よりしろとは? わかりやすく解説

より‐しろ【依り代/×憑代】

読み方:よりしろ

神霊寄りつくもの。神霊は物に寄りついて示現(じげん)されるという考えから、憑依(ひょうい)物としての樹木岩石動物御幣など。


よりしろ 【依代・憑代】

神霊招き寄せられて乗り移るとされるもの。樹木岩石人形などがそれとされる場合多く神霊代りとしてこれを祭る。神霊よりつくもの。かたしろ

依代(よりしろ)

神霊降臨する際の媒体となるもの。

依り代

(よりしろ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/13 08:52 UTC 版)

由岐神社京都市左京区)の神木注連縄が張られ、依り代であることが示されている

依り代(よりしろ、依代憑り代憑代)とは、神霊が依り憑く(よりつく)対象物のことで、神体などを指すほか、神域を指すこともある。

意味

日本の古神道の由来の民間信仰神道の根底には、あらゆる物に精霊などのマナ(外来魂)が宿ると考える自然崇拝があった。その意味では、依り代とは、森羅万象がなりうるものである。一般的に、マナは太陽、山河、森林、海などから来て物、特に石や木につくとされ、そのような物を祀る磐座(いわくら)信仰や神籬(ひもろぎ)信仰が始まっていった。そのようにして祀られる巨石・岩や高木には、現在も注連縄が飾られる。

また、日本の神として古事記日本書紀にある人格神(人の形や人として捉えられる神)にも、根底に同じ考え方があり、所縁のある物や象徴する物(中が空洞の物体が多い)に依り憑いて具象化する(太陽神を象徴する、髭籠等)ことで力を及ぼすと考えられたようである。

言葉

祭礼で使われる梵天(ボンデン、ホデ)と呼ばれる「床屋の耳掻きの、丸く切りそろえたる」物や、だいがく、などは神霊を迎える側からの呼称である招代(おきしろ)と呼ばれる。

折口信夫は、1915年4月、雑誌『郷土研究』へ掲載した論文『髯籠の話』の中で、柳田國男柄杓杓子に関する膨大な資料等を参照し、「採り物」と呼ばれる柄杓状の呪具が、マナを招き、「えぶる(集める)」物を指すものの、古神道や日本の民俗信仰で用いられる、神降ろしの印を表す言葉がない、という問題から、依り代という言葉を、招代・標山とともに初めて用いた(なお、柳田國男は依り代という語を二度しか用いなかった)。

ただし、現在の神社神道では、森羅万象が依り代になりうるとは必ずしも考えていないため、いわゆる依り代を指す表現は御霊代(みたましろ)・かんなぎ)であり、神奈備(かむなび)等の神域や、時代考証、伝統により由来のはっきりした、上代(じょうだい)(桓武天皇の時代)以前から神体とされるものは、かみしろ(神代・上代)とよばれる。

古神道から神社神道へ

古神道から形式や儀式が、長い歴史のなかで緩やかに定常化されつつあり、現在ほとんどの依り代は、神体として崇拝の対象(依り代が崇拝の対象ではなく、憑依する神が崇拝の対象)となり、家庭での神棚などの簡易なものから、神社に社や神殿などの祭祀の施設が設けられている。

これらの神社などの多くは、もともと古神道で信仰されていた場所に建てられ、その場所にある磐座・神籬がその神社としての依り代となっている場合が多い。また、同様に、(さかき)に代表される(なぎ)などの革厚で光沢のある葉を持つ常緑の広葉樹を、神の依り憑く神木としている。また祭礼など特殊な場合には、山や神殿等から、より身近な場所に神霊を降臨させる臨時の依り代(神輿山車)がある。

ホトケ

柳田國男は、ホトケと呼ばれる道具(墓標あるいは位牌オシラサマ)が存在した調査結果[1]から、「仏教以外の、ホトケという」よりしろがあったという説を提唱している。また、「霊は窪んだ物に依る」という思想を継承していた日本人が、仏教を受容した際「ホトケというカミ」の説明として、善光寺の「臼に乗った仏像」伝承があったのではとする。なお白川静は、仏の語源について、「ブッダの音訳であるが、ケは不明」[2]とし、ホトケの語源に「缶(ホトギ)」起源説が抜きがたく存在する。

付喪神や塚・慰霊と感謝

日本には森羅万象に神や魂が宿るという考え方から、多くのものや事柄に対し「畏怖や畏敬の念を抱く」という考え方があり、またそれは、物に対する感謝や、物を大事にする・大事に使う・大事に利用する(食する)という考えにつながり、様々なものを依り代として祀ってきた。

付喪神とは、長く使われた物に、霊が宿ったものをさす。道具は、杓子、柄杓、のようなものから唐傘井戸など生活に係わる全般におよぶ。

人の作った塚には、様々な生き物や道具などに憑いた神が、荒ぶる神にならぬよう、幸をもたらしてくれるようにと祀った碑としての(古墳は除くが信仰の対象となっているものもある)がある。具体的な例としては、人形塚・包丁塚・道具塚などの人工物を祭るものや、鯨塚や魚塚といった生き物、または、戦乱や災害や不幸や事件で無くなった人やその遺品を収める、蒙古塚・首塚・刀塚、ヨリマシを埋めたものであるらしい「頼政塚」、鵺塚等がある。

脚注

  1. ^ 定本 柳田國男集 第10巻 上記参照の理由から、柳田はホトケを、「よりまし」と表記する
  2. ^ 白川静 『字訓』

関連項目


よりしろ(依り代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 10:06 UTC 版)

まちカドまぞく」の記事における「よりしろ(依り代)」の解説

原作第2巻第21話でしおんが提供したホムンクルス用の粘土用いて造形した、リリス憑依して動かすことのできる人形。このときリリス外見知らなかったため、シャミ子の姿を可愛らしくデフォルメした姿で造形されている。魔力込めて造形しているため、リリスはこの依り代憑依しているときは命令逆らえず、悪事を働くことはできない。またあまり長持ちせず時間経過すると死ぬうえに風呂浸かる溶けるが、原作第3巻35話では予備依り代大量に用意し何度死んで生き返ることができる特性活用された。

※この「よりしろ(依り代)」の解説は、「まちカドまぞく」の解説の一部です。
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