放線菌 放線菌の概要

放線菌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 01:34 UTC 版)

放線菌
グラム染色したビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)の顕微鏡画像(1000倍)
分類
ドメイン : 真性細菌
Bacteria
: 放線菌門
Actinomycetota
学名
Actinomycetota
Stackebrandt et al. 1997
タイプ属
アクチノマイセス属
Actinomyces

Harz 1877[1]
(IJSEMリストに記載 1980[2])
シノニム
  • Actinobacteria
    (ex Margulis 1974)
    Cavalier-Smith 2020
  • Actinobacteria
    Goodfellow 2012
  • Actinobacteraeota
    Oren et al. 2015
  • Actinobacteriota
    Whitman et al. 2018
下位分類([3]

放線菌は高次分類群としてアクチノマイセス門(Actinomycetota、放線菌門)に属する。分類学的には下記に示す多くの属がアクチノバクテリア綱(放線細菌綱)に分類されるが、マイクロコッカス目(Order Micrococcales)の各属のように菌糸形態を示さないものは便宜的に放線菌として扱われないこともある。

ストレプトマイセス属Streptomycesなど典型的な放線菌では空気中に気菌糸を伸ばし胞子を形成するので、肉眼的には糸状菌のように見える。多くは絶対好気性土壌中に棲息するが、土壌以外にも様々な自然環境動植物病原菌としても棲息している。また病原放線菌として知られるアクチノマイセス属Actinomycesとその関連菌群などのように嫌気性を示す放線菌も一部存在する。放線菌のDNAはそのGC含量が高く(多くは70%前後)、それがこの菌群の大きな特徴である。

発見

1875年 フェルディナント・コーン によってヒト涙管の結石から病原微生物として見つけられたのが最初とされている[4]

学名Actinobacteria は、ギリシア語光線放射を意味する ακτίς(アクティース)とバクテリア合成したもの。また、放線菌類を意味する一般名詞 Actinomycete は、ακτίς に、菌類を意味する接尾語 -mycetes(ミュケーテース、語源はギリシア語で菌を意味する μύκες(ミュケース))を合わせたものである。

概要

特になど寒い季節落葉の下の寒い場所を好む。竹林など多くの場所に生息している。

堆肥発酵に関与する。放射菌は多様なキチン質を利用するために最も適応したゲノムを持っている[5]。土壌にキチンを増やすと放射菌とまた、グラム陰性菌が増加する[5]。キチンは、カビ[6]昆虫甲殻類カニ殻やエビ殻等)の外骨格に含まれ、土壌改良材に使われている[5]。土壌にキチンを加えることで、キチンは放射菌によるキチナーゼという酵素によって分解され、糸状菌等の病原菌の活性を抑制する効果があるとされる。

以下に放線菌の主な属を示す。


  1. ^ Harz CO (1877-1878). “Actinomyces bovis, ein neuer Schimmel in den Geweben des Rindes”. Deutsche Zeitschrift für Thiermedizin 5: 125-140. 
  2. ^ R. E. Buchanan (1 March 1917). “STUDIES IN THE NOMENCLATURE AND CLASSIFICATION OF THE BACTERIA II. THE PRIMARY SUBDIVISIONS OF THE SCHIZOMYCETES”. Journal of Bacteriology 2 (2): 155-64. doi:10.1128/jb.2.2.155-164.1917. PMC 378699. PMID 16558735. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC378699/. 
  3. ^ Phylum Actinomycetota”. List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature. 2023年1月12日閲覧。
  4. ^ a b 鈴木伸一、幻の放線菌を探せ 新薬天然物探索ソースとしての放線菌 化学と生物 Vol.44 (2006) No.3 P163-171, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.44.163
  5. ^ a b c 齋藤明広「キチン分解の分子微生物学と土壌微生物学」『土と微生物』第68巻第2号、2014年、79-80頁、doi:10.18946/jssm.68.2_79 
  6. ^ a b 『図解でよくわかる土壌微生物の基本』pp24-25.
  7. ^ 高麗寛紀 (2013年11月6日). よくわかる微生物学の基本と仕組み. 秀和システム. pp. 58. ISBN 978-4-7980-3963-3 
  8. ^ よくわかる微生物学p59
  9. ^ a b よくわかる微生物学p60
  10. ^ 『よくわかる微生物学』p61
  11. ^ 山中高史、岡部宏秋「ヤマハンノキの根粒から分離されたフランキア菌」『日本林學會誌』第77巻第3号、一般社団法人日本森林学会、1995年5月1日、269-271頁、NAID 110002830676 
  12. ^ a b c d 大木孝一、和田公平、山本祐三ほか、頭頸部放線菌症の2症例 耳鼻咽喉科臨床 Vol.86 (1993) No.12 P.1757-1762, doi:10.5631/jibirin.86.1757
  13. ^ 山崎芳樹、岡崎千重『前頭洞放線菌症例について』 耳鼻咽喉科, 44巻 9号,p.605-610, 1972/9/20
  14. ^ a b 駒林優樹、片田彰博、野村研一郎ほか、舌放線菌症の1例 口腔・咽頭科 Vol.15 (2002-2003) No.1 P.77
  15. ^ 森田志保、本田泰人、藤島卓哉ほか、経気管支肺生検で診断し得た肺放線菌症の1例 日本胸部疾患学会雑誌 Vol.32 (1994) No.7 P. 676-679, doi:10.11389/jjrs1963.32.676
  16. ^ 伊藤浩信、中村眞一、岡本和美ほか、虫垂周囲放線菌症の1例 日本臨床外科医学会雑誌 Vol.58 (1997) No.9 P.2080-2083, doi:10.3919/ringe1963.58.2080
  17. ^ a b 菅淳一、上田祐滋、亀井隆史ほか、『誤嚥された魚骨片により惹起された腹壁放線菌症の1例』 臨床外科 39巻 4号, p. 551-553, 1984/4/20
  18. ^ 齋藤孝晶、小谷野憲一、松田巌、小児における腹部放線菌症の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.64 (2003) No.2 P.474-478, doi:10.3919/jjsa.64.474
  19. ^ 木村幸紀、荒木和之、花澤智美ほか、顎放線菌症のCT・US所見 歯科放射線 Vol.41 (2001) No.4 P.231-239, doi:10.11242/dentalradiology1960.41.231
  20. ^ 貴島孝、白尾一定、桑畑太作ほか、大網放線菌症の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.75 (2014) No.9 p.2569-2573, doi:10.3919/jjsa.75.2569
  21. ^ 前島将之、安藤俊史、佐藤泰則、医原性異物に関連して発症した上顎洞放線菌症の1例 日本口腔外科学会雑誌 Vol.52 (2006) No.10 P.523-526, doi:10.5794/jjoms.52.523
  22. ^ George Garrity, ed (2005). Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Volume 2 : The Proteobacteria. Springer US. ISBN 978-0-387-29299-1 
  23. ^ 'The All-Species Living Tree' Project.16S rRNA-based LTP release 123 (full tree)”. Silva Comprehensive Ribosomal RNA Database. 2016年3月20日閲覧。


「放線菌」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「放線菌」の関連用語

放線菌のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



放線菌のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの放線菌 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS