東京大学教育学部附属中等教育学校とは? わかりやすく解説

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東京大学教育学部附属中等教育学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/04 06:11 UTC 版)

東京大学教育学部附属中等教育学校
北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861座標: 北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861
過去の名称
  • 旧制東京高等学校
  • 東京大学附属中学校
  • 東京大学附属高等学校
  • 東京大学教育学部附属中学校 高等学校
国公私立の別 国立学校
設置者 国立大学法人東京大学
設立年月日 1948年5月30日
共学・別学 男女共学
一貫教育 中等教育学校
課程 全日制課程
単位制・学年制 学年制
設置学科 普通科
学期 2学期制
学校コード D213110000011
中等教育学校コード 13007K
所在地 164-8654
東京都中野区南台一丁目15番1号
外部リンク 東京大学教育学部附属中等教育学校
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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東京大学教育学部附属中等教育学校(とうきょうだいがくきょういくがくぶふぞく ちゅうとうきょういくがっこう)は、東京都中野区南台に所在する国立中等教育学校

2000年に中等教育学校に移行し、国立で日本初の制度上の中高一貫校となった[1]

沿革

起源は1921年創立の七年制の官立旧制東京高等学校学制改革に伴い1948年に新制中学校として東京大学に包括され「東京大学附属中学校」として再編した。翌1949年には学年進行による新制の「東京大学附属高等学校」が発足し、旧制七年制高校の流れをくむ日本初の男女共学の中高一貫型の学校形態が誕生した。

1950年に東京大学に教育学部が創設され、1951年、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となった。2000年4月1日国立学校で初の中等教育学校となり、学年は高1・高2・高3がそれぞれ4年・5年・6年に改編。後期課程(高等学校に相当)においては欠員が生じた場合に若干名入学(編入学)者を募集する[2]中高一貫校となった。

年表

  • 1921年大正10年)- 官立旧制 東京高等学校創設。
  • 1948年昭和23年)5月30日 - 学制改革に伴い、「東京大学附属中学校」(新制中学校、男子校)として再編。
  • 1949年(昭和24年)-「東京大学附属高等学校」が開校し、日本初の男女共学の中高一貫教育の開始。筆記試験無しの公開抽選で入学者選抜を行う。
  • 1950年(昭和25年)- 東京大学教育学部が発足。
  • 1951年(昭和26年)- 教育学部に移管され、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」と改称。
  • 1953年(昭和28年)- 双生児募集枠を設け、双生児男子10組、女子10組の募集を開始。
  • 1955年(昭和30年)- 高校への自動的進級の改定(学年の10%以内を進学不許可とし、補欠募集を実施)。
  • 1966年(昭和41年)- 高等学校の補欠募集を停止し、完全中高一貫教育体制となる。2-2-2制を採用し、「特別学習」を開始。
  • 1980年(昭和55年)- 入学者選抜を、公開抽選のみから、公開抽選後に学力検査実施に改訂。
  • 1999年平成11年)- 全国に先駆け、入学者選抜試験の学力検査を「適性検査型入試」で実施。
  • 2000年(平成12年)- 国立で初の中等教育学校への移行、「東京大学教育学部附属中等教育学校」と改称。
  • 2001年(平成13年)- 総合教育棟が完成。教員も7名増員となる。
  • 2007年(平成19年)- 入学者選抜試験で抽選を廃止する。
  • 2010年(平成22年)- 入学者選抜試験を改定し(適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、実技)とし、本格的な学力試験を導入する。
  • 2013年(平成23年)- 新体育館、グラウンド落成。
  • 2017年(平成29年)- 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センターとの連携を開始する。
  • 2018年(平成30年)- 「空間UI技術」で部屋全体をデジタル化したDeAL教室完成。
  • 2019年(平成31年)- 入学試験での双生児募集枠を一般選抜枠内に含める方針に変更。(双生児6 - 7組程度/1学年)
  • 2020年令和2年)- 東大院生による季節補習開始。コロナ禍のオンライン授業でTOEFLのCriterion導入開始。TOEIC Bridge L&R・TOEIC Bridge S&Wを全学で受験開始。
  • 2021年(令和3年)- 東京大学芸術創造連携研究機構発足に伴い、「アートを遊ぶ、アートに学ぶ、アートで繋がる」学問と芸術教育の連携を開始。空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業の探求学プログラムにおいて、東大院生によるZoomを用いた生徒支援を開始。入学者選抜試験の情報公開を開始。
  • 2022年(令和4年)- 東京大学教育学部の教授陣によるリレー講義形式の授業「現代教育学入門」を開始。
  • 2024年(令和6年)-文部科学省 新しい時代の学びの環境整備先導的開発事業 校舎大規模改修開始。
  • 2025年(令和7年)-スクールアドボケート導入。

