実験化学
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1995年、元素の分離の試みに関する最初の報告は不成功であり、ボーリウム(比較のために軽い同族体であるテクネチウムとレニウムを使用)を研究する最善の方法を研究する新たな理論研究を促し、3価アクチノイド、第5族元素、ポロニウムなどの不要な汚染元素を取り除いた。 2000年、相対論効果が重要であるにもかかわらず、ボーリウムは典型的な第7族元素のように振る舞いことが確認された。ポール・シェラー研究所(英語版)(PSI)のチームは249Bkと22Neイオン反応で生成した267Bhの6個の原子を用いて化学反応を行った。得られた原子は熱平衡化され、HCl/O2混合物と反応し揮発性のオキシ塩化物が形成された。この反応により軽い同族体であるテクネチウム(108Tc)とレニウム(169Re)の同位体も生成した。等温吸着曲線を測定すると、オキシ塩化レニウムと同様の性質を持つ揮発性オキシ塩化物が形成されている強い証拠が確認された。これによりボーリウムは第7族元素の典型となった。この実験ではテクネチウム、レニウム、ボーリウムのオキシ塩化物の吸着エントロピーが測定され、理論的予測とよく一致し、第7族でオキシ塩化物の揮発性が低下することを示唆している。 2 Bh + 3 O2 + 2 HCl → 2 BhO3Cl + H2 重い元素の娘として生成されたボーリウムの半減期が長く重い同位体は将来的な放射化学実験に有利な性質を持っている。重い同位体274Bhは生産するときに希少で放射性の高いバークリウムのターゲットを必要とするが、同位体272Bh, 271Bh, 270Bhはより容易に生成できるモスコビウムやニホニウムの同位体の娘として容易に生成することができる。
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実験化学
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モスコビウムの化学的性質の明確な決定はまだなされていない。2011年、アメリシウム243とプルトニウム244をターゲットとしてカルシウム48を衝突させ、ニホニウム、フレロビウム、モスコビウムの同位体を作成する実験が行われた。ターゲットには不純物として鉛とビスマスが含まれていたため、核交換反応でビスマスとポロニウムの同位体が生成した。これは予期しない事態であったが、ビスマスとポロニウムのそれぞれ重いホモログであるモスコビウムとリバモリウムの化学的性質を将来調べる際に有益な情報を与えてくれた。生成したビスマス213とポロニウム212mは、850℃の温度でタンタルによって支持された水晶羊毛フィルターを通って、水素化物213BiH3及び212mPoH2として運ばれ、驚いたことに熱安定性を示した。しかし、より重いホモログのMc3やLv2は、周期表上のpブロックの傾向から、ここまでの熱安定性はないと予測されている。化学実験が行われる前には、BiH3、PoH2、McH3やLvH2について、安定性や電子構造についてのさらなる計算が必要である。純粋なモスコビウムとリバモリウムは、将来化学実験を行うのに十分な揮発性を持つと考えられる。モスコビウムの同位体288Mc、289Mc、290Mcは、その半減期の短さのため難しいものの、従来の方法で化学的な研究がされている。モスコビウムは、化学実験が可能なほど長い半減期を持つ同位体が知られる最も重い元素である。
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実験化学
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フレロビウムは、これまで化学的な実験が行われた最も重い元素であるが、実験から結論を得るにはまだまだ遠い。2007年4月から5月には、フリョロフ原子核反応研究所とパウル・シェラー研究所の共同で、コペルニシウムの化学を研究するための2つの実験が行われた。1つ目の実験は242Pu(48Ca,3n)287Fl反応によるもの、2つ目の実験は244Pu(48Ca,4n)288Fl反応によるもので、これらによってできた短寿命のフレロビウム同位体の娘核であるコペルニシウムが研究された。できた原子の金表面への吸着特性がラドンと比べられ、コペルニシウムの閉殻電子配置から貴ガスのような振舞いとなっていることが予測された。貴ガスと金属表面の相互作用は非常に弱く、金属の特徴とは異なる。 最初の実験では、3原子の283Cnが検出されたが、1原子の287Flも検出されたと考えられる。これは、生成された原子が金表面に届くまでの時間が2秒程度であり、生成した原子は吸着する前にコペルニシウムに崩壊していたはずであることを考えると驚くべき結果であった。2番目の反応では、2原子の288Flと恐らく1原子の289Flが検出された。3つのうち2つの原子は、揮発性で貴ガス様元素の吸着特性を示したが、より最近の計算ではこの結果は予測されていない。これらの実験で、公表された崩壊データとの比較により、コペルニシウム、フレロビウム、リバモリウムの発見がそれぞれ確認された。2008年に、1原子の289Flの検出を確認する実験がさらに行われ、フレロビウムが金と貴ガス様の相互作用を示す以前のデータを支持する結果が得られた。 貴ガス様のフレロビウムへの実験的な支持は、すぐに弱くなった。2009年と2010年に、2007年と2008年の実験結果を確かめるために、フリョロフ原子核反応研究所とパウル・シェラー研究所の共同で、さらにフレロビウム原子が作られた。特に、2010年に初めて作られた3つのフレロビウム原子は再び貴ガス様の特徴を示したが、より曖昧な解釈が可能で、金属としては異常だったが貴ガスの特徴と完全に似てはいなかった。この論文では、2008年の研究で行われたように、フレロビウムの化学的性質を「貴ガスに近い」と呼ぶことは控えられた。金属表面との相互作用によるフレロビウムの揮発性の測定が再び行われ、フレロビウムの揮発性は水銀やアスタチンに匹敵しすることが示唆され、同時に調べられたコペルニシウムでは、12族で最も重い元素ということに適合する、非常に揮発性の高い貴金属であることが示された。それにも関わらず、この揮発性は14族では普通のものではないと指摘された。 より最近の2012年に重イオン研究所で行われた実験で、フレロビウムの化学的性質は貴ガスよりも金属により近いことが示された。Jens Volker KratzとChristoph Dullmanは、コペルニシウムとフレロビウムに「揮発性金属」("volatile metals")という新しいカテゴリーを与えた。Kratzは、これらは標準状態で気体であるかもしれないと推測した。これらの「揮発性金属」は、吸着特性においては、通常の金属と貴ガスの間にくる。2009年と2010年の結果に反して、2012年の実験で、フレロビウムとコペルニシウムそれぞれの金との相互作用はほぼ等しいことが示された。さらなる研究で、以前の実験結果や予測に反し、フレロビウムはコペルニシウムよりも反応性が高いことが示された。 フレロビウムの化学的特徴の実験結果を詳細に論じた2014年の重イオン研究所の論文では、「フレロビウムはこの族で最も反応性が小さいが、まだ金属である」と書かれた。重元素、超重元素の化学と物理学に関する2016年のカンファレンスでは、Alexander YakushevとRobert Eichlerは、フレロビウムの化学に関するそれまでのいくつかの実験結果の不一致に基づき、フレロビウムは金属か貴ガスかという問題については、入手できる情報からはまだ結論がついていないと警鐘を鳴らした。ある研究ではフレロビウムと金の間に弱い貴ガス様の相互作用を示唆したが、別の研究はより強い金属性相互作用を示した。同年、コペルニシウムとフレロビウムの化学的性質を明らかにする新しい実験が重イオン研究所で行われ、そのデータは現在分析されている。 このように、今日までの実験では、フレロビウムの化学的特徴の完全な決定にはまだ至っていないが、沸点の推定は可能であり、-60℃と標準状態では恐らく気体であるとされた。より寿命の長い289Flは、将来的に放射性化学の実験に興味が持たれている。
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