報告された攻撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 18:44 UTC 版)
「マトゥーンの狂気の毒ガス犯」の記事における「報告された攻撃」の解説
1944年の毒ガス犯の事象の最初のものは、1944年8月31日木曜日に、マトゥーンのグラント・アヴェニュー(Grant Ave.)に面した或る家で起きた。アーバン・レーフ(Urban Raef)は、午前の早い時刻に異臭で目が覚めた。彼は吐き気と衰弱感をおぼえ、そして嘔吐の発作を起こした。レーフの妻は、彼が家の内のガス中毒に苦しんでいるのではないかと疑って、台所のこんろ(kitchen stove)を点検して口火(くちび、pilot light)に問題があるかどうかを見ようとしたが、身体の一部が麻痺して、ベッドを離れることができなかった。 その夜遅くに(同時代の記述のなかには、時刻として翌日午前を指しているものもある)、同様の事象が近くに住んでいる若い母親によってもまた報告された。彼女は、娘が咳をしている音で眼が覚めたが、自分はベッドから出ることができなかった。 翌日9月1日に、3つ目の報告された事象があった。マトゥーンのマーシャル・アヴェニュー(Marshall Avenue)のカーニー夫人(Mrs. Kearney)というひとが、午後11時ごろに強い甘い臭いがすると報告したのである。最初、彼女は臭いは窓の外の花からだと信じて、片付けたが、臭いはすぐにきつくなり、彼女は両脚の感覚を失い始めた。カーニー夫人ーはパニック状態に陥り、彼女の通話は、姉妹のミセス・レディ(Mrs. Ready)を呼び寄せたが、彼女は当時、在宅していた。ミセス・レディもまた臭いに気づき、寝室の窓の方向から来ていると断定したが、そこは当時は開いていた。警察に通報したが、徘徊者の証拠は見つからなかった。午前12時30分ごろに(At around 12:30 am)、カーニー夫人の夫バート・カーニー(Bert Kearney)(地元のタクシー運転手で、攻撃の時に留守だった)が、帰宅すると、正体不明の男が、家の窓の1つの近くに隠れているのを見つけた。その男は逃げ、カーニーは彼を捕まえることはできなかった。カーニーによると、徘徊していた人物は背の高い男で、黒っぽい服を着て、きついキャップ帽をかぶっていたというものであった。この説明が、地元メディアで報じられ、マトゥーンの事象を通して毒ガス犯の一般的な説明となった。攻撃の後に、カーニー夫人は、唇とのどに焼ける感じをおぼえていると報告したが、これは毒ガスの影響によるものとされた。 当初は、強盗が攻撃の主な動機ではないかと疑われた。事象当時は、カーニー夫妻の家の中には大金があり、徘徊者が、カーニー夫人とその姉妹がその晩早くにそれを数えているのを見た可能性があると推測された。地元の複数の新聞は、この事象が最初の毒ガス犯攻撃であると不正確に報じた。 カーニーの攻撃から数日後には、半ダースの同様の攻撃があって(表を参照)、ただし、被害者とされる人々はだれも、徘徊者の明確な説明を提供することができなかったし、それら攻撃の現場では手がかりは見つからなかった。物証の最初の標本は9月5日の夜に発見され、その午後10時ころ、カールおよびビューラ・コーデスが家に帰った。彼らは、家で数分間、過ごしたのち、男のハンカチーフよりも少し大きい白い布が、網戸の横にあるポーチにあるのに気づいた。ビューラ・コーデスが布を拾い上げ、その臭いを嗅いだ。彼女は、吸い込むとすぐに、具合がひどく悪くなった。彼女は、その影響は電撃に似ていると説明した。顔がすぐに腫れ始め、彼女は口やのどに灼熱感を感じ、嘔吐し始めた。他の犠牲者と同様に、彼女もまた衰弱感を感じ、両脚の一部の麻痺を経験したと報告した。ビューラ・コーデスはのちに、布がポーチに残っていたが、それは家族の犬を気絶させるためで、そのイヌはいつもはそこで眠り、そのために、徘徊者は、気付かれずに家に着くことができた、と仮定した。 布に加えて、「よく使用されている」("well used")ように見えると記述されている合い鍵が、ポーチに隣接する歩道に、口紅の、大きい、ほとんど空(から)のチューブとともに発見されたと伝えられている。布は当局によって分析されたが、それからは、ビューラ・コーデスの反応を説明し得る化学物質は見つからなかった。 同じ夜に、2つ目の事象が報告されたが、こんどは北13丁目(North 13th Street)の、ミセス・レナード・バレル(Mrs. Leonard Burrell)の家においてであった。彼女は、見知らぬ者が寝室の窓から押し入り、それから自分を毒ガスで殺そうとするのを見た、と報告した。 毒ガス攻撃とされるものに対する公衆の関心は急速に高まったし、FBIが関与したし、地元の警察が声明を出して、住民に居住地域でぐずぐずと留まるのを避けるように呼びかけ、毒ガス犯のためにパトロールするように設立された集団は公共の安全の理由のために解散するように警告した。