吹鳴の場所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 15:39 UTC 版)
警笛(汽笛)を鳴らす場面としては、次のような場合が挙げられる。 駅を発車する場合(通常の列車では、下に挙げるごく一部の事業者を除き省略されているが、臨時・回送列車では耳にすることもある。地方私鉄など、利用者が比較的少なく本数設定も僅少な路線であると、発車や到着の合図として扱う場合もある)小田急ロマンスカーの補助警報音が吹鳴できる形式では、駅到着時と発車時に吹鳴されることが多い。それに対して小田急30000形電車など、補助警報音を吹鳴出来ない形式は、警笛を吹鳴可能だが、吹鳴しないことが多い。 交通量の多い踏切や警報機、遮断機の設備がない踏切、対向列車とのすれ違い直後に通過せざるを得ない瞬間および、単線並列以上の線路本数があり、別線に先行列車がある直後に踏切を通過する場合(これらは「離合負け防止」などと呼ばれる) ある程度以上の距離を持つトンネルや、鉄橋の通過前(これらの施設はジョイント音の反響、風速などが強いため、徒歩巡回を行う保線員へ列車の接近を確実に予告する意がある) 保線工事が行われている場合 警笛吹鳴表示の存在する箇所(第4種踏切の手前など) 停車場外(駅間)で停車していた列車が発車する場合(信号機の停止現示からそれ以外の現示となり、発車する場合など) 優等列車など通過列車が駅を通過する場合(都市近郊駅においては列車案内装置の普及により、この場合での吹鳴は定期列車では減少傾向にあるが、臨時・回送列車、ホーム上の混雑がある場合、列車案内装置などからの予告に反して点字ブロックより内側へ退避しない利用客を運転士が目視で認めた場合など、適宜適切、効果的に用いる) 停車駅に到着する場合(主にラッシュ時などで混雑している場合、地下駅で曲線、勾配の直上、直下、直後に駅ホームが配置されている場合など) 推進運転、停止位置の修正に入る場合(逆行する場合も、順方向へ吹鳴する) 駅構内・車庫で入換を行う場合 駅構内・車庫における検査や試験を行う場合(機関車牽引列車の場合、前後に機関車を連結したプッシュプル方式や重連運転では、連結後に互いのブレーキテストを開始する際に吹鳴する) 駅構内において、列車の編成を複数から1本の列車に連結する作業を要する場合の続行列車(駅ホーム到着後、先行列車との併結作業に入る場合) 上記に付随し、1本の列車から複数の列車編成として分割作業を済ませた後、解結作業後に同一ホームの後寄りから発車する列車の発車時 気動車・ディーゼル機関車のエンジン始動時 開業一番列車(式典列車) 災害等で長期運休した後の試運転一番列車、復旧一番(式典)列車 両車に運転士が乗務し、無線を用いない・または使用できない状況における機関車の重連運転やプッシュプル運転時、前方の機関車運転士から後方の機関車運転士へ指示を送る場合 非常制動時 その他の危険回避のため、非常事態、駅頭停車中の場合は係員の非常呼集(いずれも非常時。汽笛合図の項も参照) 哀悼の意(JR西日本では、2006年以降、毎年4月25日の9時18分前後に兵庫県尼崎市の福知山線脱線事故の事故現場を通過する、尼崎駅方面へ向かう電車は、ミュージックホーンをOFFにした状態で、必ずタイフォンを長く鳴らす(ただし、2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響で追悼式典が中止され、警笛もなかった)。 鉄道愛好家や、小児(親子連れ)へのサービス(俗に「サービス警笛」などと呼ばれるもので、本来警笛を吹鳴する場所や状況でなくとも、撮影・録画者、沿線住民子息などへのサービスとして、発車時や通過時に警笛を(電子笛、ミュージックホーンなどが装備されていれば、こちらを優先して)比較的軽めに短く扱う場合がある。これは運転士・機関士の裁量による。蒸気機関車牽引列車は上述の構造上に加え、イベント列車でもある特性上、余程の苦情申し立てを恒常的に行う者の居所付近でなければ、比較的頻繁に汽笛の取扱いを行う傾向にある。 また、上記鉄道愛好家の中でも特に録音や音響を研究する者から、運転乗務前にホーム上で待機する交代要員に対し、録音・録画など記録行為の一環で発車時に警笛装備の取扱いを希望する旨「事前依頼」の申し出によるもの(これも上記と同じく、応否は運転士の裁量)。 ※かつて盛んに行われた貨物駅(操車場)における貨車の入れ換え作業であるが、現在でも機関車が移動、停止、連結などを行う際の警笛(汽笛)の鳴らし方が規定されている。また、東北地方や名古屋鉄道、京阪本線、阪神電気鉄道などにも線区それぞれ独特の鳴らし方(踏み方)、規定(規則)、複数搭載された空気笛の使い分け方が存在するが、本項においてこれらはいずれも割愛する。 旧・日本国有鉄道(国鉄)時代や、JR発足当初は駅での発車時に警笛(汽笛)を吹鳴することが多く、私鉄でも駅通過列車では恒常的に吹鳴していた。しかし、近年は騒音をなるべく発生させない方向で各社局とも運営しているため、上述の吹鳴場所その他危険防止のためやむを得ない場合を除き吹鳴しない事業者が増えている(特に関東地方)。一方、Osaka Metroと京都市交通局のように、駅入線時と発車時、駅間のトンネル内であってもカーブ進入する前など、運転取扱い上において吹鳴義務が存在する事業者、小湊鐵道、黒部峡谷鉄道など、駅発車時に警笛吹鳴を現在も必須義務として有する事業者、近鉄のように駅入線時に警笛を扱う事業者、阪急のように乗務員交替駅発車時に作動確認も含め吹鳴する事業者もある。また福岡市交通局の場合は、地下鉄に乗り入れるJR九州の103系に限って駅到着時に吹鳴している(かつてはすべての車両が吹鳴していたが、ホームドアが取り付けられてからは旅客への安全面の問題が向上したため、103系以外の車両が鳴らすことは稀である)。
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