。花の中心を彩る赤色からのグラデーションは鮮やかで、ピンク色のハイビスカスには「華やか」という花言葉が用いられるようになった。
#白色「艶美」
南国のエネルギッシュな太陽の光を浴びながら、白色に咲くハイビスカスは見る者に落ち着きを与える。原色の花々の中にあって気品と純粋さを保つ白色は、控えめでありながらも美しさを感じさせる成熟した女性の艶やかな姿を連想させることから「艶美」は白いハイビスカスの花言葉として定着した。
ハイビスカス、本数別の花言葉の解説
ハイビスカスには、本数によって意味が変わる花言葉は特にない。ハイビスカスの怖い花言葉
華やかなイメージに彩られるハイビスカスだが、その花言葉の一つ「繊細な美しさ」には、「血の滴り」や「死後」を想起させる意味も含まれている。(1)ハイビスカスの中心が赤い理由となったハワイの伝説
青やオレンジ、白、赤、ピンク色など、色とりどりの華やかな花を咲かせるハイビスカスだが、いずれの花の中心も花柱は繊細で美しい形状をしており色は赤い。花の中心が赤いのはなぜなのか、ハワイにはその由来を伝える次のような伝説がある。
その昔、ハワイに住んでいた妖精たちは島に咲く花の世話をしながら暮らしていた。しかし妖精の王女の娘だけは花の世話をするのを面倒に思い、怠けて過ごして少しも働かなかった。見かねた妖精の女王は娘に仕事をさせようと、ハイビスカスの雄しべを花の中心に縫い付ける作業を命じた。仕事をしたくない娘は泣く泣く針を使い始めたが、いやいや縫い付けしているうちに誤って指に針を刺してしまった。指から滴り落ちた血はハイビスカスの中心を染めて赤く染まる。女王はそれを見てハイビスカスを責めた。ところが責められたハイビスカスは「私は何も悪くない」とつぶやいたため、それを聞いた女王が怒りハイビスカスを踏み付ける。何度も踏んでようやく気が晴れた女王は、自分の仕打ちを反省してハイビスカスに謝ったので、ハイビスカスも謝罪を受け入れて女王を許した。しかし、ハイビスカスの中心に染みついた血の赤色は消えることがなく、それ以後どのハイビスカスも中心が赤く染まって咲くことになった。
(2)沖縄に自生するハイビスカスはお墓にも手向けられる花
沖縄に自生するハイビスカスの中には「ブッソウゲ」と呼ばれる種類がある。「扶桑花」「仏桑華」と桑の字を用いて表記するのはブッソウゲの形状が桑の葉に似ているためかともいわれているが、「ブッソウゲ」は他にも「後生花(グソーバナ)」などと呼ばれることもある。沖縄では古くからこのブッソウゲを墓や仏壇に供え、また墓地周辺に植える習慣があった。沖縄の民間信仰では、死後の世界を「後生(グソー)」といい、死者はそこで生前と同じような生活をするものと信じられている。そこに手向ける後生花は故人の死後の幸福を願い、祈りを捧げる花として用いるものであるから、「仏」の文字を用い「仏桑華」とも書き表すのだとされている。ハイビスカスの花言葉「繊細な美しさ」には、このように故人の後世での幸せを祈る、人々の細やかな心情が込められている。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
- ハイビスカスの花言葉のページへのリンク