分子結合殻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 04:08 UTC 版)
ボディは分子結合殻(Molecular Bonded Shell)で覆われており、あらゆる物質より硬く、強靭とされている。黒いボディは塗装ではなく、この分子結合を組み込んだことによる。これによってナイト2000は銃撃や爆発や衝突など、ほとんどの物理的攻撃を弾くことができる。劇中では厚さ80cmのコンクリートをも突き破り、爆発物を車体の下やトランクルームに放り込んで処理するといったことも行っている。 分子結合殻生成の化学式は機密事項であり、ウィルトン・ナイトは信頼の置ける3人の人物に対して個別に、この式の全体の2/3ずつ(A式・B式・C式の全3つをそれぞれに「AとB」「BとC」「AとC」)を託した。つまり、この3人のうち2人が揃えば化学式A・B・Cが完成する。その3人の人物は「エリオット(A・C式)」(シーズン2第1話で登場、エリザベスに構造式を聞き出された後に死亡)、「クインラン(B・C式)」(シーズン4第1話で登場、ノルドストロムに構造式を聞き出された後人質にされていたが、マイケルに救出される)、そして「デボン(A・B式)」の3人である。結果としてその分配が仇となりナイト2000を狙う敵に化学式を盗まれ、殻の化学結合を分解してしまう溶液や、分子結合殻で覆われた巨大トレーラー「ゴライアス」(GOLIATH、ゴリアテの英語読み)を生み出すこととなった。 分子結合殻によって、基本的には敵側のほとんどの攻撃に対してほぼ無傷な場面が描かれているが決して「絶対的な無敵」ではなく、全シリーズ通して作中では4度壊滅的なダメージを受ける場面がある。1度目はシーズン2第1話「無敵ゴライアスvsナイト2000」にて、同じく分子結合殻に覆われた巨大トレーラー「ゴライアス」に激突された事による。マイケルがゴライアスを見くびっていたために、マイケル共々ほぼ半壊状態となった。通信装置を含むあらゆる機能が損傷した他、ターボジェットエンジンの要であるタービンの羽根が9割ほど欠け、衝突したボディ右側面とボンネットが大きく破損している。 2度目はシーズン3第1話「強敵!赤い殺人カー」にて、マフラーに赤い殺人カーのミサイルの直撃を受けた事による。着弾寸前で咄嗟にK.I.T.T.がマイケルをシート・イジェクションで車外へ脱出させた。K.I.T.T.は自力で動いたり会話したりする事は可能であるが、光学系センサーをやられたらしく、昼間であるにも関わらずボニーに「真っ暗で何も見えない。夜ですか?」と尋ねている。 3度目はシーズン3第13話「ナイト2000魔の毒液に溶ける!決死の再生立ち直れキット!!」にて、廃溶液の沼に沈められた事による。産業廃棄物業者の犯罪の証拠を掴むために敵地に潜入していたマイケルとK.I.T.T.だったが、ナイト2000の車体ごと敵のフォークリフトに持ち上げられてしまい、そのまま廃溶液の沼に投げ落とされた。計4回の甚大なダメージの中でも最も深刻とされている。ボディはかろうじて原型を留めたものの、内部のシートやハンドルをはじめとしたパーツ、機器類はほとんど溶け、K.I.T.T本体も破壊されたため、ボニー曰く「残ったのは骨のような車体だけ」となってしまった。 4度目はシーズン4第1話「無敵装甲車ジャガーノート 大激突」にて、装甲車「ジャガーノート」の猛攻を受けた事による。直前に散水車を装って分子結合殻を分解する特殊溶液を浴びせられていた事により結合殻が機能せず、完膚なきまでに破壊されてしまった。 ただし、これらが逆に要因となって進化するといったパターンがある。赤い殺人カーのミサイル直撃時には、インテリアが後期仕様にバージョンアップされ、新機能として「自己診断システム(従来のものの改良型)」「IGP(三次元解析装置:変装している人物の本当の顔をCGで再構成する機能)」「EGM(発電モード:小さな町一つ分の電力を発生させる機能)」「ポリフォニック・シンセサイザー(地球上のあらゆる音を再現する機能)」「高熱源を表示する機能」が追加された。。 「ジャガーノート」による破壊時には、「SPM(スーパー追跡)モード」「EBS(緊急ブレーキシステム)」「コンバーチブルモード」が追加された。 上記以外では他にもシーズン2第9話「壮絶ジャングル戦!絶体絶命!ナイト2000底なし沼脱出不能」にて、沼地への着水時の浸水による電子回路の故障で、外観上の損傷はさほど見られないものの内部面では通信機能のほとんどが使用不能となり、故障箇所を調べる自己診断システムすらも使用不能に陥ってしまい、ジャングルで悪戦苦闘するという場面があった。 パイロット版の日本語吹替において、ナイト2000はナイト財団がマイケル・ロングの愛車だったポンティアック・ファイヤーバード・トランザムを持ち帰り改造したものとされていたが、後にプロトタイプとして登場したK.A.R.R.も、その機能・外観ともにパイロット版のK.I.T.T.と全く同じであった。従って、マイケルがナイト財団に参加する半年以上前から、ファイヤーバード・トランザムを基本コンポーネンツとするナイト2000が存在した事になる。しかし同話の原語版では、マイケル・ロングのトランザムとナイト2000が別の車両であることが劇中の台詞で描写されている。 番組放映からかなりの年月を経ているが、DARPAグランド・チャレンジ等のロボットカーのニュースがあると、ネットでは必ずと言っていいほどこの車の話題が出るなど、現代においても強い印象を残している。 2008年には日本の+EST(プラスエスト)株式会社がユニバーサル・スタジオ公認でトランザムをナイト2000にカスタムする為のパーツを開発販売していた。さらに2012年にはトランザムを電気自動車に改造した上でナイト2000仕様にカスタムして販売する業者も現れている。
※この「分子結合殻」の解説は、「ナイト2000」の解説の一部です。
「分子結合殻」を含む「ナイト2000」の記事については、「ナイト2000」の概要を参照ください。
- 分子結合殻のページへのリンク