「さまよえる湖」とは? わかりやすく解説

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「さまよえる湖」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 08:52 UTC 版)

ロプノール」の記事における「「さまよえる湖」」の解説

古来中国西域呼ばれる地域にあるロプノールは、「塩沢」あるいは「昌海」などという名で知られ紀元前1世紀頃の漢の時代には、「縦横ともに300里の鹹湖(かんこ)で、冬も夏も水量変わらない」と『漢書西域伝序』に記され広大なであった西岸には都市国家楼蘭栄えシルクロード要衝となっていた。 しかし、3世紀頃からこの地域一帯乾燥化進んだ見られており、豊富な失った楼蘭4世紀以降急速に衰退していった。 ケリヤ ニヤ ホータン(于闐) カルギリク 且末 ヤルカンド(莎車) イェンギサール 若羌 カシュガル 陽関 巴楚 ロプノール 敦煌 玉門関 楼蘭 アクス 烏什 亀茲 コルラ クチャ 輪台 焉耆 高昌 ハミ トルファン アルマトイ ウルムチ グルジャ 阿拉山口 カラマイ チョチェク アルタイ スイアブ 鎖陽城 アルタイ山脈 天山山脈 崑崙山脈 パミール高原 アルチン山脈 タクラマカン砂漠 クムタグ砂漠 グルバンテュンギュト砂漠 西域地図東トルキスタン/新疆ウイグル自治区このためシルクロードいわゆる「オアシスの道」も、楼蘭経由するルート往来困難になり、唐の時代までには敦煌または少し手前安西から北上西進しトルファン通り天山山脈南麓コルラへ出るルート中心となった。 こうして楼蘭ロプノールいつしか流砂中に消えてゆき、ついにはどこにあったのかもわからない伝説上の存在となった13世紀に元の都を訪れたヴェネツィア商人マルコ・ポーロは、カシュガルから西域南道辿り、湖の南縁をかすめるルート敦煌達したとされているが、『東方見聞録』の中でロプノールには全く言及していない。 1876年から1877年にかけて内陸アジア冒険旅行敢行したロシア軍大佐ニコライ・プルジェヴァリスキーは、タリム川下流南東ないし南に向かって流れており、砂漠南部にカラ・ブランとカラ・コシュンという2つの湖を形成しているのを発見した。これらの湖は、中国古文書などから推定されるロプノール位置より緯度にしておよそ1度にあったが、プルジェヴァリスキーはこれがロプノールであると主張した。 この発見賞賛する声がある一方、「シルクロード」という呼称最初に提唱したドイツの地理学者リヒトホーフェンは、これらが淡水湖であることから、まだ生まれて間もない新しい湖に違いなく、塩湖であるとされるロプノールタリム川東へ向かう支流先にあるはずだから、どこかで支流見落としたのだろうと指摘した。 しかし、「川を渡るのはいつも苦労の種だったから、もしそのような支流があれば見逃すずがない」とプルジェヴァリスキー反論し決着はつかなかった。 リヒトホーフェン弟子で、スウェーデン地理学者中央アジア探検であったスヴェン・ヘディンは、19世紀末から20世紀初頭にかけてこの一帯踏査し1900年カラ・コシュンのはるか北方楼蘭遺跡発見した。その北側にはクルク・ダリヤ(乾いた川)と呼ばれる東西方向伸びる干上がった川床存在することも知られていたことから、ヘディンタリム川かつてはこの川床を東に向かって流れており、楼蘭の東から南にかけて広がっている低地注いでいたに違いない考え、これこそがロプノールであると確信した綿密な調査結果カラ・コシュン流入する泥土繁茂する植物の残骸などの沈積によって次第浅くなっていき、一方干上がっているロプノールは強い東北東風による風食表土削られ標高が下がり、やがて高低差逆転すると、タリム川が再び流れ変えて、かつてのロプノールに戻るはずだとヘディン考えた。 およそ1600年前にはその反対現象起こってロプノール干上がり砂漠の南に新たな湖が生まれた違いない。 つまり、この一帯標高差がわずかしかないため、末端湖や川床対す堆積侵食作用によってタリム川流路がある期間を経て大きく変化し、それに伴って湖の位置移動するのだとする学説打ち立てロプノールを「さまよえる湖」と呼んだのである1928年トルファン滞在していたヘディンは、この地の商人から1921年タリム川が東に向かって流れ変えたという話を聞いた当時中国国内複雑な事情で、すぐには現地入れなかったが、1934年ヘディン干上がってクルク・ダリヤと呼ばれていた川、戻ってきてからはクム・ダリヤ(砂の川)と呼ばれるようになった川をカヌー下って満々とたたえたロプノール到達し予言正しかったことを自らの目で確かめることができた。 こうした事実ヘディン自身著書によって、「さまよえる湖」説は広く知られているが、これはあくまでもひとつの仮説である。ロプノールについてはヘディンの他にも多く学者研究成果発表しており、それらの中には「湖の移動などは起きていない」とする説も存在する

※この「「さまよえる湖」」の解説は、「ロプノール」の解説の一部です。
「「さまよえる湖」」を含む「ロプノール」の記事については、「ロプノール」の概要を参照ください。

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