占領軍への労務と物資の調達とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 占領軍への労務と物資の調達の意味・解説 

占領軍への労務と物資の調達

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:21 UTC 版)

連合国軍占領下の日本」の記事における「占領軍への労務と物資の調達」の解説

1945年昭和20年9月3日、SCAPIN-2「日本政府連合軍の必要とするすべての資材供給しなければならない日本政府各地占領軍司令官指示された時と所に、必要な技能備えた労働者提供しなければならない日本政府占領軍要求従い適切なすべての建物提供しなければならない」が発令された。 1945年昭和20年9月22日米国務省から発表された「降伏後二於ケル米国初期対日方針」には、占領軍の必要とする物資および役務調達に関しては、そのため日本国民に「飢餓広範囲疾病及び甚だしき肉体的苦痛生じない範囲」において、日本政府提供するよう指示している。 日本政府占領軍向け支出は、1946年昭和21年)度で一般会計予算3分の1超えていた。この費用は、占領軍命令で「終戦処理費」あるいは単に「その他の費用」と粉飾して呼ばされていた。「終戦処理費」は約50ドル当時)に達した物資サービス調達連合国軍使用する兵舎工場飛行場病院通信倉庫学校宿泊施設交通機関ビルディング市民土地家屋娯楽施設強制接収した。さらに、占領軍兵舎住宅建設工事施設飛行場清掃整備道路橋梁修理舗装あるいは軍需品運搬作業日常生活上のサービス娯楽提供者、家政婦など、多岐にわたる労働力要求した1945年昭和20年10月2日出されたSCAPIN-80から例を挙げると、「建築資材燃料、布、家具事務機材、石鹸ろうそく、氷」などの23物資、「娯楽音楽・演劇レスリングなど)、設備修繕洗濯ドライクリーニング、靴の修繕洋服仕立て」などの19サービス列挙されている。 調達命令形式はっきりしなかった占領初期は、調達命令書を発行せず、各部隊個人自分の必要で勝手に注文をしてきた。物資強制的に強奪されることも多かった民家押し入って勝手に物資を奪うことは普通であり、気に入った家に赤札張って強制的に土地家屋接収し住民追い出した日本人民間人捕まえてマネーマネーと言って金品を奪う例も多かったが、それら事件の報道禁じられた。 連合国軍将兵買春のための女性調達施設の建設命じられており、都内花柳界あらかた連合国軍その中で関東占領地域としていたアメリカ軍専用接収された。 連合国軍ゴミ処理 1947年昭和22年2月27日出されたSCAPIN-1548で、日本政府占領軍施設住居から出たゴミ廃棄物収集と処理の責任を負うように命じている。 命令書には、「日本帝国政府受け取占領軍ゴミは、収集処理の費用同等上の価値があるため、これは占領軍へのサービスとは認められないそれゆえに、調達命令書は一切発行しない」とある。 占領初期労務調達実態 イギリス軍アメリカ軍日本全国基地連合国軍住居建設政府命じた。また日本民間人から強制接収した住居改造修理、さらに接収した住居内で働かせるメイド料理人下男占領軍へのサービス従事者等、占領軍が必要とする日本人労働者差し出すよう日本政府命じた占領軍日本人給与支払わずに済むのを良いことに、占領軍一家屋につき複数名の日本人メイド下男として召し抱え権力誇示することが通例となっていた。占領初期は、占領軍への不安から進んで就労応じ日本市民はほとんどいなかったため、占領軍から直接労務提供の命令受けた地方庁市町村警察通じ強制的に行わせていた。 この間占領軍現金ではなくチョコレート食事などの物品賃金代わりに支給したり、占領軍日本人労働者逃亡を防ぐために身体に「マーク」を付けるなどの事例報告されている。占領軍基本的に日本人労働者無報酬働かせ代わりに日本の自治体が米一合などを配給していた。1946年昭和21年3月18日のSCAPIN-764A、日本政府占領軍雇われている日本人外国人への賃金支払い日銀通して行うよう命じられている。 特別調達庁設置 1947年昭和22年5月10日特別調達庁法(昭和22年法律第78号)が施行され占領軍が必要とする施設土地・建物)・物資役務調達管理任務とする特別調達庁設立準備始まり9月1日発足する以降、労動力物資占領軍への調達特別調達庁仲介して行われることになった労働形態としては、日本政府雇用し給与支払ってやり、占領軍占領軍住居で働く間接雇用である。 1947年昭和22年)のアメリカ軍三沢基地建設工事開始時には全国各地から1万5千人労働者集められた。総事業費当時1500億円の負担強いられ、のべ300万人日本人労働者建設従事させられた。 朝鮮戦争勃発時には調達局を仲介せずに、占領軍直接所有者から土地建物強制接収するという混乱が、再び起こったサンフランシスコ講和条約締結後旧安保条約日米行政協定基づいて不動産および労務以外の工事役務需品などについては、アメリカ軍イギリス軍国内業者直接契約をすることにより調達することとなった。しかし旧日米安保条約では占領期法的状況継続され陸海空軍基地日本中どこでも何ヵ所でも設定維持することができ、必要な物資および労働者調達することになった1960年昭和35年)の新安保条約によって条件改善されたが、今でも在日米軍基地問題日米地位協定など、多く論争残している。

※この「占領軍への労務と物資の調達」の解説は、「連合国軍占領下の日本」の解説の一部です。
「占領軍への労務と物資の調達」を含む「連合国軍占領下の日本」の記事については、「連合国軍占領下の日本」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「占領軍への労務と物資の調達」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「占領軍への労務と物資の調達」の関連用語

占領軍への労務と物資の調達のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



占領軍への労務と物資の調達のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの連合国軍占領下の日本 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS