国際世論と政府の動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 07:15 UTC 版)
「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法」の記事における「国際世論と政府の動き」の解説
イギリス - 英領香港の最後の総督を務めたイギリスのクリストファー・パッテン貴族院議員は「中国は新たな形で独裁政治を進めている。香港の市民は裏切られた。つまり中国は信頼に足る相手でないことを(自ら)証明したわけだ」、などと発言。英中共同宣言に違反する可能性にも言及した。 「クリストファー・パッテン#香港への「国家安全法」適用をめぐって」も参照 5月28日、アメリカ、カナダ、オーストラリアと中国当局を非難する共同声明を発表した。 6月30日に中国当局が同法を施行に踏み切ると、ボリス・ジョンソン首相は翌日の7月1日、英中共同宣言への「明白で深刻な違反だ」と批判した上で、香港市民約300万人に対しイギリスへの入国管理規則を大幅に緩和し、市民権や永住権の申請を可能にする方針を明らかにした。対象となるのは1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つことのできるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者で、現時点で35万人いるほか、申請の条件を満たしている人が260万人いる。BNOの旅券保持者はビザ(査証)なしで英国に6か月間滞在できるが、その期間を5年間へと延長する。5年の滞在期間中は就労が可能で、その後永住資格取得を経て、市民権を申請できる。対象には香港在住のBNOの扶養家族も含まれる。なお、これに対して在英中国大使館は2日、計画を強行するのならば中国も対抗措置を講じると表明した。 7月20日、香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。 アメリカ合衆国 - 5月28日、共同声明を発表。 29日、ドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、中国が香港に国家安全法の導入を決めたことに関し「中国は香港に約束していた『一国二制度』を『一国一制度』に変えた」と批判。「香港の高度の自治は保証されなくなった」と述べ、米国-香港政策法でアメリカが香港に認めている優遇措置を見直す手続きへの着手を表明した。 8月7日、大統領令13936号により、香港国家安全維持法の施行に関与する人物として、アメリカ財務省は林鄭月娥香港行政長官、鄧炳強香港警務処長、盧偉聡元警務処長、李家超保安局長、鄭若驊律政司司長、曽国衛政制・内地事務局長、駱恵寧「駐香港連絡弁公室」主任、張暁明「香港マカオ事務弁公室」副主任、夏宝竜「香港マカオ事務弁公室」主任、鄭雁雄「国家安全維持公署」署長、陳国基「行政長官弁公室」主任の11人を「米国内資産凍結、米国人との取引禁止」の制裁対象に指定した。 カナダ - 5月28日、共同声明を発表。 7月3日、香港との犯罪人引渡し条約を停止し、香港との法執行関係を断つ最初の国となった。 オーストラリア - 5月28日、共同声明を発表。 7月9日、香港との犯罪人引渡条約を停止することを発表し、現在豪州に滞在する香港市民について、ビザを5年間延長し、その後永住権を申請できるようにする方針も明らかにした。 日本 - 5月28日、菅義偉官房長官は記者会見で「議決が国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたことや、香港の情勢を深く憂慮している」と述べた。同日、秋葉剛男外務事務次官は孔鉉佑駐日中国大使を外務省に呼び、「深い憂慮」を強く申し入れた。なお、日本政府もアメリカやイギリスなどの共同声明に参加を打診されていたが、これを拒否した。30日、茂木敏充外務大臣は、「国際社会や香港市民の強い懸念にもかかわらず、『国家安全』に関する法律が制定されたことに遺憾の意を表明する」とする談話を出した。与党自民党の外交部会と外交調査会は7月3日の役員会で本法の制定を受け、習近平国家主席(総書記)の国賓来日を中止するよう政府に求める非難決議案をまとめた。二階派はこれに反発、 中国外務省の趙立堅副報道局長 は「反中パフォーマンス」と表現し無意味だとし、日本の一部の人は他国の内政問題に言い掛かりをつけ、政治的にあおり立てていると批判した。 ロシア - 5月26日、ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフは、香港関連の問題は完全に中国の内政問題であると述べ、米国は香港を促進するための中国国民会議に対して中国に制裁を課すと脅迫した。関連する国家安全保障法。他の問題に関する米国と中国の間の効果的な対話を助長する。 7月2日、ロシア外務省モルグロフ副大臣は、中国政府による「香港国家安全保障法」の公布と実施は内政であると述べた。 ロシア外務省のスポークスマンZakharovaは、香港に関連するすべての問題は中国の内政に属し、外国は干渉する権利がないと述べた。 7月8日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは電話で習近平に電話で、ロシアは香港特別行政区における国家安全保障を維持するための中国の努力をしっかりと支持し、中国の主権を損なう挑発的な行動に反対すると述べた。中国は香港の長期的な繁栄と安定を完全に維持できると信じている。ただし、プーチン大統領が香港国家安全維持法を支持したとする発言は中国メディアでのみ報じられ、ロシア連邦大統領府は「内政干渉への対策」に触れたとのみ発表しており、香港国家安全維持法への賛否などについては一切言及していない。 中華民国台湾 - 蔡英文総統は論争の的となっている法律に失望を表明し、香港の人々への人道支援を調整するための特別事務所が法律の通過に対応して7月1日に正式に開設されると発表した。 民主進歩党は、これが香港の「一国二制度」政策の終わりであり、香港を旅する香港人と台湾人の両方が注意を払うべきだと警告した。中国本土問題審議会の責任者である陳明通氏は、香港だけでなく世界中の人々に影響を与えているため、この法律を「天の帝国から世界の人々に向けて発布された法令」と説明した。 キューバ - 6月30日、キューバは第44回国連人権理事会で国家安全法を支持する53カ国を代表して共同声明を発表した。 北朝鮮 - 外務省の報道官が朝鮮中央通信の質問に対して、アメリカなどの共同非難声明を「外部勢力と追随勢力の陰謀」と非難し、「香港問題は徹底的に中国の内政に属する問題として、いかなる国や勢力もそれに対してどうのこうのと言う権利がなく、われわれは香港の安定と社会経済発展を阻害する外部の干渉行為に断固反対、排撃する」と述べ、中国政府を支持した。
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