非大気依存推進とは? わかりやすく解説

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非大気依存推進

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 03:06 UTC 版)

非大気依存推進(ひたいきいぞんすいしん、: Air-Independent Propulsion, AIP)は、内燃機関ディーゼル機関)の作動に必要な大気中の酸素を取り込むために浮上もしくはシュノーケル航走をせずに潜水艦を潜航させることを可能にする技術の総称。ただし、通常は原子力潜水艦で利用される核動力を含まず、非核動力艦のディーゼル・エレクトリック機関を補助・補完する技術を指す。


注釈

  1. ^ この潜水艇は1955年に進水したものの、公試中の1957年に爆発事故を起こし、ただちにヴァルター機関は撤去された。
  2. ^ 過酸化水素を酸化剤とする水中動力が唯一実用化にまで至ったのは魚雷の動力源としてであり、イギリスおよびソ連においてその種の魚雷が運用された。しかし、腐食性・爆発性のある物質を閉鎖空間で保管する問題があり、哨戒潜水艦シドン英語版の喪失事故を期にイギリス海軍は、ただちに過酸化水素燃料の運用を中止した。また、その後も運用を続けたソ連およびロシアの海軍においても、爆発事故によって潜水艦喪失事故2000年)を起こしている。
  3. ^ 政治的配慮で原子力潜水艦を装備していない国の例として日本やオーストラリアがある。
  4. ^ 海上自衛隊では当初燃料電池方式のAIP機関を有望視して開発を行っており[5]、安全な水素貯蔵技術の開発が難航していたことから燃料電池方式AIP技術の自主開発までのいわば繋ぎとしてスターリング機関の導入が決定された。その後、燃料電池方式AIP技術は「開発移行については技術進展を踏まえつつ十分な検討が必要」[6]として実用化は見送られ、蓄電池としてリチウムイオン二次電池を採用することで水中速力向上と高速航行可能時間の延長を図る方針に転換した。当初は5番艦からリチウムイオン二次電池を搭載する予定であったが、予算面の都合から価格が低廉化するのを待つことになり、11番艦おうりゅうでようやくスターリング機関を廃してリチウムイオン二次電池に置き換えられた。
  5. ^ ただし、これらの計画はカナダ海軍への艦体の引渡しの遅延や船殻の不具合、回航中の火災事故などによる配備の遅れのために、2012年以降への延期が伝えられるなど、先行きが不透明である。

出典

  1. ^ CCDE
  2. ^ CCDEの水中稼働試験
  3. ^ 多田智彦「各国で開発進むAIP潜水艦 (特集・次世代の潜水艦) - (次世代潜水艦をめぐる8つの話題)」『世界の艦船』第618号、海人社、2003年11月、 102-105頁、 NAID 80016160017
  4. ^ 幸島博美「機関/ウエポン・システム (特集 新型SS「そうりゅう」のすべて) -- (新型潜水艦「そうりゅう」の技術的特徴)」『世界の艦船』第713号、海人社、2009年11月、 92-99頁、 NAID 40016812492
  5. ^ 平成17年度 事前の事業評価
  6. ^ a b 平成23年度 事後の事業評価 評価書一覧 次世代潜水艦用AIPシステムの研究
  7. ^ a b 阿部安雄「機関 (海上自衛隊潜水艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第665号、海人社、2006年10月、 124-129頁、 NAID 40007466930
  8. ^ ЦКБ "Рубин": образец анаэробной установки для подлодок уже работает
  9. ^ Россия завершает стендовые испытания нового двигателя для подлодок
  10. ^ 中名生正己「海上自衛隊潜水艦整備の歩み」『世界の艦船』第665号、海人社、2006年10月、 111-115頁、 NAID 40007466930
  11. ^ 小林正男「潜水艦 (特集 新防衛大綱と26中期防) - (新中期防の新造艦)」『世界の艦船』第795号、海人社、2014年4月、 88-91頁、 NAID 40019988898
  12. ^ 平成26年度ライフサイクルコスト管理年次報告書 (PDF)


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