アヘン史とは? わかりやすく解説

アヘン史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 14:10 UTC 版)

アヘン」の記事における「アヘン史」の解説

アヘン極めて古くからその存在知られている。紀元前3400年頃にはメソポタミアケシ栽培されていたと考えられており、紀元前3000年頃に記述されと見られるイラン見つかった石版にはシュメール人乳液採取について記述されている。紀元前2000年頃には、ヨーロッパや、中央アルプスケシ栽培伝わった紀元前1500年頃にエジプトにてアヘン製造がされていた事がわかるパピルス文献が見つかっている。文献によればアヘン当時エジプトにおいて鎮痛剤などの薬剤として用いられていた。メトロポリタン美術館にある、アッシュールナツィルパル2世宮殿にあった紀元前879年作られ浮き彫り有翼神獣は、美術館ザクロ述べているもののケシ未熟果の束を運んでいる。 紀元前300年頃のギリシャ哲学者であるテオプラストス著書に、アヘンについての記述を見ることができる。ギリシャ神話では、アヘン発見者女神デメテルとされている。ローマ帝国ネロ時代医師ディオスコリデスは、アヘン採取法及び薬効著書の中で詳しく述べている。この時代には、アヘンはすでに鎮痛剤睡眠剤として利用されていた。一部遊興的な使用行われたが、多く薬用であった英語名opiumは、この時代ラテン語opium引き継いだのである古代ヨーロッパにおけるアヘン使用は、西ローマ帝国滅亡により、一時廃ることとなった5世紀前後イスラム圏交易網が発達しインド中国アフリカ中部などの各地アヘンもたらされた。アラブ商人医薬品としてアヘン商品みなしていた。東アジアにも伝来したシルクロード通じてアラブ商人持ち込んだ考えられている。500年頃薬学者であった陶弘景により編纂された『唐本』には医薬品としてアヘン記述がある。それ以前に、シルクロード通じて持ち込まれ医薬品底野迦てりあか)にはアヘン含まれていたとの指摘がある。 11世紀前後イスラム圏との接触経てアヘンヨーロッパに再伝来した。再び、医薬品として用いられた。15世紀頃からは麻酔薬としても用いられた。20世紀初頭までは民間療法薬剤として用いられた。 大航海時代経て西欧諸国による海上貿易において、アヘン重要な商品となった中国では、西欧諸国、特にイギリスによりアヘンもたらされアヘン禍に陥るイギリス交易において三角貿易構造構築しアヘン用いて資産獲得した。このアヘン貿易は、規模対象時代こそ違うものの諸国においても同様の交易が行われた。 清国では、上海など都市の河沿い地域使用者多く当初運搬船の停泊船内宿場などで煙草混ぜて吸入されていた。19世紀、このアヘン蔓延危機感つのらせ清国イギリス商人アヘン焼却したことが、イギリス清国の間で、アヘン戦争1840年-)の引き金となった。しかし、この紛争後アヘン流入量が縮小されず、市中では次第に半固形阿片膏を煙管キセル)に入れて吸入するようになっていた。この携行しやすい阿片膏によって、より清国内の広域アヘン浸透アヘン窟伝播した。20世紀初頭の清末には、清国の上流層にもアヘン一部流れていたとされており、清滅亡後1930年代においても、煙管など吸引用品取扱店や「大煙」と看板掲げた煙館など、アヘン関係の店が各地でみられた。 ヨーロッパにおいては、「アヘン危険性認知」や「アヘン習慣を持つ者が多い中国人各地への移住とそれによる中国人コミュニティーとの接触に伴い19世紀には反アヘン運動高まったまた、アメリカ・カナダへの中国人労働者流入ともに、特にサンフランシスコはじめとする地域アヘン窟みられるようになり、1875年至りドラッグ法制定など対策が行われた。 20世紀初頭から国際間におけるアヘン統制が始まる。1912年にはハーグ阿片条約調印されアヘン貿易制限された。1920年国際連盟成立してからは、連盟統制に関する職務負い国際機関設置された。1926年第一第二阿片会議条約では、アヘン使用に関して統制され1928年麻薬製造制限条約においてアヘン貿易は完全に禁止された。国際連合移行後も、同様の統制体制持続し現行の1961年麻薬に関する単一条約においてもアヘン統制されている。

※この「アヘン史」の解説は、「アヘン」の解説の一部です。
「アヘン史」を含む「アヘン」の記事については、「アヘン」の概要を参照ください。

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