厚生省によるフィラリア症流行地対策の本格化とは? わかりやすく解説

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厚生省によるフィラリア症流行地対策の本格化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:37 UTC 版)

八丈小島のマレー糸状虫症」の記事における「厚生省によるフィラリア症流行地対策の本格化」の解説

1948年昭和23年)から数年間にわたり八丈小島でのフィールドワーク研究実施した佐々中心とする伝研関係者は、これまでの基礎研究によって得られデータ経験基づいて八丈小島におけるマレー糸状虫症及び媒介地域的駆除試み』と題する論文1957年昭和32年)に発表したその中でフィラリア症地域的駆除についての見解今後対策について次のように述べている。 八丈小島におけるマレー糸状虫駆除作業計画1956年8月実施)項目目的対象手段基礎調査患者・保者の確認媒介調査 住民環境 夜間採血昼間検診成虫および幼虫採集同定 マレー糸状虫駆除感染源除去患者・保者の治療 住民 スパトニン投与 媒介駆除幼虫対策 天水集落内水たまり海岸のロックプール 施設改良メダカ放養水たまり除去DDTペースト投入DDT粉剤ヘリコプター散布 成虫対策 人家屋外 DDTペースト残留噴霧DDT粉剤ヘリコプター散布 糸状虫症フィラリア症)の流行阻止するには、「保者の駆虫」または「媒介成虫または幼虫駆除」、このいずれか一つでも完全に行えば理論上その感染経路遮断され目的達成できるはずである。しかし現実には、熱発作を恐れてスパトニンの服用抵抗感を持つ患者一定数いるように、いずれも完全を期するなど不可能であると考えられる。 そこで実行可能な範囲考えられる合理的な方法複数併用して実行した八丈小島において実際に行った具体的な試みは以下の内容である。 保者および媒介基礎調査者のスパトニンによる駆虫 天水への天敵の放養 人家内のDDT残留噴霧 集落内水溜まりなどのボウフラ発生源対すDDTペースト混入 海岸のロックプール一帯へのDDT粉剤ヘリコプター散布 これらの結果いずれも予想したような成果をあげた反面同年12月再調査では、スパトニン服用不徹底から依然として者がいること、DDT散布からおよそ2か月後より殺虫効果薄れ始めハエなどの活動再開されたことが確認され糸状虫フィラリア)の根絶のためには、これらの総合的な対策を年に数回割合繰り返し定期的に実施する必要がある考えられるこのようにまとめており、ここで提唱された「スパトニンの服用による駆虫」と「媒介ボウフラを含む)の駆除」の2つ総合的に繰り返し実施するという方法モデルとなり、その後日本各地フィラリア症流行地で実施されていくことになった佐々何度も八丈小島通い研究重ね、その病態解明とスパトニンによる治療、そして感染源駆除方法見出したが、伝研東京大学機関であるとは言え、一研究者毎年訪問して治療を行う事には限界があった。かねてより佐々行政全権委ねようと、これまで得たデータ携え何度も都庁訪れていた。離島とは言え八丈小島東京都一部であり、行政主導による対策必要性訴えたが、毎回予算がないの一点張りで話が先に進まなかった。佐々はある時「東京都八丈小島マレー糸状虫天然記念物にするつもりなのか」と予防部長詰め寄ったという。 佐々伝研関係者八丈小島での研究並行して1953年昭和28年12月奄美返還以降奄美大島でのバンクロフト糸状虫調査行っており、同様に鹿児島県下でフィラリア研究行っていた鹿児島大学佐藤八郎、尾辻義人らと1957年昭和32年)より話し合い行い、翌1958年昭和33年4月より奄美大島4つ各地区で、100名ほどの住民対象にしたスパトニン投薬による本格的なフィラリア駆除開始された。これは文部省科学研究費補助仰ぎ実行されたものであったその後も各研究機関医療関係者らは予算的な問題抱えながらも努力重ね愛媛県佐田岬半島や、長崎県五島列島での集団検診DDT噴霧など、フィラリア症防圧に向けた対策日本各地行われていった。そのような中、フィラリア症対策国家事業化に向けた要請伝研佐々長崎大学北村鹿児島大学佐藤らは厚生省何度も申し出ていた。 防圧活動の成果日本各地から届く中の1961年昭和36年8月太平洋学術会議ハワイホノルル開かれ日本からは佐々をはじめ厚生省、各大学沖縄からは琉球衛生研究所担当者参加した議題挙げられフィラリア対策各国の現況などが報告され日本でのスパトニンの投与法DDT残留噴霧法のデータとその効果示されると、座長カリフォルニア大学J・Fケッセルはこれを絶賛し、早速ケッセルはそれを英文原稿にまとめ、ハワイ滞在中に佐々らに内容チェック依頼したこのように日本フィラリア対策実績国際的に評価されはじめた1962年昭和37年)、フィラリア対策厚生省認可国庫補助事業となり、日本全国フィラリア症流行地を対象大規模な対策始まった

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