復旧作業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:51 UTC 版)
「ミネアポリス高速道路崩落事故」の記事における「復旧作業」の解説
死亡した被災者の収容には3週間以上かかった。国家運輸安全委員長マーク・ローゼンカーの要請により、米国海軍は潜水士17名と指揮統制要員5名を移動潜水サルベージ部隊から派遣した。8月7日に潜水士とFBIの水中証拠捜索対応チームが合流し、FBI提供のサイドスキャンソナーや潜水艦2隻を含めトラック数台分に積まれた特殊装備が運び込まれた。海軍の潜水チームは到着後数時間で川への潜水作業を開始し、以後3週間は任務の復旧部分が完了するまで24時間体制で作業を実施した。 FBIチームは無人潜水艦での捜索を計画していたが、瓦礫箇所や濁った水の中を操縦するには大きすぎるため、この計画を放棄せざるをえなかった。ミネアポリス警察のマイク・マーティン警部は「公安潜水士の訓練されたレベルならお茶の子さいさいで、この事案を簡単にやってのけます。遺体は彼らが岸から岸へと渡っていける水域にあり、車両は潰れていないので中に入っての捜索も可能です。彼らはその幾つかを取り出すことに成功しました。私たちが現在着目しているのは、橋の路面と構造材の下にある車両です」と語った。 ヘネピン郡周辺にある郡の救急隊員やボランティア要員、ウィスコンシン州セントクロワ郡の救急医療・潜水救助隊ほか待機状態だったものも含め、75の地方、州、連邦機関がこの救助と復旧に携わった。連邦政府の支援はアメリカ国防総省、国土安全保障省、陸軍工兵隊、沿岸警備隊からであった。地方自治体を支援したAdventure Diversという民間企業もあった。 地元企業は初動対応者達に、無線インターネット、氷、飲料、食事を寄贈した。救世軍 (宗教法人)は救助作業者に食糧と水を提供した。役職員チームが病院に派遣され、医療施設8か所に搬送された負傷者の事後状況を確認した。 ミネアポリス警察チャプレン部隊局長は、到着すると被災者家族のために家族支援センター(FAC) の設置および運営を依頼された。彼は、市の保健家族省の支援および関連するヘネピン郡公務員達の場所と人員配置を調整した。チャプレン監督官と牧師長は現場に着くと、午後8時までにFACを設置するよう支援した。追加のミネアポリス警察チャプレン達が到着すると、彼らは被害者家族に各種礼拝を執り行い、家族を見つける支援をするなど温和な存在感を醸し出した。8月20日に最後の犠牲者が川から回収された。 8月8日時点で、500名以上の赤十字職員達が、悲嘆、心的外傷、行方不明、医療の問題を抱える2000人をカウンセリングし、ボランティアの人達は7000食を初期対応者にふるまった。 初期救助に続いて、ミネソタ州運輸局は土木解体請負業者Carl Bolander&Sonsを留まらせ、崩落した橋の撤去や落下せずに残ったスパンの解体を実施した。 8月18日、潜水士達は一旦水から揚がるも、隊員らは橋の路面、梁、桁といった箇所を除去して潜水での行き来を改善したいと考えていた。8月21日、最後の遺体が残骸から収容された後で、会社作業員は橋の残骸を解体し始めた。作業員はまず橋に足止めされた車両を撤去した。8月18日までに、取り残された自動車とトラック88台のうち80台が警察の保管所に移され、そこで所有者は自分の車を請求できるようになった。その後、作業員はクレーンやコンクリートを破砕する部材を備えた掘削機を使って、橋の路面除去に移った。その後、構造鋼がクレーンで解体され、コンクリートの橋脚は掘削機で取り除かれた。国家運輸安全委員会(NTSB)の職員は、橋の残骸を取り除く際に細心の注意を払って後日の分析のため橋の素材をできるだけ多く残すよう解体作業員に依頼した。10月末までに解体作業は概ね完了し、11月1日には新しいI-35W橋の建設に着手できるようになった。進行中の崩落調査の一環として、橋の残骸の多くは近くのボヘミアン・フラッツに一時保管され、2010年秋にアフトン (ミネソタ州)の保管施設に移された。連邦職員は崩落原因の特定に向けた分析のため、橋の鋼鉄やコンクリートの一部をワシントンD.C.にあるNTSB素材研究所に運ぶことを計画した。またNTSBは目撃者にも聞き取り調査を行った。 ピーターズ長官は、崩落の翌日に米国運輸省がミネソタ州に500万ドルを供与したと発表した。8月10日、長官は「先週の橋崩落をきっかけに通勤用運行をする輸送業務増加に対してミネアポリスに償還する目的」で「ミネアポリス」や「州」に向けて追加の500万ドルを発表した。米国議会は、緊急時の歳出について事案ごと1億ドルという上限を撤廃した。米国上下院は満場一致でミネソタ州への非常時基金2.5億ドルを可決し、8月6日にはブッシュ大統領がこれに署名した。 8月10日、ピーターズ長官は緊急の非常時支援金5000万ドルを表明した。AP通信は、この5000万ドルは2億5000万ドルの頭金ながら歳出委員会による承認がまだ通っていないと伝えた。ミネソタ州は「瓦礫の撤去、交通ルート再編、新たな橋の設計を含む復旧作業」にこの緊急支援金を活用できるようになったとして、ポーレンティ知事が「ミネソタ州の代表として、私達はこのあらゆる支援に感謝しています」と述べた。
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