「さまよえるユダヤ人」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:19 UTC 版)
「反ユダヤ主義」の記事における「「さまよえるユダヤ人」」の解説
「さまよえるユダヤ人」の伝説は近世にさかのぼる。1602年、ドイツのクリストフ・クロイツァーが『アハスウェルスという名のユダヤ人をめぐる短い物語』で、ユダヤ人はイエス磔刑の証人としてイエス再臨(最後の審判の)までさまよい歩くという劫罰を言い渡されたという「さまよえるユダヤ人」の伝説を出版した。この伝説の背景には、1208年のインノケンティウス3世の勅書での「イエスの血の叫びを身に受けてやまないユダヤ人たちはキリスト教徒の民が神の掟を忘れないようにするため、決して殺されてはならない」が、ユダヤ人はキリスト教徒が主の名を探し求める時代が来るまで地上のさすらい人であり続けなければならないという記述がある。 「さまよえるユダヤ人」という主題は16世紀以来の伝説で、ゲーテ、シューバルト、シュレーゲル、ブレンターノ、シャミッソー、グツコー、バイロン、シェリー、ワーズワースたちが扱い、1833年には共和党左派の歴史家エドガール・キネが『さまよえるユダヤ人―アースヴェリュス』で労苦にあえぐプロメテウスやファウストの象徴を援用した。1844年、シューは「さまよえるユダヤ人」を連載した。こうしてユダヤ人への神話的なイメージは、裏切り者であった「イスカリオテのユダ」から「さまよえるユダヤ人」に変わっていった。 世紀末には精神科医シャルコーがユダヤ人は放浪生活という神経疾患にかかりやすいと考え、助手のアンリ・メージュに「さまよえるユダヤ人」の研究を委託し、メージュはユダヤ人の放浪癖、旅行病は人種的な神経疾患であると結論した。
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