湯婆婆とその関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 17:57 UTC 版)
「千と千尋の神隠し」の記事における「湯婆婆とその関係者」の解説
湯婆婆(ゆばーば) 声 - 夏木マリ 湯屋「油屋」の経営者で正体不明の老魔女。頭が大きく、二頭身という人間離れした体格。 欲深で口うるさく、老獪な人物として描かれている。その一方で息子の坊を溺愛しており、ハクに言われて坊がいなくなったことに気づき、ハクに詰め寄るほどに激しく取り乱していた。 作中で様々な魔法を使っており、名前を奪って支配する契約や、手を触れずに対象物を動かしたり、鳥に変身して空を飛んだり、光の弾を放ったりしている。 人間の世界から迷い込んできた千尋を最初こそ拒否していたが、強引で諦めようとしない彼女に半ば呆れながら雇い、契約の際に名前を奪って「千」と呼ぶ。名前を奪う前に契約書を見て「贅沢な名だねぇ」と言った。油屋が閉まる明け方になると黒いマントに身を包み、コウモリのような姿になって湯バードと共に遠くへ飛び去っていき、油屋が開く夕方に帰って来る。弟子のハクを体内に忍び込ませた虫(ナメクジのような黒い虫(ロマンアルバムなどはタタリ虫))で操り、銭婆の持つ魔女の契約印を盗ませるなどの悪事をさせている。 悪事も辞さない横柄な性格だが、一方で経営者としての度量と心意気も持ち合わせており、河の神の汚れを落とし大量の砂金の儲けをもたらした千尋を褒め、腐れ神に近づくことを嫌がった従業員達に千尋を見習うようたしなめている。普段は最上階の自室に籠っており客の前に姿を見せないが、横暴な態度の客の撃退を試みたり、経営者として腐れ神やカオナシなどの客への対応を自ら行うなど、全てを従業員に任せっ放しという訳でもない。 銭婆の元から戻ってきた千尋に対し、「数頭いるブタの中から両親を当てられたら自由にする」という謎かけを提示し、全頭従業員が化けたダミーのブタを用意するが、千尋に正解を言い当てられたことで契約書が消滅したため、負けを認め彼女を人間界へ帰す。千尋に礼を言われた際には顔を背けていたが、湯屋から去っていく姿を静かに見送っていた。 銭婆(ぜにーば) 声 - 夏木マリ 湯婆婆の双子の姉で、坊の伯母。声や容姿、服装、髪型まで湯婆婆と瓜二つで、甥の坊が母である湯婆婆と間違えてしまうほど。彼女と同様に強力な魔力を持つ魔女。 紙やカンテラなど無生物に魔力を吹き込んで使いながら「沼の底」という寂れた田舎に住んでいる。本人曰く「私たちは二人で一人前」だが、姉妹仲は良好とは言えず、妹からは性悪女呼ばわりされている。 口調は湯婆婆と似ており、釜爺にも「あの魔女は怖い」と評されている。 自身に害を及ぼす者は許さず、湯婆婆の命令で魔女の契約に用いるハンコを盗み出した竜の姿のハクに、千尋が紙の鳥と呼ぶ物(絵コンテなどは〔紙の〕人形〔ひとがた〕と表記、絵コンテは紙の依り代(よりしろ)とも表記)を差し向けて痛めつけたり、ハンコを盗んだ者は死ぬまで命を食い荒らす守りのまじない をかけるなど、評判通り恐ろしい人物であるような印象を見せたが、実際は心優しい性格で、千尋に対しても「助けてやりたい(が、この世界のルール上自分にはどうすることもできない)」と言うなど、欲深な妹より物分かりの良い気質である。 ハクに代わって謝りに来た千尋を快く家に迎え入れ、カオナシやネズミ、ハエドリたちも同様にもてなした上で優しく接し、彼らと共に紡いだ手製の髪留めを贈る。その時「お守り」と言った。その後に迎えにやって来たハクのことも快く許し、湯屋へと見送った。