オリンピック旗授受
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 03:22 UTC 版)
「2016年リオデジャネイロオリンピックの閉会式」の記事における「オリンピック旗授受」の解説
2020年東京オリンピックに向けて、リオデジャネイロから東京への五輪旗の授受を行うフラッグハンドオーバーセレモニー(Flag Handover Ceremony)が行われた。式全体のクリエイティブスーパーバイザーを務めたのは佐々木宏と音楽監督も兼任する椎名林檎の二人、総合演出と演舞振付にはMIKIKOが、そしてクリエイティブディレクターとして菅野薫が参加し、この4名でクリエイティブチームを構成。アドバイス担当は宮田亮平、竹内誠、オリンピアン・小谷実可子、パラリンピアン・田口亜希の4名で構成された。 各パートの音楽は椎名自身の楽曲のほかに三宅純、H ZETTRIO、中田ヤスタカの楽曲が使用された。東京を紹介するプロモーションムービーの映像は、制作チームのチーフ映像ディレクターとして映像作家の児玉裕一が手掛けた。演出に当たっては、如何にして「現代の東京(日本)」を表現するかを巡って4人の間で激論が交わされた結果、現代の日本の中に息づく「目に見えない伝統」を表現するという方向性が定まり、敢えて日本的なもの(武士や忍者などを使った演出、あるいは衣装に典型的な和服を用いること、など)を排除し、精密な動きなどで日本人ならではの規律や調和を表すことになった。選曲にあたっても、ショー全体の演出と振り付けを担当したMIKIKOから渡された音楽資料(すべてSOIL&"PIMP"SESSIONSの楽曲だったという)からMIKIKOのイメージする音楽を汲み取った椎名は、それまでの日本の国家的大型イベントで多かった伝統楽器で演奏されるような分かりやすい「和」の曲はあえて選ばなかった。 式ではまずオリンピック旗がエドアルド・パエス(英語版、フランス語版、ポルトガル語版)リオデジャネイロ市長からIOCのトーマス・バッハ会長、そして次期開催都市東京の首長である和服姿の小池百合子都知事へと引き渡され、続いて次期開催地である東京の8分間に渡る紹介演技が披露された。 日本の国歌である『君が代』合唱(編曲:三宅純)と日本国旗掲揚の後から始まった「ARIGATO FROM JAPAN」(音楽:三宅純「ANTHEM OUTRO」)では、全面赤に染まったリオの会場のフィールドがトヨタ・ウィングレットに乗って移動するパフォーマーたちの動きに合わせて少しずつ赤い部分が中央に収束して白い部分が現れ、やがてフィールドには日本国旗を模した巨大な日の丸が現れた。その後、日の丸が「RIO」「OBRIGADO」「ARIGATO」の人文字に変わると、周囲にも「THANK YOU」や「MERCI」など、「ありがとう」を様々な言語で現した人文字が出現し、それらはやがてウィングレットの動きに合わせて様々な言語で「ありがとう」を意味する赤いタイポグラフィに変わり、最後は「FROM JAPAN」の人文字が解散する映像に切り替わった。 ここから映像パートに切り替わり、前半は「WARMING UP! TOKYO 2020」をテーマに、土橋ココ(2016年全国高等学校体操競技選抜大会女子個人総合優勝)が午前9時30分の渋谷スクランブル交差点で演技するところからスタートした。椎名の「ちちんぷいぷい」(編曲:村田陽一)が流れる中、秋田新幹線のこまちと並んで泳ぐ北島康介、雷門をバックに背負い投げをする阿部一二三、首都高速道路をネットに見立てて打球を返す加藤美優など、アスリートらによる競技イメージと東京の名所などを組み合わせた映像の間に、東京の夜景やAyaBambiのダンスに加え、岬太郎と共にツインシュートを繰り出す大空翼、陸上のトラックを模したステージでモンスターと競走をするパックマン、QFRONTの街頭ビジョン(Q's EYE)の中でのび太、しずか、スネ夫、ジャイアンと共にタケコプターで空を飛ぶドラえもんたち、チアガールに扮したハローキティといった、日本を代表するマンガやゲームの人気キャラクターたちが次々と登場した。 映像パートの後半では、H ZETTRIO「Neo Japanesque」「Get Happy!」のミックスをバックに、水に潜った北島が日の丸を模した赤いボールを拾って投げると、ボールはハローキティを伴走者にした高橋尚子、オーバーヘッドキックを繰り出す大空翼、パックマンとパンチを繰り出す村田諒太とリレーされ、最後は安倍首相の手に渡った。安倍首相を乗せたリムジンが国会議事堂を出発すると、安倍首相は腕時計を見て、「(このままでは)リオに間に合わない」と察してマリオに変身、赤いボールを持って渋谷を走っているとドラえもんと合流。ドラえもんがポケットから土管を取り出すと東京(渋谷)からドリルで地面に穴を開けて地球のほぼ真裏にあるリオデジャネイロに到達するというアニメーションが流れ、会場にも土管が現れる。マリオが土管に入る直前、マリオが持っている「RIO」と書かれたパンフレットを開くと「MARIO」と書かれており、マリオが土管を通り抜けると映像パートが終了し、会場に現れた土管からマリオに扮した安倍首相本人が登場するという演出が行われた。 その後、中田ヤスタカの「1620」が流れると、会場には東京で実施予定の33の競技を現したアニメーションがARで浮かび上がった(AR演出のプログラミングはライゾマティクスが担当)。その後はELEVENPLAYのメンバー20人、青森大学男子新体操部のメンバー20人、5人の男性ダンサーで構成された総勢50人のパフォーマーによる、プロジェクションマッピングや45個の光る四角形のフレームなどを使った、33の競技をモチーフにしたアクロバティックなパフォーマンスが披露された。 曲が椎名が提供した「望遠鏡の外の景色」(編曲:村田陽一)に変わるとフィールドに東京の夜景が映し出され、ダンサーの手拍子を挟んで、衣装を変えたダンサー達による応援団をモチーフにした「応援の舞」、手旗信号で感謝を表す「ありがとうの舞」、日本の礼儀作法を取り入れた「おもてなしの舞」が披露された。徐々に集まったフレームが東京五輪の市松模様エンブレムを形作った後、フレームとダンサーが横一列に並び始め、フィールドには徐々に富士山と太陽を模した日の丸を背景に東京の街並みを表した影絵(左からレインボーブリッジ、東京都庁舎、東京タワー、東京スカイツリー、浅草寺、国会議事堂)が現れる。すると横一列に並んだダンサー達が一斉に踊りはじめ、土管の中から東京スカイツリーの模型が出現、影絵の下には「SEE YOU IN TOKYO(東京で会いましょう)」というメッセージと東京大会のエンブレムが映し出された。 パフォーマンスが終わるとダンサーが一斉にお辞儀をし、安倍首相の「SEE YOU IN TOKYO!」のかけ声でボールが北島に手渡されたのを合図に『スーパーマリオブラザーズ』のコースクリアファンファーレとともに日本をイメージした赤と白の花火が打ち上がってパフォーマンスは幕を閉じた。なお、この花火の演出を担当したのは池端信宏(加山雄三の長男)である。 カルロス・ヌズマン五輪組織委員長、バッハIOC会長の挨拶が行われリオ市民にオリンピックカップを授与すると発表、その後、バッハ会長が閉会を宣言した。
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