犯罪人引き渡し条約とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 日本語表現辞典 > 犯罪人引き渡し条約の意味・解説 

はんざいにんひきわたし‐じょうやく〔‐デウヤク〕【犯罪人引(き)渡(し)条約】

読み方:はんざいにんひきわたしじょうやく

国外へ逃亡した犯罪人引き渡しについて定めた条約二国間締結される場合が多い。→代理処罰

[補説] 日本米国および韓国それぞれ締結しており、死刑無期もしくは1年以上拘禁刑にあたる犯罪について訴追審判および刑罰執行するため、他方締約国から引き渡し求められた者を引き渡すことなどを定めている。


犯罪人引渡し条約

(犯罪人引き渡し条約 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/05 06:45 UTC 版)

犯罪人引渡し条約(はんざいにんひきわたしじょうやく)とは、国外に逃亡した容疑者引き渡しに関する国際条約[1]犯罪者引渡し条約と称する場合もある[2]

本来、各国は他国からの要求があっても犯罪人を引き渡す義務を負うものではないが、犯罪人引渡し条約を2国間または多国間で結ぶことで犯罪人の引渡しの義務を相互に約する[3]

各国の状況

2020年現在、日本は2か国、韓国は25か国、フランスは100か国、イギリスは120か国、アメリカは70か国と犯罪人引渡し条約を締結している。[要出典]

日本

2020年現在、日本が犯罪人引渡し条約を結んでいる国は、アメリカ韓国の2カ国のみである。ただし組織犯罪については組織犯罪防止条約の規定が適用されうる[4]

日本の場合、条約の相手国から国外逃亡犯の引き渡しを求める請求があると、外務省から東京高等検察庁を経て、東京高等裁判所で審理される。犯人日本国籍の場合や政治犯の場合など例外を除き、原則引き渡すこととされている。

2007年8月21日、麻生太郎外務大臣と、ブラジルのセルソ・アモリン外務大臣との間で、司法協力作業部会を設置する事が同意された[5]。この第1回作業部会で、刑事共助、民事司法共助、逃亡犯罪人、受刑者移送の問題について意見交換がされた[6]

日本は中国との間でも2008年5月、胡錦濤・国家主席訪日時に発出された「日中両政府の交流と協力の強化に関する事項に関する共同プレス発表」において、日中双方は、日中犯罪人引渡条約の締結交渉を開始すること等について共通認識を確認した。また、2009年3月、中曽根外務大臣(当時)訪中の際、犯罪人引渡条約及び受刑者移送条約の締結交渉の早期開始で一致している[7]。その後、2020年7月までに計6回の日中犯罪人引渡条約締結交渉の会合が開催されてきたが、2020年現在締結には至っていない[8]

韓国

2000年9月時点で、アメリカ、カナダ、オーストラリア、スペイン、フィリピン、チリ、パラグアイ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、タイ、モンゴルの12カ国と犯罪者引き渡し条約締結を結んでいる。同時点で中国、ロシア、香港とも年内の引き渡し条約妥結を推進中で、日本とインドネシアとも交渉開始予定である[9]。実際、日本とは2002年に締結している。

中国

2014年11月までに中国が39カ国と犯罪人引渡条約を締結(うち29カ国との条約が発効)し、52カ国と刑事司法協力条約を締結(うち46カ国との条約が発効)したことを明らかにした[10]

その後も犯罪人引渡条約の締結数は増加しており、2018年10月時点で以下の55カ国と犯罪人引渡条約を締結(うち37カ国との条約が発効)している[11]

【引渡条約締結国(発効済み)】
アフガニスタンアルジェリアアンゴラベラルーシボスニア・ヘルツェゴビナブルガリアブラジルカンボジアエチオピア、フランス、イタリアインドネシアイランカザフスタンキルギスラオスリトアニアレソトメキシコモンゴルナミビアパキスタンペルーポルトガルフィリピンロシア南アフリカ、韓国、ルーマニアスペインタジキスタンタイチュニジアアラブ首長国連邦ウクライナウズベキスタンアゼルバイジャンフランス

【引渡条約締結国(未発効)】
アルゼンチンオーストラリアオーストリアバルバドスベルギーチリコンゴ共和国キプロスエクアドルグレナダケニアモーリシャスモロッコセネガルスリランカトルコベトナムジンバブエ

香港

香港は本土と別に2020年4月22日時点で香港は以下の20カ国(うち19カ国との条約が発効)と犯罪人引渡条約を締結している[12]

【犯罪人引渡条約締結国(発効済み)】オーストラリア、カナダチェコ共和国フィンランドドイツインド、インドネシア、アイルランド、韓国、マレーシアオランダニュージーランド、フィリピン、ポルトガル、シンガポール、南アフリカ、スリランカ、イギリス、アメリカ

【犯罪人引渡条約締結国(未発効)】フランス

2020年7月1日に中国が「香港国家安全維持法」を施行したことにより、カナダ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランド、ドイツが相次いで「香港との犯罪人引渡し条約」を停止した[13][14]

欧州

欧州では多数国間条約として欧州犯罪人引渡条約が締結されている[3]

関連項目

脚注

  1. ^ 治安に関係する国際約束の締結|警察庁Webサイト”. 警察庁. 2023年2月2日閲覧。
  2. ^ https://toyokeizai.net/articles/-/650347?page=5
  3. ^ a b 『imidas 2004』集英社、317頁
  4. ^ 第16条
  5. ^ “麻生大臣とアモリン・ブラジル外務大臣との会談”. https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/me_csa_07/brazil_gk.html 2013年2月18日閲覧。 
  6. ^ “日本・ブラジル間の司法分野及び社会保障分野の作業部会の開催について”. https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h19/11/1176050_816.html 2013年2月18日閲覧。 
  7. ^ “外務省 日中犯罪人引渡条約締結交渉第一回会合開催”. https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/1/0128_01.html 2020年7月9日閲覧。  {{cite news}}: |accessdate=の日付が不正です。 (説明)
  8. ^ “外務省 日中犯罪人引渡条約締結交渉第6回会合の開催”. https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006702.html 2020年7月9日閲覧。  {{cite news}}: |accessdate=の日付が不正です。 (説明)
  9. ^ 政府 中国,ロシア,香港と犯罪者引渡し条約締結”. www.donga.com (2000年9月4日). 2023年2月2日閲覧。
  10. ^ 「人民日報・日本語版より」
  11. ^ “中国の条約と協定の概要(中国語)”. http://www.gd.jcy.gov.cn/jcyw/sfxz/flfgytyxd/201812/t20181212_2440091.shtml 2020年7月8日閲覧。  {{cite news}}: |accessdate=の日付が不正です。 (説明)
  12. ^ “香港犯罪人引渡条約締結リスト(英語)”. https://www.doj.gov.hk/eng/laws/table4ti.html 2020年7月9日閲覧。  {{cite news}}: |accessdate=の日付が不正です。 (説明)
  13. ^ ニュージーランド、香港との犯罪人引き渡し条約停止 イギリスやカナダに続き”. BBC.com. 2020年7月28日閲覧。
  14. ^ ドイツも香港との引き渡し条約停止 「市民の権利、一段と制限」”. jiji.com. 2020年8月1日閲覧。

参考文献

外部リンク


「犯罪人引き渡し条約」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「犯罪人引き渡し条約」の関連用語

犯罪人引き渡し条約のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



犯罪人引き渡し条約のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2025実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの犯罪人引渡し条約 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS