日本の法令ではないが参照されるもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 07:51 UTC 版)
「法令」の記事における「日本の法令ではないが参照されるもの」の解説
次のものは法令ではないが、しばしば法令の解釈の参考にされる。 国会決議(衆議院決議、参議院決議) 国会または議院(衆議院、参議院)の意思決定。法律案を通した場合に「○年後に見直しする」といった附帯決議が行われることがある。 閣議決定、閣議了解、閣議報告 内閣の意思決定である。選挙の公示日の閣議決定の様に強い拘束力を持つものもある。 予算 法令ではないが、法令としての性格も合わせ持っている。 規格 日本産業規格、日本農林規格など。 告示 公の機関が、指定・決定に基づいてその機関の所掌事務について、一般に知らせる事項である。国の機関のものは官報に登載される。その目的は様々であるが、府省令の委任により大臣が一定の事項を定めるべき場合などは告示の形で定められ、この場合には法令としての効力を有する。代表的な例として文部科学大臣告示の形式をとる「学習指導要領」、厚生労働大臣告示の形式をとる「日本薬局方」がある。 訓令 行政機関およびその職員を対象として定められる命令である。各省大臣、各委員会及び各庁の長官が、その機関の所掌事務について命令するため、所管の諸機関及び職員に対し発するものである。公共性が強く官報や各行政機関のホームページ等に掲載されるものと、行政機関の中堅幹部以下の役職配置を定めるなどの非公表扱いのものがある。 通達(通知) 上級機関が下級機関に対して、その機関の所掌事務について示達するため発翰する公文書のこと。法令の解釈等を示すものとして、当該法令を所管する省庁が下級機関に対して発翰することが多い。ただし、あくまで行政機関内部の文書であることから、通達で示された法令の解釈は司法の判断を拘束しないが、行政解釈を知る手段として重視される。 行政実例 法令の適用にあたって、その法令を所管する機関が示す解釈のこと。下級機関からの照会に対する回答という形式で示されることが多い。文書記号・文書番号(発翰番号)及び発翰年月日を付した上で、官職名でもって照会者に対し回答がなされる(例:A県B部長あてZ省Y局X課長回答)。その内容は当該機関が組織として示す公的な見解とされ、しばしばいわゆる有権解釈として取り扱われる。通達と同じく、そこで示される解釈は司法の判断を拘束する力を持たないものであるが、指揮監督という関係に基づき、当該事案及び事後の同種事案において下級機関の判断を事実上強く拘束する。また、インターネットによる行政機関のサイトにおいて所管法令等の解釈がされることがある。 内簡 法令で抽象的に示された規定についてそれを具体的に認定する際の一定の基準や、仔細にわたるため法令で規定するになじまない事項などを参考として地方自治体などに示したもの。法的な拘束力はないが、地方自治体の判断に対して実質的な影響力があり、これを誘導する目的で発出されることも多い。なお、本来の表記は「内翰」であるが、常用漢字による制約のため「内簡」と表記されるようになった。 協定 当事者間の取るべき処置について取り決めた合意の総称である。覚書・念書・協議書等が該当する。 規程 行政組織の執務に関する内部規則で条文形式で定めている。 要綱 行政の執行の指針を定めた内部規程である。組織要綱、助成要綱、指導要綱等がある。 行政機関著作物 「学習指導要領解説」・文部科学省著作教科書等によって学習指導要領よりも詳細な教育内容が示される。このほか官報や法令全書で正式に公示されない通達はこのような著作物に収録されることによって初めてその存在や内容が確認できることがある。中には「公用文作成の要領」のように(旧)文部省や文化庁名義の著作物に収録された「読み替え版」が一般に通用しているというものもある。紙媒体に限らず行政機関のウェブサイトで法令の解釈の解説文等が掲載されることもある。 日本放送協会(NHK)放送受信規約 約款は法令ではないが、放送法によりテレビ設置者はNHKとの受信契約締結義務規定があるため、その契約条項である規約は法令に準する性格を持つことになる。 各種郵便約款(旧省令各種郵便規則) 郵便法の規定により、日本郵便株式会社は、郵便の役務に関する提供条件について郵便約款を定め、総務大臣の認可を受けなければならないと規定されている。そのため、法令に準じた性質を持つ。 国公立学校学則 会計基準 企業会計原則、原価計算基準など。旧大蔵省の企業会計審議会(より古くは企業会計制度対策調査会)、2001年以降は公益財団法人財務会計基準機構内の企業会計基準委員会により定められる。公認会計士らに対する強制力はあるとされるものの、法令ではなく、法令のような一般的な強制力はないが、商法・会社法・金融商品取引法などの会計制度に関係する法令を制定・改正するに当たっての指針とされることもあるなど、法令より上位に位置付けられることもある。 パブリックコメントの結果に対する当局の考え方 パブリックコメントにおける質問に対する、その結果の発表の際に当局の示す考え方は、行政解釈を知る手段として重視されている。 立案担当解説 法令の立案担当者が私見という形で書籍や雑誌記事で解説を行うことがあり、その中で解釈を示すことがある。これは行政解釈そのものではないが、それに準じるものとして重視されている。
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