鬼畜ブームの背景─1995年とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 鬼畜ブームの背景─1995年の意味・解説 

鬼畜ブームの背景─1995年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 15:37 UTC 版)

鬼畜系」の記事における「鬼畜ブームの背景─1995年」の解説

鬼畜・悪趣味ブーム背景および歴史変遷後述のとおりである。 ばるぼら鬼畜ブームについて「95年創刊した『危ない1号』(データハウス)を中心に流行した死体畸形写真見て楽しんだり、ドラッグを嗜んだりと、人の道外れた悪趣味なモノゴトを楽しむ文化」と定義し、「元々『完全自殺マニュアル』のベストセラー化をきっかけに『死ぬこと』への関心高まり死体写真集など出版で『死体ブーム』とでも言うべき状況があったが、同じ頃『悪趣味ブーム』も並行して起こり、それらの総称として現れたキーワードが『鬼畜』だった。『危ない1号』の編集長青山正明氏の出所記念イベント鬼畜ナイト』(96年1月10日)が“鬼畜”のはじまりかと思う」と解説している。 雑誌宝島30』で根本敬連載人生解毒波止場』を担当した町山智浩は、90年代鬼畜系について「80年代オシャレモテ電通文化対す怒りがあった」「オシャレバブル偽善的反吐が出るようなクソ文化へのカウンターだった」という見解示しており、根本敬村崎百郎が「すかしきった日本の文化を下品のどん底突き堕としてやりたい」と心の底から叫ばねばならないほど、当時日本文化は「健全で明る抑圧的なオシャレ」ないし「偽善ファシズム」に支配されていたと述懐している。これに関してSPA!編集部も「それまで日本蔓延していた軽薄短小なトレンディ文化辟易していた人々支持集めた」と当時鬼畜ブーム特集指摘している。 石丸元章鬼畜系背景としてあるのは「バブル期生まれた80年代カルチャー」と指摘している。石丸いわく「バブル恩恵受けられず、貧しいまま80年代過ごした若者たち復讐カルチャー」として、ゴミ漁りドラッグなど公序良俗反する「鬼畜系」が花開いたとしている。また彼らが復讐対象としたのは、糸井重里の「おいしい生活」に代表されるような、80年代以来軽薄きわまりない消費文化であったとしている。 ブーム耽溺していた雨宮処凛は、鬼畜系が「生き辛さ抱えている弱者マイノリティへの救済になっていたとして次のように自己分析した。 鬼畜系ハマる私たちは「幸せそうな人々勝手に敵視していて、世を呪う言葉存分に交わすことができた。そうやって発散することで、自分という犯罪者予備軍犯罪者にせず社会軟着陸させているような感覚確実にあった。当時、なぜあれほど鬼畜系カルチャーハマっていたのかと言えば、「表」の健全できれいな社会には、自分居場所なんてないと感じていたからだった。/あの時期、ある意味で私は鬼畜系カルチャーに命を救われていた。 村崎百郎ゴミ漁り、すかしきった人々隠した恥部を晒せば晒すほど、自分自身一緒になってこの世復讐している気がした。/(鬼畜ブームは)「実は私が思っているより多くの人が悪意満ちたロクでもない人間なのかもしれない」と逆説的な勇気与えてくれたのだった。/90年代鬼畜ブームあったからこそ、私は自殺せずに生き延びることができた。 一方でカルト的なサブカル雑誌HEAVEN』でデビューした香山リカは、ポストモダンサブカル文化について「すべての表象から文脈歴史をはぎ取って相対化し、権威規範とらわれず自分はどこにもコミットしないまま、“ひとつの主義主張と距離を置けなくなる人”には冷笑的な態度取りひたすら心地よさやおもしろさ追い求めそれ以上、何かを問われそうになったら、『そんなの何もわからないよ』と未成熟な子どものように逃げ出すという性質帯びたもの」と自己批判している。 またロマン優光オウム真理教事件阪神・淡路大震災などの影響で「たいしたはないけ変な終末気分になっていた人が増えていた」という状況にも触れ、「金銭や名誉、勉強スポーツ地道に文化身につけるといったことから落ちこぼれたり、回避したしながらも、他人との差異つけたがるような自意識こじらせた人たちが他人と違う自分演出するためのアイテムとして、死体写真を使うようになった」と分析しこうした潮流自販機本出自を持つアングラサブカルチャー踏まえた界隈にも流れこんでいったとしている。 前述したように『危ない1号』が創刊され1995年には阪神淡路大震災地下鉄サリン事件などの重大事件立て続け発生しており、それらに起因する一連の社会現象悪趣味ブーム深く関わっているとされる。特に1995年は「インターネット元年」 と呼ばれるように社会環境大きく移り変わっていった激動の年でもあり、宮沢章夫はこれらの事象による社会の混乱不安定な情勢が、ある種世紀末世界観終末空気感醸し出している悪趣味ブーム土壌になったことを指摘している。また宮沢自身講師務めNHK教育テレビ教養番組ニッポン戦後サブカルチャー史』の最終回2016年6月19日放送)において1995年を「サブカル」のターニングポイント定義し根本敬村崎百郎はじめとする90年代鬼畜系サブカル取り上げている。

※この「鬼畜ブームの背景─1995年」の解説は、「鬼畜系」の解説の一部です。
「鬼畜ブームの背景─1995年」を含む「鬼畜系」の記事については、「鬼畜系」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「鬼畜ブームの背景─1995年」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

鬼畜ブームの背景─1995年のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鬼畜ブームの背景─1995年のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの鬼畜系 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS