延期決定後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 01:02 UTC 版)
「新型コロナウイルス感染拡大による東京オリンピック・パラリンピックへの影響」の記事における「延期決定後」の解説
2020年6月4日、日本政府や東京都が、大会時の感染予防策として、選手を含む大会関係者や観客へのPCR検査の実施や、観客の削減や開閉会式の簡素化など、運営方式の簡素化などを検討している事が発表された。同時に、開幕1年前の大規模イベントを見送る方針であることも発表された。 2020年9月7日、IOC副会長のジョン・ダウリング・コーツは感染症の流行状況に関わらず、予定通り大会を開催すると語った。しかし、9月9日、IOC会長のバッハはコーツの発言について「文脈をみなければならない」とし、「コーツ氏は全ての参加者にとって安全安心な環境で大会を行うという原則で取り組んでいる」と述べ「大会に関わる全ての人にとって安全安心な環境で実現する」とする従来の見解を改めて強調した。 2021年1月16日、海外メディアが東京オリンピック・パラリンピックの中止に相次いで言及していると報道された。米ブルームバーグ通信と米有力紙ニューヨーク・タイムズは15日、「第二次世界大戦以来、最初の中止となる可能性がある」と報じた。また、日本国内に緊急事態宣言が発出された1月7日にはAP通信が「ウイルスの急速な広がりが五輪の計画を危うくしている」と報じていることなどを挙げ、「中止や再延期を否定するIOC、政府、組織委と国内世論との温度差を指摘する報道が目立っている」とした。 2021年1月21日、世界最古の日刊新聞である英タイムズ紙は、日本政府が新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックを中止せざるをえないと非公式に結論づけたと報じた。また、「現在の焦点は次に開催枠が空いている2032年の五輪大会を確保することにある」とも報じている。しかしながら、これら一連の報道に対し、坂井学官房副長官は22日の記者会見で「そのような事実がないということをきっちり否定させていただきたい」と強調し、タイムズの報道を否定した。また、オーストラリアと米国の五輪委員会は22日、予定通り五輪の準備を進めていると表明し、米オリンピック・パラリンピック委員会は「五輪が予定通りに実施されないとの情報は受け取っていない」とTwitterで表明した。 2021年2月2日、東京五輪組織委員会の森喜朗会長は、今夏の開催について「私たちはコロナがどういう形であろうと必ずやる」と明言し、さらに「一番大きな問題は世論とコロナ」「やるか、やらないか、という議論ではなく、どうやるか」などと語った。これに対し、オーストラリアのen:News.com.auは「五輪組織委員会が、東京に巨大な中指をおっ立ててみせた」と報じ、フランスのAFP通信も「大会を開催するという絶対的な決意表明の協調努力は、日本の人々に対する顔面への平手打ちだ。」と報道するなど、海外メディアが大きくかみついた。 2021年4月6日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)体育省は「新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機状況から選手たちを守るため」を理由として、大会への参加を断念することを発表した。IOCには北朝鮮が大会出場を取り止める正式な通知が届いていないとして、体育省に対し、事実確認を含む話し合いを模索してきたが、「(北朝鮮が獲得している)出場枠の再振り分けを行うタイムリミットが来ている」として、同年6月8日に不参加を事実上容認することを発表した。その他の国は予定通り参加したため、新型コロナウイルスを理由とした不参加を表明した唯一のケースになった。なお、北朝鮮が夏季五輪不参加となるのは1988年のソウルオリンピック以来である。 2021年5月28日、4月以降にオリンピック・パラリンピックの大会関係者や選手らが入国し、そのうち87%にあたる1432人は政府が入国者に求める2週間の待機を免除したことが判明した。通常の入国者は自宅や宿泊施設で2週間待機する事が必要だが、選手やコーチ、審判などの大会関係者は、待機期間を短縮する例外措置が適用される。 2021年5月25日、公衆衛生専門家らによる「緊急提言、五輪参加者をコロナから守るためのリスク管理」と題する論文が世界的な医学雑誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンのウェブ版に掲載された。この論文では、「国際オリンピック委員会(IOC)の開催決意は最善の科学的根拠に欠ける」と断じ、IOCのコロナ対策指針(プレーブック)と本来取るべき方策とが比較された。なお、丸川珠代五輪担当大臣は「論文ではアスリートへの検査頻度が明確ではないとしているが、プレーブックにはアスリートに原則として毎日検査することが明示してある」などとして反論したが、同論文で推奨しているのは「毎日の検査」ではなく「毎日のPCR検査」である。 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は「今の状況で(大会開催を)やるのは普通はないわけだ。パンデミック(世界的大流行)の状況でやるのであれば、開催規模をできるだけ小さくして管理体制をできるだけ強化するのは主催者の義務だ」と述べた。感染症対策の専門家らが五輪に関して発言を強めることに、政権幹部は「現場を知らない作文だ」などとしていら立ちを見せている。 2021年6月18日、オリンピック・パラリンピックと感染拡大のリスク評価に関して、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長などの専門家が提言をまとめ、大会組織委員会の橋本会長と西村経済再生担当大臣に提出した。無観客での開催が、感染拡大のリスクが最も低く「望ましい」としている。 2021年6月23日、選手村の村長を務める川淵三郎はインタビューで「(オリンピックを)返上すれば、『日本人は意気地がない、気概がないのか』と、世界から蔑視される可能性がある。国を挙げた努力もしなかったという汚名が何十年、百年以上残る。」と、開催に消極的な国内世論を批判した。
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