警察署長C・E・コールはまた、心配している市民らに、銃砲を携帯しまたは発砲させるときは然るべき自制を働かせるように警告した。 この期間中、攻撃が報告されているという物証の増加もまたあって、その範囲は、窓の下で発見されたとされる足痕から、窓網戸の破れに至るまでにおよんだ。 9月12日までに、地元の警察は、あまりに多くのにせの警報を受けていた(大部分は、ガスの臭いがすると思っている、または自分らが徘徊者を見たと信じている市民らから)ので、彼らは毒ガス犯の報告に与えられた優先性を引き下げ、また事象全体がおそらくは、公衆の恐怖によって悪化した説明可能な出来事の結果、そして地元の男性の出征中に女性が感じた不安の表われだ、と発表したほどである。 警察の発表ののち、毒ガス犯の報告は減少した。その日付以降の、議論の余地ある、注目すべき、唯一の事象は、バーサ・バーチ(Bertha Burch)の事例で、彼女は、男装した女性の犯人を見たと主張した。 年月日犠牲者場所備考1944年8月31日 アーバン・夫妻Mr. and Mrs. Urban Raef グラント・アヴェニューGrant Avenue N/A 9月1日 Unnamed N/A 氏名の報道なし 9月1日 チャールズ・ライダー夫人Mrs. Charles Rider プレーリー・アヴェニューPrairie Avenue N/A 9月1日 ミセス・バート・カーニーMrs. Bert Kearney マーシャル・アヴェニューMarshall Avenue First case reported in the media; most Gasser descriptions derive from this case 9月5日 ミセス・ビューラ・コーデスMrs. Beulah Cordes 北21丁目North 21st Street ポーチで見つけた布の臭いを嗅いだ後に体調が悪くなった 9月5日 レナード・バレル夫人Mrs. Leonard Burrell 北13丁目North 13th Street N/A 9月6日 ミセス・ローラ・Mrs. Laura Junken リッチモンド・アヴェニューRichmond Avenue N/A 9月6日 アーデル・スパングルArdell Spangle 北15丁目North 15th Street N/A 9月6日 ミスタ・フレッド・ゴーブルMr. Fred Goble N/A Saw prowler believed to be Gasser 9月6日 ミセス・グレンダ・ヘンダーショット(Mrs. Glenda Hendershott) 南14丁目South 14th Street N/A 9月6日 ミスタ・ダニエル・スポーンMr. Daniel Spohn 南19丁目North 19th street N/A 9月6日 ミセス・コーディ・テイラーMrs. Cordie Taylor チャールストン・アヴェニューCharleston Avenue N/A 9月6日 ミス・フランシス・スミスMiss Frances Smithミス・マキシン・スミスMiss Maxine Smith モートリー・アヴェニューMoultrie Ave N/A 9月7日 上に同じAs Above 上に同じAs Above 青いもやが見え、ガス発生装置から駆動音がしたとされている。 9月8日 ミスタ・C・W・ドリスケルMr C.W. Driskell デウィット・アヴェニューDeWitt Avenue N/A 9月9日 ミセス・ジュヌヴィエーヴ・ハスケルMrs. Genevieve Haskellグレイソン・ウェイン・ハスケルGrayson Wayne Haskellミセス・ラッセル・ベイリーMrs. Russell Baileyミス・キャサリン・タッツォーMiss Katherine Tuzzo ウェストウッドWestwood N/A 9月9日 ミセス・ルーシー・スティーヴンスMrs. Lucy Stephens 北32丁目North 32nd Street N/A 9月10日 Unnamed シャンペイン・アヴェニューChampaign Avenue 氏名の報道なし 9月10日 Unnamed モートリー・アヴェニュー2112番地2112 Moultrie Avenue 氏名の報道なし 9月10日 ミス・フランシス・スミスMiss Frances Smithミス・マキシン・スミスMiss Maxine Smith モートリー・アヴェニューMoultrie Ave 三度目に報じられた事件 9月13日 バーサ・バーチBertha Burch N/A この事件にて、女性の足跡が残されており、犯人は男装した女性であると報じられた (表は不完全である)
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