貨幣法とは? わかりやすく解説

貨幣法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 03:00 UTC 版)

満洲国圓」の記事における「貨幣法」の解説

1932年大同元年6月公布された「貨幣法」(大同元年6月11日教令25号)で満洲国貨幣規定された。以下は公布時の条文である。 貨幣法 (大同元年六月十一日教第二十五號) 第一條 貨幣製造発行政府ニ属シ満洲中央銀行ヲシテ之ヲ行ハシム 第二條 純銀量目二三九一瓦ヲ以テ価格単位トシ之ヲ圓ト称ス 第三條 貨幣計算十進トシ一圓ノ十分ノ一ヲ角ト称シ百分ノ一ヲ分ト称シ千分ノ一ヲ厘ト称ス 第四條 貨幣種類ハ左ノ九種トス 紙 幣 百圓 十圓 五圓 一圓 五角 白銅貨幣 一角 五分 青銅貨一分 五厘 第五條 紙幣ハ其ノ額ニ制限ナク法貨トシテ通用鋳貨ハ其ノ額面百倍法貨トシテ通用第六條 鋳貨品位量目ハ左ノ如シ 一 一白銅貨幣 總量 三瓦(ニツケル二五参和銅七五割合) 二 五分白銅貨幣 總量 二瓦(ニツケル二五参和銅七五割合三 一青銅貨總量 三・五瓦(九五 錫四 亜鉛一ノ割合) 四 五青銅貨總量 二・五瓦(九五 錫四 亜鉛一ノ割合) 第七條 貨幣様式並ニ製造発行損幣引換銷却ニ関シテハ教令ヲ以テ之ヲ定ム 第八條シク汚染磨損又ハ毀損セル貨幣ハ其ノ額面価格ヲ以テ無手数料ニテ満洲中央銀行ニ於テ之ヲ引換第九條 鋳貨ニシテ模様認識キモノ又ハ私ニ極印ヲ為シ其ノ他故意毀損セリト認ムルモノハ貨幣タルノ効力ナキモノトス 第十條 満洲中央銀行紙幣発行高ニ対シ三割以上ニ相当スル銀塊金塊確実ナル外國通貨又ハ外國銀行ニ対スル金銀預ケ金ヲ保有スルコトヲ要ス 第十一條 前條ニ掲ケタル準備額ヲ控除セル残餘発行高ニ対シテハ公債證書政府発行又ハ保證セル手形其ノ他確実ナル證券若ハ商業手形保有スルコトヲ要ス 第十二條 満洲中央銀行紙幣鋳貨発行高竝ニ準備増減ニ関スル出納日報毎週平均高表ヲ作製シテ政府進達シ且毎週平均高表ハ之ヲ公告スヘシ 第十三條 政府満洲中央銀行管理官ヲシテ特ニ貨幣製造発行監督セシム 管理官何時ニテモ貨幣発行未発行高及帳簿検査スルコトヲ得 第十四條 従来流通シタル鋳貨紙幣ニ関シテハ貨幣整理辦法ノ定ムル所ニ依ル 附 則 本法公布ノ日ヨリ之ヲ施行第1條で、貨幣製造及び発行権限政府属するが満洲中央銀行代行するとされた。 第2條で、純銀23.91グラム価格単位とされ、通貨呼称は圓とされた。続く第3條通貨単位十進法表記採用され1圓=10角=100分=1000厘と規定された。 第4條で、貨幣種類が9種と規定され紙幣百圓十圓五圓一圓五角の5種、硬貨白銅貨幣一角五分2種青銅貨幣が一分五厘2種とされた。なお、1939年康徳6年)の改正硬貨材質に関する表記削除され硬貨一角五分一分五厘4種規定された。 第5條で、貨幣強制通用力規定されており、紙幣無制限鋳貨硬貨)は100枚まで法貨として通用するとされた。 第6條で、一角及び五角白銅貨幣一分及び五厘青銅貨幣の量目素材及び品位定められていた。続く第7條で、貨幣様式製造発行、損幣の引換え消却に関して教令定めるとされていたが、1939年康徳6年)の改正で、第4條改正同時に第6條削除され第7條第6條として「貨幣様式製造発行、損幣引換銷却並ニ鋳貨素材品位量目ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」に改められると共に以降各條繰り上げられた。 第8條で、著しく汚れたり磨耗毀損した貨幣は、額面価格により手数料無し満洲中央銀行引き換えを行うとされた。但し、第9條で、鋳貨については模様識別難しい物や私的に極印した物、故意毀損したと認められる物は貨幣価値を失うとされている。 第10條で、満洲中央銀行紙幣発行に際して、その発行高の3割以上に相当する銀塊金塊確実な外国通貨外国銀行対す金銀預ケ金を保有する事で発行準備額としている。また、第11條では、発行準備額を除いた紙幣発行に対しては、公債証書政府発行保証する手形、その他確実な証券商業手形保有する事で信用担保した。 第12條で、満洲中央銀行紙幣及び鋳貨発行高・準備増減記した出納日報毎週平均高表を作製して政府提出すると共に毎週平均高表を公告する規定され一般に対しては週1回毎週平均高表を『満洲国政府公報』及び『政府公報』に公告した。 第13條で、政府満洲中央銀行に対して貨幣製造及び発行監督する事を定めており、管理官何時でも貨幣の発行高・未発行高及び帳簿検査する事が出来るとされた。 第14條で、従来流通していた鋳貨及び紙幣に関しては「舊貨幣整理辦法(旧貨幣整理弁法)」の定め事によるとされており、1932年大同元年7月施行された「旧貨幣整理弁法」(大同元年6月27日教令37号)により、旧紙幣15種は2年間、一定の換算率で新貨幣同一効力有するとされ、旧鋳貨奉天省十進元)は5年間、新貨幣一分青銅貨同一効力有するとされ、それぞれ期間満了後はその効力を失うとされた。これらの旧貨幣満洲中央銀行総分支行で新貨幣引き換えるとされ、流通期限満了1934年康徳元年6月迄に93.1%の回収率示した。それでも約1000万圓の未回収分があり、所持者の利益保護のために「舊紙幣兌換ノ件」(康徳元年5月22日財政部布告第6号)で交換期間を更に1年延長し最終的には97.2%の回収率達成した。 なお、グラム漢字表記制定当初日本語と同じ「瓦」が使用されたが、1933年大同2年4月の「貨幣法中改正ノ件」(大同2年4月19日教令第22号)で中国語の「公分」に改められ1939年康徳6年10月の「貨幣法中改正ノ件」(康徳6年10月12日勅令265号)で再度「瓦」に改められている。 上記通り、貨幣法第2條純銀23.91グラム(現大洋純銀量)の価格基準として「圓」と規定されているため、制度上は銀本位制相当するが、条文兌換に関する規定はなく、同第4條も本貨幣銀貨規定存在しない。そのため、当初から銀にリンクする管理通貨として発足したとされている。

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「貨幣法」を含む「満洲国圓」の記事については、「満洲国圓」の概要を参照ください。

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