所在地

東京大学中野キャンパス旧制東京高等学校の敷地)内にある。2010年4月に東京大学海洋研究所が柏キャンパスに移転したものの、その後も中野キャンパスという呼称は残り現在に至る[1][2][3]

教育目標

教育目標は「未来にひらく自己の確立[3][4]としている。

[3]

アドミッション・ポリシー(入学者に求められる資質・能力)
  • 学習に向き合うことのできる素直さ
  • 知らないことや取り組んだことのないものと関わろうとする知的好奇心
  • 感じたことや考えたことを、自分のことばによってまとめられる表現力
  • 小学校段階までの学習を修めていると認められる基礎学力[5]
グラデュエーション・ポリシー(育成を目指す資質・能力)
  • 自己との対話・多様な他者との対話を通して多岐に亘る事象に関心を深め、筋道を立ててその本質を問い続けることができる
  • 主権者、社会の形成者として未来のために行動することができる
カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)
【基礎期】
  • 探究の楽しさ大変さに気づかせ、探究的な学びへの手応えを持たせる
  • 思考、探究するための基礎的学力を身につけさせる
  • 他者との違いを認識しその違いを受け止められるように促す
  • 自らの所属する集団のために自分にできることを進んで行おうとする姿勢を育む
【充実期】
  • 解決方法を考えながら課題と向き合い探究する機会を積極的・意図的に設ける
  • 課題を見出す力や、協働するための幅広い学力を身につけさせる
  • 自己と他者の個性を尊重しながら協働して課題に取り組み、互いの成長が実感できるように促す
  • 社会の中で生きる将来の自分の姿を想像しながら、種々の選択・決定を行い行動できる力を培う
【発展期】
  • 社会との接点を踏まえつつ自らの興味・関心に基づいた探究ができる機会を充実させる
  • 自分の進路に向けて深く思考・探究する学力を身につけさせる
  • 自己と他者とが互いに支え合っていることを自覚しながら協働して社会に働きかける力を培う
  • 学校という枠組みを超えて多様な他者と連携しながら思考し行動する機会を多く設ける

通学

学区は通学時間が片道最大90分程度を目安とする区域内に居住している生徒が対象となる。

学校行事

  • 4月 - 入学式・始業式、新体力テスト/健康診断
  • 5月 - 遠足、3年球技大会、生徒総会、中間考査
  • 6月 - 1年地理実習、体育祭、2年進路講演会、球技大会、3年実力テスト
  • 7月 - 期末考査、終業式、1年林間学校
  • 8月 - 夏休み(クラブ合宿)
  • 9月 - 始業式、辛夷祭(文化祭)、1・2年実力テスト、2年進路講演会、3年実力テスト
  • 10月 - 中間考査、1年野外実習
  • 11月 - 2年学習旅行、1年球技大会、3年実力テスト
  • 12月 - 期末考査、1年プラネタリウム見学、終業式、1年スキー学校、2年スキー教室
  • 1月 - 1年スキー学校、始業式、歌留多会、1・2年実力テスト
  • 2月 - 1年・2年マラソン記録会、1年科学見学実習、2年社会見学実習
  • 3月 - 卒業式、期末考査、終業式

部活動

設備・施設

  • グラウンド
  • OA教室
  • 多目的室
  • 武道場
  • 体育館アリーナ
  • プール
  • 図書館
  • 美術室
  • DeAL教室
  • 音楽室
  • 工芸室
  • 化学実験室