また、行くあてのないカオナシを「ここにいて私の手助けをしておくれ」と引き取るなど、面倒見も良い。千尋の本当の名を知り「いい名前だね。これからも自分の名前を大切にね。」と言っている。 坊(ぼう) / 坊ネズミ 声 - 神木隆之介 湯婆婆の息子。赤い腹掛けをした巨大な赤ちゃんで、銭婆に「太りすぎ」と評される肥満体型。甘やかされて育てられているため、性格はかなり我儘。怒ると暴れ泣きわめき、怪力で部屋を破壊する。ジブリスタッフによると、彼が巨大なのは、子供のまま大きくなってしまったことを、象徴しているという。 湯婆婆から「外に行くと病気になる」としつけられており、過保護のもと部屋から出ずに暮らしていたが、物語中盤で銭婆の魔法によって小太りのネズミ(絵コンテでは鼡〔ねずみ〕とも表記)に姿を変えられる。ネズミの姿の際の移動は、同じく銭婆に小さなハエドリに姿を変えられ、共に行動する湯バードに運んでもらっているが、湯バードが飛び過ぎて疲れた際は、湯バードを乗せて自分で歩行していた。 途中で銭婆の魔法の効力はなくなっていたため自分の意思で元に戻れるようになっていたが、湯屋に戻って千尋と湯婆婆が対面する時までネズミの姿で行動している。ネズミの姿をしていた際に湯婆婆と会っているが、自分だと気づくどころか汚いものを見るような言動をされたことに対し、悲しげな表情を見せた後、怒りを露わにした表情を見せている。 湯婆婆の息子だが「お母さん」や「ママ」とは呼ばず、「ばぁば」と呼ぶ。 千尋と出会って初めて外界を冒険したことで、終盤で千尋達と共に油屋に戻った際、頑なな態度で千尋と両親を人間の世界に戻すことを拒否する湯婆婆を「ばぁばのケチ、もうやめなよ」といさめるほか、笑顔で千尋を見送るなど精神的にも成長した様子。物語序盤では立てない様子だったが、中盤で千尋が湯婆婆の部屋に入った後、彼が部屋に入る時に立って危なっかしくよろめきながら歩いた。終盤で千尋達と共に油屋に帰り元の姿に戻った際は、しっかりと一人で立っていた。 頭(かしら) 湯婆婆に仕える、緑色の頭だけの怪物。3体いる。中年男性のような顔で、跳ねたり転がったりしながら移動する。 言葉は話せず、「オイ」と声をあげるのみだが感情はあるようで、坊が部屋から出てきた際には怖がる姿を見せている。作中では銭婆の魔法によって坊の姿に変えられるが、お菓子をむさぼり食うその姿に違和感を覚えた湯婆婆によって元の姿に戻されてしまい、正体がばれた後はドアを開けて逃亡した。また、ネズミに変えられた坊とハエドリに変えられた湯バードを叩き潰そうとしていた。常に三つ一緒に行動している。坊の遊び相手らしいが、坊の巨大な体と怪力のせいで、彼らにはいじめとしか思えない様子。劇中では「頭(かしら)」という名前は呼称されない。 湯バード(ゆバード) / ハエドリ 首から上は湯婆婆と同じ顔(ただし、顔色は黒い)、体はカラスという不気味な姿の人面鳥。常に湯婆婆に付き従っている。言葉は話せず、カラスのような鳴き声を発する。 中盤で銭婆の魔法でハエのように小さい鳥(ハエドリ)にされ、以降は終始この姿で、坊と共に行動する。ネズミに変えられた坊を足でつかんで飛ぶこともできる。湯婆婆がネズミにされた坊と会った際、気づかずに汚いものを見るような言動をされたことで、坊と共に信じられないと言いたそうな表情を見せている。 ネズミにされたが後に元の姿に戻った坊とは違い、元の姿には戻りたくないようで、最後までハエドリの姿だった。 「湯バード」という名前は劇中では呼称されない。
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