SCAPIN-677 (日本の範囲)
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「SCAPIN」の記事における「SCAPIN-677 (日本の範囲)」の解説
ウィキソースにSCAPIN677の原文があります。 英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。SCAPIN677 日本の行政権の行使に関する範囲に言及した第677号において、伊豆諸島、小笠原諸島、北緯30度以南の南西諸島、竹島、鬱陵島、済州島、千島列島、色丹島および歯舞群島が除かれている。これらの地域のうち、サンフランシスコ講和条約発効前に日本に復帰したのは伊豆諸島とトカラ列島のみで、伊豆諸島は1946年(昭和21年)3月22日、トカラ列島は1952年(昭和27年)2月10日に日本に復帰した。一方、(2016年)現在でも竹島を占拠する韓国と、千島列島、色丹島、歯舞群島を占拠するロシアは、この文書を自国の領有根拠の一つとしており、日本との間で領土問題が続いている。 しかし、SCAPの上部組織である極東委員会には軍事作戦行動や領域の調整に関する権限が与えられていない。それを踏まえてこの文書の第6項には「この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。」と、これが暫定的な指令である旨が明示されている。 中ノ鳥島は大正時代の大規模探索でも発見されず、1943年(昭和18年)には日本海軍の機密水路図誌から削除されたものの、一般の地図には記載が残っていたため、第677号において言及されている(一般の水路図誌から削除されたのは発令10ヶ月後の1946年(昭和21年)11月22日)。 連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号 1946年1月29日1 日本国外の総ての地域に対し、又その地域にある政府役人、雇傭員その他総ての者に対して、政治上又は行政上の権力を行使すること、及、行使しようと企てることは総て停止するよう日本帝国政府に指令する。 2 日本帝国政府は、巳に認可されている船舶の運航、通信、気象関係の常軌の作業を除き、当司令部から認可のない限り、日本帝国外の政府の役人、雇傭人其の他総ての者との間に目的の如何を問わず、通信を行うことは出来ない。 3 この指令の目的から日本と言う場合は次の定義による。 日本の範囲に含まれる地域として 日本の四主要島嶼(北海道、本州、四国、九州)と、対馬諸島、北緯30度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約1千の隣接小島嶼 日本の範囲から除かれる地域として (a)欝陵島、竹島、済州島。(b)北緯30度以南の琉球(南西)列島(口之島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黄群島、及び大東群島、沖ノ鳥島、南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。(c)千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発、多楽島を含む)、色丹島。 4 更に、日本帝国政府の政治上行政上の管轄権から特に除外せられる地域は次の通りである。 (a)1914年の世界大戦以来、日本が委任統治その他の方法で、奪取又は占領した全太平洋諸島。(b)満洲、台湾、澎湖列島。(c)朝鮮及び(d)樺太。 5 この指令にある日本の定義は、特に指定する場合以外、今後当司令部から発せられるすべての指令、覚書又は命令に適用せられる。 6 この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。 7 日本帝国政府は、日本国内の政府機関にして、この指令の定義による日本国外の地域に関する機能を有する総てのものの報告を調整して当指令部に提出することを要する。この報告は関係各機関の機能、組織及職員の状態を含まなくてはならない。 8 右第7項に述べられた機関に関する報告は、総てこれを保持し何時でも当司令部の検閲を受けられるようにしておくことを要する。 また、SCAPIN-677が発令された半月後の1946年(昭和21年)2月13日に行われた日本との会談において、GHQはSCAPINが領土に関する決定ではないこと及び領土の決定は講和会議にてなされると回答している。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}行政の分離に關する第一囘會談錄(終戰第一部第一課) (昭和二十一年)二月十三日黃田聯絡官GS「ロッヂ」大尉及び「プール」中尉と標記の件に關し第一囘會談を行ひたり要旨左の如し 黃「本日は領土の歸屬問題乃至は本指令の妥當性等に付いては觸れさることとし單に疑義に付質問を爲さんか爲參上せり」 米「本指令は單なる聯合國側の行政的便宜より出てたるに過きす從來行はれ來りたることを本指令に依り確認せるものなり即ち其の他はSCAPの所管するところにあらす例へは大島はCINPACの所管。鬱陵島は第二十四軍團の指揮下に在り從つて本指令に依る日本の範圍の決定は何等領土問題とは關聯を有せす之は対日講和會議にて決定さるへき問題なり 朝鮮半島南部を統治していた米軍政府も1947年(昭和22年)8月のレポートにおいて、竹島の管轄権の終局的処分は平和条約を待つとしている。 18 Representatives of the Fisheries Bureau and Korea History and Geography Association left for Ulleung-do and Tok-to on 16 August. The latter, two small islands about 40 miles southeast of Ullueng-do, is an excellent base for extend fishing operation. Formally belonging to Japan, a recent occupation directive which draw and arbitrary line demarcating Japanese and Korean fishing waters placed Tok-to within the Korean zone. Final disposition of the islands's jurisdiction awaits the peace treaty.
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