かき‐かえ〔‐かへ〕【書(き)替え/書(き)換え】
書き換え
『評決』(ルメット) 看護師が患者のカルテに「食後1時間」と記したのを、担当医が見過ごして、患者に全身麻酔を施す。患者は酸素マスクの中に嘔吐し、吐いた物が気管に詰まって植物状態になる。担当医は看護師に、カルテの「1」を「9」に書き換えるよう命じる。「食後9時間」であれば麻酔をしても嘔吐の危険はなく、担当医に過失はなかったことになるのだ。患者の家族は訴訟を起こす。弁護士ギャルヴィンが(*→〔分割〕6b)、看護師を説得して証言を引き出し、勝訴する。
『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』(鶴屋南北) 芸者小万は、客である薩摩源五兵衛への実意の証として、腕に「五大力(*五大力菩薩の略。愛する男への貞操を誓う語)」の彫り物をする。しかし小万の愛人・笹野屋三五郎が、針を加えて「三五大切(三五郎を愛している)」と直してしまう。後に源五兵衛はこれを見て怒り、小万をなぶり殺しにする。
『五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)』(並木五瓶)第2~3幕 芸子・菊野(「小万」の名で演ぜられることもある)は、三味線の裏皮に「五大力(*貞節を誓う語)」の三文字を書いて薩摩源五兵衛に見せ、彼に真(まこと)を尽くす証とする。しかし、後に笹野三五兵衛が筆を加えて、「三五大切(三五兵衛を愛している)」の四文字に書き換えてしまう。それを見た源五兵衛は、「菊野は心変わりしたのだ」と思い、菊野を殺す→〔遊女〕2。
★3.運び手に死をもたらす手紙(*→〔手紙〕2a)を書き換える。
『魚と指輪』(イギリス昔話) 領主が、息子の妻になる運命を持つ娘を嫌い、「この手紙の持参人を殺せ」と記した手紙を、弟の所へ持って行かせる。途中で出会った盗賊たちが手紙を開いて気の毒に思い、「この手紙の持参人を我が息子と結婚させよ」と書き換える。
『ドイツ伝説集』(グリム)486「ハインリヒ三世帝の伝説」 コンラート帝が、「この手紙の持参人を殺せ」と記した手紙をハインリヒに持たせ、妃のもとへ送る。ハインリヒが旅の途中で泊まった宿の主が、好奇心から手紙を開封し、「この手紙の持参人に娘を添わせよ」と書き換える〔*『黄金(きん)の毛が三本はえてる鬼』(グリム)KHM29の前半部が、この伝説と類似した展開をする〕。
『遠野物語』(柳田国男)27 旅の男が閉伊川の辺で女から手紙を託され、物見山の沼へ届けに行く。途中で会った六部(旅の修行者)が、「この手紙を持って行けば汝の身に災いがあるだろう」と言って、手紙を書き換える。男は書き換えられた手紙を持って沼へ行き、そこの女から黄金の出る石臼をもらう→〔妻〕7。
『沼の主のつかい』(昔話) みぞうけ沼の主である女が、伊勢詣りに出かける百姓・孫四郎に手紙を託し、富士の裾野の高沼まで持って行かせる(*→〔犯人さがし〕4)。途中で出会った六部がその手紙を開いて見ると、「この男を取って食え」と書いてあった。六部は手紙を、「この男に黄金の駒を与えよ」と書き換える。孫四郎は高沼の主から、黄金の駒をもらって無事に帰って来る。その駒は、1日に米1合食べて、黄金1粒をひり出すのだった(岩手県江刺郡)→〔山〕4c。
『ハムレット』(シェイクスピア)第4~5幕 デンマークの王子ハムレットは、叔父王クローディアスの命令で、親書を携えイギリス王のもとへ向かう。船中でひそかに親書を開き見ると、「ハムレットの首をはねよ」と記してあった。ハムレットは、同行した叔父王の臣下、ローゼンクランツとギルデンスターンが処刑されるように、親書の内容を書き直す。
★4.「赤ん坊が生まれた」と知らせる手紙を、「鬼子を産んだ」「犬を産んだ」などと書き換える。
