豊稔池堰堤(香川県)
豊稔池堰堤
名称: | 豊稔池堰堤 |
ふりがな: | ほうねんいけえんてい |
名称(棟): | |
名称(ふりがな): | |
番号: | 2498 |
種別1: | 近代/産業・交通・土木 |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
指定年月日: | 2006.12.19(平成18.12.19) |
員数(数): | 1 |
員数(単位): | 所 |
代表都道府県: | 香川県 |
都道府県: | 香川県観音寺市大野原町田野々 |
所有者名: | |
指定基準: | (二)技術的に優秀なもの (三)歴史的価値の高いもの |
管理団体名: | |
管理団体住所: | |
管理団体指定年月日: | |
構造形式: | マルチプルアーチ式コンクリート造堰堤、堤長145.5m、堤高30.4m |
時代区分: | 昭和 |
年代: | 昭和4年(1929) |
解説文: | 豊稔池堰堤は、県西部の柞田川上流に位置し、県の用排水改良事業の一環として大正15年3月起工、昭和4年11月竣工の溜池堰堤である。工事は、顧問である佐野藤次郎の指導のもと、農林技師の杉浦翠、県農林技師の木村真五郎などを中心に進められた。 堰堤は、川狭窄部の岩盤上にコンクリート造で築かれ、両端部を重力式、中央部をマルチプルアーチ式とし、下流側に石張の水叩を設けている。 豊稔池堰堤は、我が国最初期のコンクリート造溜池堰堤として、農業土木技術史上、高い価値がある。また、アーチ式堰堤とバットレス式堰堤の特長を兼ね備えた先駆的な構造形式が、昭和前期における堰堤建設の技術的達成度を良く示しており、重要である。 |
豊稔池ダム
豊稔池ダム | |
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![]() | |
所在地 | 香川県観音寺市大野原町田野々 |
位置 | |
河川 | 柞田川水系田野口川 |
ダム湖 | 豊稔池ため池百選 |
ダム諸元 | |
ダム型式 | マルチプルアーチダム |
堤高 | 30.4 m |
堤頂長 | 128.0 m |
堤体積 | 39,500 m³ |
流域面積 | 8 km² |
湛水面積 | 15 ha |
総貯水容量 | 1,643,000 m³ |
有効貯水容量 | 1,593,000 m³ |
利用目的 | 洪水調節・灌漑 |
事業主体 | 香川県 |
施工業者 |
清水建設・フジタ (ダム補強工事) |
着手年/竣工年 | 1988年/1994年 |
備考 |
表内は補強工事後データ (#データ(大正期)も参照。) 構造:粗石モルタル積石堰堤 洪水吐き:堤頂堰×4 サイフォン式×5 |

豊稔池ダム(ほうねんいけダム)は、香川県観音寺市大野原町にある、現存する日本最古の石積式マルチプルアーチダム。
概要
讃岐山脈から流れ出る柞田川を上流で堰き止め、柞田川の左岸に広がる水田を潤している本ダムは、度重なる大旱魃への対策として1926年(大正15年)に着工され、1930年(昭和5年)に完成した。このとき、地元住民による組合が部分請負して工事にあたり、延べ15万人による人海戦術により約4年の短期完成を実現するという地元一体となって成し遂げられた公共事業であった。
命名は、香川県出身で大蔵大臣などを歴任した三土忠造による[1][2]。
マルチプルアーチダムとしては、宮城県仙台市の大倉ダム(二連式)を含め、全国に二つしかなく、当時アメリカ合衆国における最新技術であったマルチプルアーチが適用されるなど、土木史、ダム技術史を語る上においても貴重な建造物である。ダム補修工事により上流部はコンクリート補強されているが、下流部には当時の古い石積みが現存している。
2006年(平成18年)、国の重要文化財(建造物)に指定されている(指定名称は「豊稔池堰堤」)。
歴史
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- 1920年(大正9年) - 旱魃
- 1924年(大正13年) - 旱魃、農民一揆
- 1926年(大正15年) - ダム着工
- 1930年(昭和5年) - ダム竣工
- 1988年(昭和63年) - ダム補修工事着工
- 1994年(平成6年) - ダム補修工事完了、「豊稔池遊水公園」として周辺を整備
- 1997年(平成9年) - 国の登録有形文化財(土木構造物)に登録される
- 2004年(平成16年) - 台風被害により周辺道が一部寸断
- 2006年(平成18年)12月 - 国の重要文化財に指定される(指定と同時に登録有形文化財としての登録は抹消)
- 2010年(平成22年) - ため池百選に選定される(農林水産省選定)
- 2018年(平成30年) - 四国八十八景67番に選定される(四国地方整備局ほか選定)
データ(大正期)

- 堤高 - 32.3m
- 堤頂長 - 158.4m
- 堤体積 - 21,000m3
- 総貯水容量 - 1,590,000m3
- 有効貯水容量 - 1,590,000m3
- 流域面積 - 9.9km2
- 湛水面積 - 16ha
- 利用目的 - 灌漑
- 事業主体 - 香川県
- 施工業者 - 豊稔池土地改良区
- 着工年 - 1926年
- 竣工年 - 1930年
豊稔池

ダムによって形成された人造湖は豊稔池として2010年(平成22年)3月25日に農林水産省により「ため池百選」に選定され[3]、湖畔には「豊稔池遊水公園」が整備されている。
現在も、豊稔池からは約530haの灌漑を行っており、「大野原は月夜に焼ける」と詠われたり、旧大野原町の大野原音頭で「……里をうるおす豊稔池の、石積堤は城のよう、城のよう……」と歌われているように、豊かな大野原平野を潤している水源として親しまれている。
稲作と野菜、「らりるレタス」、果樹等による複合農業を中心とした集約型農業を行い生産性・経済性が高い経営を行っている。
田植えの時期に行われる地上30メートルの堤からの放水や、ユル抜き行事(毎年7月中旬から下旬)の際には、そのヨーロッパの古城を思わせる外観と勢いよく流れ出る放水の絶景を目当てに多くの観光客が訪れる。
アクセス
- JR四国観音寺駅から車で約20分。
- 高松自動車道大野原ICから車で約15分。
- 周辺道路 - 香川県道・愛媛県道9号大野原川之江線
行事・祭事
- 水神宮例祭
- ユル抜き行事(毎年7月中旬から下旬)
脚注
- ^ 観光情報 豊稔池堰堤 - 観音寺市HP
- ^ 豊稔池 威風堂々、山間の古城 - 四国新聞社 21世紀へ残したい香川
- ^ 豊稔池 - 農林水産省ため池百選
関連項目
外部リンク
- ダム便覧(財団法人日本ダム協会) 豊稔池ダム(再)豊稔池ダム(元)
- ダムマニア巡礼必須 見た目は古城の「豊稔池ダム」 - YouTube(朝日新聞社提供、2019年8月9日公開)
- 豊稔池堰堤のページへのリンク