近年の主な作品の山本勘助
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「山本勘助」の記事における「近年の主な作品の山本勘助」の解説
山本勘助は以上の説明の通り、史実と認められた情報が極めて少なく、それだけに古今の創作家の想像力を大いに刺激してきた。 『風林火山』(井上靖)武田晴信に仕官した山本勘助は諏訪頼重の暗殺を進言し、頼重は殺され諏訪家は武田家に攻められて滅ぼされた。高遠城に攻め入った勘助は、自害を頑なに拒む頼重の娘由布姫と出会い、その美しさと気高さに魅了された。仇討ちを誓う由布姫。晴信は由布姫を側室に望むが、重臣たちはこれに反対。勘助のみが側室に迎えるべきと強く主張した。勘助は武田家と諏訪家の絆ができること、そして由布姫の幸せを願っていた。やがて、由布姫は四郎勝頼を生む。 勘助は由布姫への思慕の情を抱きながら各地で戦い続けるが、由布姫は若くして死去してしまう。悲しみに暮れる勘助にはやがて運命の川中島の戦いが迫っていた。 この作品では美しい由布姫に思慕の情を抱き、尽くそうとする勘助がストーリーの軸となる。なお、『甲陽軍鑑』はそのような筋立てではない。 1969年に映画化(監督:稲垣浩、主演:三船敏郎)され、同年に日本テレビでドラマ化(主演:東野英治郎)され、1992年に再び日本テレビ(主演:里見浩太朗)で、2006年にテレビ朝日(主演:北大路欣也)で、2007年にNHK大河ドラマ(下記)で、テレビドラマ化がされている。 『信玄忍法帖』(山田風太郎)多くの武田信玄モノの小説とは異なり、信玄が没して後の世界を描く。足利義昭の信長討伐令に応じる形で上洛を目指す信玄は上洛途上で落命する。しかし信玄の遺言にはその死は三年間秘することが命じられていた。武田の敵である徳川家康は「甲斐の虎」たる信玄の存否を疑い、配下の間者を放つ。それに対抗するは、川中島の敗戦後、隠者生活をしていた道鬼斎こと山本勘助の陰武者を駆使した様々な謀略であった。 この作品では山本勘助が川中島の敗戦では戦死せず生き延びて、武田に影から力を尽くしてきたという新しい解釈がなされている。 『武田信玄』(新田次郎)武田晴信が倉科衆の謀反の合議に招かれた際、今川家の間者、山本勘助が潜り込んでいた。このことを晴信に見破られ、このことがもとで合議は終わった。見破られたことを義元にとがめられる形で勘助は武田家に潜り込んで武田家の間者として働く。 間者として長尾家や今川家・織田家などの情報を収集したり、禰津家の娘里見と晴信の間を取り持ったりする。 次第に今川家との距離が広がり、武田家に忠誠をつくすようになる。桶狭間の戦いでは信玄の命で簗田政綱とはかり今川義元を殺害する。 最期は川中島の戦いで馬場信春率いる別動隊に敵襲を伝える途中上杉軍の雑兵に太ももを槍に刺され、使者としての任務を果たすも命を落とす。 勘助の実在を疑われた後に書かれた作品であり、勘助を参謀ではなく使者・間者として描いている。 この作品における勘助は隻眼ではない。 1988年にNHK大河ドラマ(山本勘助役:西田敏行)でテレビドラマ化されている。 『風林火山』(2007年NHK大河ドラマ、原作:井上靖、脚本:大森寿美男、主演:内野聖陽)物語の序盤で、独自に勘助の青年時代を描いたことが新趣向である。 諸国遍歴の武者修行の旅をしている大林勘助は甲斐国に入り、合戦のどさくさに武田家の侍に襲われた農民の娘ミツを助ける。勘助とミツは愛し合うようになるが、兵法を極めた勘助は軍師として身を立てることを願い、流浪の旅を続けることに。 武田家に仕官した後、前述の大河ドラマ『武田信玄』と同じく桶狭間で今川義元が討死するよう仕向けるが、信玄の命ではなく勘助は独断で動いている。 この作品では、勘助は1500年(明応9年)に駿河国富士郡山本郷で誕生したという設定になっている。 『紅楓子(こうふうし)の恋』(宮本昌孝 徳間文庫『将軍の星 義輝異聞』収録)山本勘助の生涯を描いた短編小説。武田信玄の正室・三条の方に密かに恋情を抱く。勘助が三条の方の寝所に楓の枝を残したために、三条の方は信玄に密通を疑われる。 『伊達の鬼 -片倉小十郎-』(田中克樹 新潮社 コミックバンチ)川中島の敗戦では戦死せず、各地を放浪していた。若かりし頃の片倉小十郎に自分が鬼になれず主君である武田信玄を戒めることができなかった事を語り、小十郎に大きな影響を与えた。 この作品では長篠の合戦で武田が大敗を喫した原因は、騎馬を過信し鉄砲への理解を深めなかったことを挙げている。 『男弐』(作・小池一夫 画・伊賀和洋 ビジネスジャンプ)第一部、甲斐の鬼・山本勘介篇として連載。武田家に仕える頃より、(作中では)服部半蔵の手により暗殺されるまでが描かれている。 片眼・方足と言う設定、軍師として奇抜なアイデアや奇抜な甲冑のデザイン、武田晴信(信玄)に尽くす様など独自の観点やファンタジー要素も含まれた描写が多い。
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