『カンタベリー物語』「法律家の話」 ローマ皇帝の娘クスタンスは、さまざまな苦難の後、イギリスのアラ王と結婚して男児を産む。アラ王はその時戦地にいたので、手紙を送る。王の母がクスタンスを嫌い、「恐ろしい鬼子を産んだ」と手紙を書き換える。王は「神が后と子を守るように」との返事を書く。それを再び王の母が「クスタンスと子を追放せよ」と書き直す。
『手なし娘』(グリム)KHM31 手のない娘が王妃となり、美しい男児を産む。それを戦場にいる王様に知らせる手紙を、悪魔が「妃は鬼子を産んだ」と書いた手紙にすりかえる。王様は驚きつつも「妃を大事に世話せよ」との返書を出すが、それをまた悪魔が「妃と子供を殺せ」という返書にすりかえる。王様の老母が妃と男児を憐れんで、彼らを森へ逃がす→〔手〕1。
『手なし娘』(昔話) 継母のために家を追われた手なし娘が、長者の若様の嫁になって、美しい子供を産む。手なし娘の幸福を知った継母は、旅先の若様への知らせの手紙を、「嫁が鬼の子を産んだ」と書き換える。若様は「大事に育てよ」と返事を出すが、それをまた継母が「嫁と子供を追い出せ」と書き換える。手なし娘は悲しみ、子供を背負って家を出る(岩手県稗貫郡)→〔手〕1。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第3日第2話 ペンタは、夫王が他国へ出かけた留守に男児を産む。そのことを知らせる手紙を、嫉妬深い女が途中で「妃は化け物犬を産んだ」と書き換える。夫王は「神の思し召しゆえ悲しむことはない」と返事を出すが、それをまた女が「母子ともに火刑に処せ」と書き換える→〔手〕1。
『史記』「李斯列伝」第27 秦の始皇帝は自らの死期を悟り、子の扶蘇あてに「軍を蒙恬に委嘱し、汝が我が葬儀をおこなえ」との書面を作った。しかし趙高が、胡亥(2世皇帝)と李斯を仲間に引き入れて、「扶蘇は不孝者であるゆえ自決せよ。蒙恬は不忠者ゆえ自殺せよ」と、書面を書き換えた〔*同・「秦始皇本紀」第6に簡略な記事〕。
『曽我物語』巻2「橘の事」 北条時政には3人の娘がおり、長女(=政子)は21歳、次女は19歳、三女は17歳だった。源頼朝が19歳の次女を望み、手紙を送る。ところが、家臣の藤九郎盛長が「次女は悪女(=醜女)だから、頼朝公の愛情は長くは続くまい」と考え、手紙のあて先を、美人の評判高い長女に書き換える。頼朝は、次女ではなく長女と結婚することになった〔*手紙を次女あてから長女あてに書き換えた頃、北条家では次女の見た夢を長女が買い取っていた→〔夢の売買〕1〕。
「書き換え」の例文・使い方・用例・文例
- この統計は社会人口統計学的な要因を用いると書き換えられる。
- この文章は書き換えられます。
- 次の文章を過去形の文に書き換えなさい
- あなたはそれを絶対に書き換えないでください。
- あなたは絶対にそれを書き換えないでください。
- その英語の文章を正しい表現に書き換えて欲しい。
- これは何者かによって書き換えられた文です。
- 私はその全ての文章を書き換えた。
- 私はその大部分を書き換えた。
- 私は運転免許書の書き換えに行ってきました。
- 私はこれを書き換える。
- 書き換えた
- 科学の進歩により、以前の記録は簡単に書き換えられた。
- 彼は私に証書を書き換えるよう要求した。
- 彼はその話を書き換えてまったく別のものにした。
- この本は子供向きに書き換えてある。
- この文章は書き換えなければならない。
- その本は子供向きに書き換えられた.
- 彼はそのバイオリンを見せてもらいたいと頼んだ と書き換え可能》.
- 次の文章を簡単な英語に書き換えよ.
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