父の死――贅沢を反省とは? わかりやすく解説

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父の死――贅沢を反省

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 02:46 UTC 版)

梶井基次郎」の記事における「父の死――贅沢を反省」の解説

1929年昭和4年1月馬込文士村での基次郎との一悶着触れた尾崎士郎の「悲劇探す男」が『中央公論』に掲載された。4日未明59歳の父・宗太郎心臓麻痺急逝した退職金が底をついたことを、前年の暮にヒサから聞いた宗太郎がっかりし正月からずっと酒を飲み続けていた。基次郎これまでの自分の贅沢(朝食にはパンバター小岩井農場製、紅茶リプトングリーン缶、昼食肉食やまぐろの刺身)による両親への経済的負担反省し、〈道徳的な呵責〉を痛感した同月中谷孝雄徴兵猶予切れて福知山歩兵第20連隊入営決まり、基次郎の弟・勇は広島電信第7中隊入営したラジオ店の経営は兄・謙一が会社帰りに週に2、3立ち寄って何とか賄ったこの頃から、基次郎近所の人々実生活意識的に見るようになった。 基次郎新し社会観勉強取り組みはじめ、マルクス『資本論』などの経済学の本を読み3月中之島公会堂行われた河上肇演説会同志山本宣治の死の階級的意識」を聴き厳粛な気持になった後輩で『青空同人だった浅沼喜実は共産党員となっていたが、この頃新潟県逮捕された。4月三高後輩で『真昼同人土井逸雄の赤ん坊亡くなり慰めた4月中旬、弟・勇が肺尖カタルとの診断により現役免除帰宅した。基次郎はずいぶん心配したが、実は勇が一家大黒柱であるという住吉警察署請願書認められての取り計らいであった下旬には、『青空同人龍村謙実家西陣織)がゴブラン織研究のためにフランスに渡ることになり、神戸港まで見送り行った次郎は、「榛名丸」の甲板上で行きたいなあ」と何度もつぶやき、「僕の代わり見て来てくれ」と泣いた7月弟たち近所娘たち永山家姉妹の豊子と光子)と浜寺海岸海水浴によく行った次郎は、健康のために日焼けをし、帰省していた淀野隆三武田麟太郎とも会った8月町名住吉区王子町2丁目44番地変更された。 この頃、基次郎親し川端夫人の手紙に、〈小さ町の人達がどんな風に結核やられてゆくかをいくつも見聞いたしました〉と綴り、命を奪われてゆく貧し人々のために「プロレタリア結核研究所」が必要だと熱い思いめぐらした9月、『新潮』の文藝月評川端康成が基次郎作品触れた10月下旬京都にやって来た宇野千代から連絡を受け、基次郎はすぐに会い行った千代の妹・かつ子も伴って京大病院近藤直人訪ねる留守のため、四条通り散歩し後日また大阪千代2人会った大阪の街で梶井会ひときには一緒に街を歩いたりした。「宇野さん、僕の病気悪くなつて、もし、死ぬやうなことがあつたら、僕の家へ来てくれますか」と、例によつて、眼を糸のやうに細くして笑ひながら言つた。「ええ、行きますとも」と私は答へた。「そして、僕の手を握つてくれますか」と重ねて梶井は言つた。「ええ、握つて上げますとも。」と私も重ねて答へた。(中略梶井はそれからぢきに死んだ梶井死んだ言ふことは、勿論、その家族から私のところへ知らせては来なかつた。家族の私に対す感情は、かうもあらうかと言ふことを私は察してゐた。 — 宇野千代「あの梶井基次郎笑ひ声」 北川冬彦から詩集戦争』(10月刊行)を送られ、基次郎はその評論書き堀辰雄川端康成横光利一参加している雑誌文學11月号に発表した11月、基次郎体調思わしくない中、除隊控えた中谷孝雄のいる福知山歩兵第20連隊面会行って一泊するが、帰りの駅の階段汽車煤煙吸い込み呼吸困難となり、数日間寝込んだ12月東京から兵庫県芦屋市転居し宇野千代神戸引っ越したため、基次郎はまた会い行った千代初め新聞小説連載することを聞き、基次郎はその題名に「罌粟はなぜ紅い」と付けてやった。神戸一泊し実家戻った次郎は、「のんきな患者」に取りかかり、眠れないほど執筆進んだ中旬淀野隆三の家に清水芳夫泊ったが、帰りタクシー呼吸困難となり、1週間ほど寝込んだ

※この「父の死――贅沢を反省」の解説は、「梶井基次郎」の解説の一部です。
「父の死――贅沢を反省」を含む「梶井基次郎」の記事については、「梶井基次郎」の概要を参照ください。

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