入試

  • 1980年から入学試験を開始し、公開抽選との組み合わせが可能になった。2008年には、文科省の研究依頼で抽選を廃止し、全国の国立公立の中高一貫校のモデルとなる「適性検査型入試」を全国で初めて実施した。400字作文、実技を含む教科横断型の出題で論理的思考力・読解力・記述力・数学力・表現力と試行力を測る[1]。これをもとに、国公立中高一貫校の入学者選抜に関して、「学校教育法施行規則」にて「入学者選抜に当たって学力検査を行わないものとする」という規定が定められるようになった。
  • 受験競争の低年齢化を招くことのないよう配慮するため、中学受験塾の早期対策を良しとしない考えから、2020年度までは入試情報を一切公開せず過去問の販売も無く、入試情報が極めて少なかった。しかし、2021年度より入試情報の公開に努め始め、受験生の試験問題の持ち帰りを初めて可能とした。その結果、過去問集の販売もようやくこの年から開始された。
  • 東京大学における双生児研究の目的で、1953年より双生児入学枠を設けていた。2020年度入学試験以降、双生児募集枠は廃止し一般選抜枠内に含めることになったが、若干の双生児入学者の選抜を継続している。本研究は、同一ないし極めて類似した遺伝や家庭等環境において、教育手法等が、どのように差異を生じさせるかまたは生じさせないのか、また、同様の教育環境においても差異がどのように生じるかを検証するものであり、教育における遺伝的要因と環境的要因についての分析・研究の蓄積を国際的な学術研究に発展させている[6][7]。ただし双生児研究がメインの学校ということではなく、各種研究のうちの一つという位置づけである。

著名な関係者

元教員

出身者

関連文献

  • 『中高一貫教育1/2世紀-学校の可能性への挑戦』(東京書籍1998年4月27日発行)- 東京大学教育学部附属中・高等学校著作
  • 『新版 学び合いで育つ未来への学力-中高一貫教育のチャレンジ』(明石書店2010年6月10日初版発行)- 東京大学教育学部附属中等教育学校編著
  • 多様なアートと出会う Art Crossroads 東京大学教育学部附属中等教育学校の取り組み(あいり出版、2025年3月23日東京大学教育学部附属中等教育学校 芸術祭実行委員会著作、藤田航、仁張誠子、蓬田息吹 編著 )

脚注

出典

  1. ^ a b 「適性検査」のルーツ②東大付属と名古屋大付属、それぞれの試行錯誤”. 朝日新聞EduA (2022年11月9日). 2024年5月4日閲覧。
  2. ^ 編入学説明会”. 東京大学教育学部附属中等教育学校. 2025年1月11日閲覧。
  3. ^ a b 教育目標”. 東京大学教育学部附属中等教育学校学校. 2024年5月4日閲覧。
  4. ^ シンポジウム「これから求められる主体的・探究的な学びのかたちとは―東大附属中等教育学校での教育実践と効果検証から見えてくるもの―」”. 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センター (2022年2月13日). 2024年5月30日閲覧。
  5. ^ 入学者に求められる資質・能力~アドミッション・ポリシー~”. 東京大学教育学部附属中等教育学校. 2024年5月29日閲覧。
  6. ^ 双生児研究”. 東京大学教育学部附属中等教育学校 (2022年1月6日). 2024年4月16日閲覧。
  7. ^ 大学院進学希望の方へ”. 東京大学 大学院教育学研究科. 2024年4月16日閲覧。

関連項目

外部リンク

単発記事




固有名詞の分類

東京都中学校 杉並区立松渓中学校  東星学園中学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  杉並学院中学校  日本大学豊山女子中学校
東京都高等学校 佼成学園女子高等学校  東京都立芦花高等学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  田園調布雙葉高等学校  東京都立第五商業高等学校
日本の国立中学校 静岡大学教育学部附属島田中学校  信州大学教育学部附属松本中学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  三重大学教育学部附属中学校  鹿児島大学教育学部附属中学校
中等教育学校 桐蔭学園中等教育学校  新潟県立柏崎翔洋中等教育学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  山口県立下関中等教育学校  仙台市立仙台青陵中等教育学校
日本の国立高等学校 神戸大学附属中等教育学校  京都教育大学附属高等学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  お茶の水女子大学附属中学校・高等学校  東京学芸大学附属高等学校
東京都の高等学校 東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校  筑波大学附属中学校・高等学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  お茶の水女子大学附属中学校・高等学校  東京学芸大学附属高等学校
東京都の中学校 東京学芸大学附属竹早中学校  お茶の水女子大学附属中学校  東京大学教育学部附属中等教育学校  お茶の水女子大学附属中学校・高等学校  聖ドミニコ学園

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