幕府再興とは? わかりやすく解説

幕府再興

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 01:41 UTC 版)

織田信長」の記事における「幕府再興」の解説

永禄12年1569年1月5日信長率い織田主力美濃国帰還した隙を突いて三好三人衆斎藤龍興浪人衆が共謀し足利義昭仮御所である六条本圀寺攻撃した本圀寺の変)。しかし、信長豪雪の中をわずか2日援軍駆けつけるという機動力見せた。もっとも、細川藤賢明智光秀らの奮戦により、三好斎藤軍は信長到着待たず敗退していた。これを機に信長義昭為に二条大規模な御所築いた同年2月、堺が信長使者である佐久間信盛らの要求を受ける形で矢銭支払い応じると、信長以前より堺を構成する堺北荘・堺南荘にあった幕府御料所代官務めてきた堺の商人今井宗久代官職安堵して自らの傘下取り込むことで堺の支配開始、翌元亀元年1570年4月頃には松井友閑堺政所として派遣し松井友閑今井宗久(後に津田宗及千利休が加わる)を軸として堺の直轄地化を進めたまた、現存する文書では)同年1月以降に南近江に対して出される信長発給文書書式尾張美濃同一のものが採用され同地域が織田領国編入されたことが明確となった。 一方1月14日信長足利義昭将軍として権力制限するため、『殿中御掟』9ヶ条の掟書、のちには追加7ヶ条を発令し、これを義昭認めさせた。だが、これによって義昭信長対立決定的なものになったわけではなく、この時点ではまだ両者お互い利用し合う関係にあったまた、殿中御掟』及び追加条文室町幕府規範先例出典があり、「幕府再興」「天下静謐」を掲げ信長幕府法や先例吟味した上で制定したもので、これまでの室町将軍あり方から外れるものではなかったとする研究もある。 同年3月正親町天皇から「信長副将軍任命したい」という意向伝えられたが、信長何の返答もせず、事実上無視した。(代わりに草津大津と堺の土地貰った。) 永禄13年元亀元年1570年1月23日信長義昭に対して更に5ヶ条の条書発令して、これも義昭認めさせた。この条書についてもかつては将軍権力制約をより強化するものとするのが通説であったが、これと前後して信長書札礼関東管領上杉謙信)と同じ様式引き上げられていることから、義昭の上以来一貫して幕府における役職就任拒んできた信長管領准じる身分(「准官領」)を得て正式に幕府高官一員として義昭補佐することに同意してそれに伴う信長側の要望述べたものに過ぎない(元々、信長幕府役職に就いてより積極的に天下静謐」に参画するように求めたのは義昭の方である)と言う通説とは全く異な評価出されている。 信長自身当初考えでは、幕府再興の実現後も幕府対す軍事的な奉仕続けるものの、京都政務幕府が行うべきで、自身領国である美濃に留まって必要があれば京都にいる自己の奉行人を介して関与する方針取ろうとしたと考えられている。山科言継直接岐阜城訪れて訴訟裁許求めた際には信長からは勅命以外の訴訟美濃では扱わないことを言明しているが(『言継卿記永禄12年11月12日条)、その後同様の申入れ相次いで重ねて美濃では公事訴訟受け付けず陣中からの注進以外の話は聞かない旨を制札立てたという(同元亀2年12月16日条)。しかし、幕府による訴訟遅延問題後述)や軍事的な強制力を持つ織田家力を借りて訴訟解決したいと言う考え強かったこのため信長上京するたびに多く訴訟持ち込まれる事態となったまた、村井貞勝や明院良政始めとする京都にいた信長奉行人同様の裁許求める者もあった。ところが、信長政務担い手として期待していた幕臣たちが公家領寺社領押領当事者になることがあり、中には幕府自らが没収し幕臣所領として与え場合もあった。加えて室町幕府では足利義輝永禄5年1562年)に代々政所執事務めてきた伊勢貞孝討って側近摂津晴門後任として以降将軍側近による御前沙汰強化して将軍権限強めていく幕政改革行い義昭この方針を継承していたが、結果的に政所弱体化によって大量事案対応しきれなくなって訴訟遅延を招くことになった。そして、何よりも義昭自身恣意的な裁許行ったことによって問題深刻化させる事態発生していた。信長による『殿中御掟』の制定幕府における訴訟円滑化と義昭側近による恣意的な裁許止めて公正な訴訟が行われることで幕府安定化意図したもの考えられている。ただし、幕府再興のために将軍幕臣態度に対して積極的に意見していく信長姿勢は、義昭側近幕臣たちから義輝時代三好長慶再来として警戒対象になった可能性指摘されている。

※この「幕府再興」の解説は、「織田信長」の解説の一部です。
「幕府再興」を含む「織田信長」の記事については、「織田信長」の概要を参照ください。

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