宝山寺1号線・山上線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 18:25 UTC 版)
「近鉄生駒鋼索線」の記事における「宝山寺1号線・山上線」の解説
宝山寺1号線は、開業当初の木造車両を1928年に車体更新したコ1形「いのり」(車番は1)「めぐみ」(車番は2)が使われ、日本で現役最古のケーブル車両として有名だったが、2000年に山上線のコ5形「こぐま」(車番は5)「はくちょう」(車番は6)とともに新型車両に置き換えられた。コ5形は同時期に製造された宝山寺2号線のコ3形とほぼ同型の車体であるが車体長が長く、山上側のフロントガラスがコ3形よりも下に寄っているものだった。引退したコ1形1両が現在、生駒山麓公園に保存されている。 2000年から運行されている車両は宝山寺1号線が、1999年7月にオープンした「IPCわんにゃんふれあいパーク」(2003年に「IPCペットふれあいの森」と名称変更)にちなんで、車掌の帽子をかぶった犬(ブルドッグ)を模した「ブル」、双眼鏡で景色を覗いた三毛猫を模した「ミケ」(ともにコ11形で、車番は「ブル」が11、「ミケ」が12で、これは廃止になった東信貴鋼索線の車両コ9形9・10の続番となっている)であり、山上線が山の音楽会と誕生日会をイメージしたもので、オルガンを模した「ドレミ」、バースデーケーキを模した「スイート」(ともにコ15形で、車番は「ドレミ」が15で「スイート」が16)である。 なお、車両の入れ替えに付いては、宝山寺1号線は近接道路から、山上線は生駒山上駅付近にて行われた。 この4台の車両には、それぞれイルミネーションがあり、「ブル」は目と帽子の帯周りに、「ミケ」は耳と双眼鏡の枠に、「ドレミ」はト音記号と五線譜の上と下の部分に、「スイート」はろうそくの部分とケーキのクリームの部分にそれぞれ電飾が付いている。また、かつては4台共通として、天窓の部分にも電飾があったが後に撤去された。「ドレミ」には前面に楽譜を掲示しているが、曲名は山の音楽家である。「ドレミ」のテーマ曲であり、生駒山上行きは宝山寺 - 梅屋敷間で、宝山寺行きは生駒山上 - 霞ヶ丘間でこの曲が流れ、直行の場合は駅を出発してから行き違う直前までこの曲が流れる。なお、「スイート」は「ドレミ」と行き違う直前でこの曲が流れる。 コ11形は片側2か所、コ15形は片側3か所の乗降扉があるが、冬季には車内保温のために扉を半自動扱いにする(ただし正月のピストン運転時は半自動扱いされない)ため、扉横に開閉ボタンが設置されている。半自動扱いは鳥居前駅・宝山寺駅・生駒山上駅のみ実施するが、扉をすべて開けて乗客を降ろし、その後扉を一旦閉めて半自動扱いとなる。ただしコ15形の場合、中扉にボタンがないため半自動扱い時は中扉を締め切り乗降口は2箇所となる。発車時間が近づくと一旦すべての扉を開け、発車時間になるとすべての扉を閉める。 窓は下段が開閉可能な2段窓であるが、手挟み事故による怪我防止のために乗務員席以外の下段の窓枠に5cmほどのストッパーを設置して完全に閉まらなくしている。なお、この隙間部分にはゴムで隙間を埋める形となっている。 コ11・コ15形は山上側の乗務員席周辺をのぞき、座席はすべて山下側に向いたクロスシートであり、2人-1人掛けで配置されている。ただし、乗務員席の後ろの座席は3人掛けである。また、コ11形には補助シートが設置されている。コ15形の座席については、乗務員席周辺をのぞき壁に対して直角ではなく若干斜め向けに設置されている。 壁については、「ブル」がベージュ基調、「ミケ」が桃色基調の模様入りであり、「ドレミ」は緑系・「スイート」は桃色の単色である。登場時は天井付近に車両の名前や、イラストや文字などのシールがたくさん貼られていたが、天窓のイルミネーション撤去と同時にすべて取り外された。なお、2011年現在も、天井付近をよく見てみると、これらのシールが貼っていた跡が残っていることがわかる。 「ブル」と「ミケ」には独自の車内アナウンスとBGMがある。車内アナウンスは「ブル」が男性の声、「ミケ」が女性の声となっており、内容はケーブルカー車両・生駒山上遊園地の紹介や生駒ケーブルの大まかな歴史などである。BGMは「ブル」が「ピクニック」、「ミケ」が「ねこふんじゃった」で、それぞれ車両の行き違い直前まで流れる。そして車両が行き違う際には告知のアナウンスの後車内で互いの鳴き声を発する(挨拶を交わしているということらしい)。なお、通勤通学時間帯や早朝夜間時間帯は通常のアナウンスとなり、BGM・鳴き声は鳴らさない。また、冬季などの生駒山上遊園地の閉園日は時間帯に関係なく通常のアナウンスとなる。 「ドレミ」と「スイート」にも独自の車内アナウンスとBGMがあり、車両が行き違う際、「スイート」では車内でファンファーレが鳴り、拍手と歓声が鳴る。「ドレミ」は「スイート」の逆で拍手と歓声が鳴り、ファンファーレが鳴る。宝山寺線とは異なり、季節や時間帯に関係なくBGMは鳴らしている。 集電装置はパンタグラフで、コ11形とコ15形はシングルアーム式が1基設置されているが、正面から見て中央に設置せずに山上側の正面から見て右寄りに・ふもと側の正面から見て左寄りに設置されている。これはかつて使われていたコ1形・コ5形が電源供給とは別に通信用に専用のパンタグラフと架線が使われていた名残である。コ1形・コ5形の現役時代末期に通信機器の無線化によって、通信用のパンタグラフと架線が撤去された。 山上線は運行本数が少なくなるために収容力を大きくしているため、宝山寺線よりも車体長が長い。また、宝山寺線よりも車体の角度が急になっているために現在の「ドレミ」と「スイート」でも山上側とふもと側とで前面の印象が異なっている。コ5形の現役時代は梅屋敷駅と霞ヶ丘駅を利用する際は普通に乗車の上あらかじめ車掌に申し出る必要があったほか、コ5形の車内にはバスと同様の降車ボタンが設置されていた。 山上線「ドレミ」 山上線「スイート」 宝山寺1号線「ブル」 宝山寺1号線「ミケ」 在りし日のコ1形(宝山寺1号線) 生駒山麓公園に保存されたコ1
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