かへいすうりょう‐せつ〔クワヘイスウリヤウ‐〕【貨幣数量説】
貨幣数量説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/15 05:22 UTC 版)
貨幣数量説(かへいすうりょうせつ、英: quantity theory of money)とは、社会に流通している貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決定しているという経済学の仮説。物価の安定には貨幣流通量の監視・管理が重要であるとし、中央政府・通貨当局による通貨管理政策の重要な理論背景となっている。
注釈
出典
- ^ 加藤博『イスラム経済論』書籍工房早山、2010年。 p166
- ^ 田中秀臣 『経済政策を歴史に学ぶ』 ソフトバンククリエイティブ〈ソフトバンク新書〉、2006年、157頁。
- ^ [1]奥山忠信「金貨幣の合理性に関する考察」P.2以降。奥山(政策科学学会年報創刊号 2010年12月)
- ^ 日本経済新聞社編著 『現代経済学の巨人たち-20世紀の人・時代・思想』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、48頁。
- ^ 江頭進「ハイエクと貨幣」(小樽商科大学経済論叢1995.7)P.53、PDF-P.8以降
- ^ a b 田中秀臣 『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、176頁。
- ^ 浅野栄一(1976)「ケインズ一般理論入門」有斐閣
- 1 貨幣数量説とは
- 2 貨幣数量説の概要
- 3 フィッシャーの交換方程式
- 4 脚注
貨幣数量説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 00:06 UTC 版)
貨幣数量説を基本的には支持しながらも、この学説だけでは不十分とみるリフレ派は多い。岩田規久男は「『貨幣供給量が増えれば、物価が上昇する』という単純な関係は、実際には必ずしも存在しない」「『貨幣数量説』は、一年といった短期では必ずしも成立しないが、5-10年程度の長期で見ると、ほぼ成立している」と指摘している。 田中秀臣は「伝統的な貨幣数量説は、短期には成立しない。デフレ脱却のためのインフレ目標は長期で貨幣数量説が成立すればいいのである」と指摘している。 岩田は「リフレ派は、マネーを非常に重視しているが、『貨幣が増えればインフレになる』という素朴な貨幣数量説を主張しているのではない」と述べている。
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貨幣数量説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 07:35 UTC 版)
貨幣数量説によると物価水準は貨幣の総量によって決定されるとする。貨幣数量説には一定の正当性があるとされるが問題点も指摘されている。 詳細は「貨幣数量説」を参照
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貨幣数量説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 03:27 UTC 版)
マネタリストの提唱する貨幣数量説とはアーヴィング・フィッシャーの貨幣数量方程式の変形版 M v = P Y {\displaystyle Mv=PY} M :貨幣供給量 v :貨幣の所得流通速度 P :価格水準 Y :産出物の数量 に基づき、貨幣の所得流通速度(v)が一定であるとき産出物の数量(Y)が一定ならば、貨幣の供給量(M)によって価格水準(p)の名目価値が決定されること、すなわち物価は発行される貨幣の量で決まると主張した。貨幣数量方程式は状態方程式なので本来はそのような因果関係を表したものではないが、マネタリストは因果関係を表す式として解釈し、貨幣供給量を安定的に管理することを重視する。これは、貨幣の所得流通速度(v)は景気拡大局面では上昇し収縮局面では下落する傾向にあるなど、短期的には変動するものの、長期的には安定しているという観測結果に基づく。 一方で、ケインジアン(ケインズ経済学者)は、価格水準(p)が一定であれば変化するのは産出物の数量(Y)であり、またMとYがそれぞれ独自に変化することがあるのでそのような因果関係を見ることは出来ないと主張していた。また、貨幣の所得流通速度(v)が一定でないこともあり貨幣供給量とPY(名目GDP)の関係は安定的とは限らない、とした。 マネタリストの主張の骨子は、以下のようにまとめられる。 貨幣供給量の経済に与える影響力は非常に大きく、人々の予測形成が困難な裁量的政策は無用な景気変動を生み出す 貨幣供給量は政策的にコントロールできる インフレーションは貨幣的現象である 貨幣の増加率とインフレ率には長期的に単純な比例関係がある よって、インフレや景気変動を安定化させるために、貨幣供給は裁量ではなく、一律のルールに基づいて行うべきである 貨幣供給量は、短期的には貨幣錯覚などにより実物経済に影響を与え、その典型が1930年代の誤った金融引き締めによる大恐慌だという。ミルトン・フリードマンは緻密な実証研究によりこのことを証明し、裁量的なケインズ主義政策への激しい攻撃を続けた。彼の主張は、1970年代米国のインフレと不況の並存(スタグフレーション)により、フィリップス曲線の崩壊の予言の的中をもって頂点に達した。 そして1979年から1982年まで米国連銀は、マクロ経済変数を最終目標とするのではなく、貨幣供給量(=マネーサプライ)を目標とするマネタリズムを採用した。この政策展開におけるアメリカでは、原油価格の変動にともなってスタグフレーションは収まり、景気は回復した。一方で超高金利・超ドル高の継続、この結果としての中南米途上国のデフォルト(国債償還不能)、さらにこの結果として中南米諸国に融資していたアメリカの銀行の金融危機が生じ世界経済のシステム危機へとつながってしまった。1982年中頃には不況が深刻になり、連銀はマネタリズムを放棄した。 一方イギリスでは、サッチャー政権により、1979年からマネタリズムが採用され、GNPや雇用に関しての目標は公表されず、貨幣供給量であるM3の目標が表されるようになった。しかし1979年から1983年にかけて不況が深刻になり、失業率は5.4%から11.8%へ上昇した。最終的に、1986年で貨幣供給量の目標値は公表されなくなった。 貨幣の流通速度が不安定化したことを受けた現代のマネタリスト理論においては、銀行信用の重要性に比してマネーサプライだけを論じることに懐疑的な傾向がみられるようになり、晩年のフリードマン自身を含め、インフレについての市場予想を目標とする政策などを模索するようになった。
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