俳人としての作風・活動
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「夏井いつき」の記事における「俳人としての作風・活動」の解説
中学校の国語教諭時代に懇親会の幹事を任された際に、自作の句を書いた紙を会場のテーブルへ置くことによって、出席者の座席を決めていた。そのことがきっかけで購入した歳時記に掲載の季語に感銘を受けたことから、作句へ真剣に取り組むようになったという。 俳人としての活動に専念してからは、「感じたままを表現する」という自由な句作をモットーに掲げる一方で、季語と五七五の定型を守る「有季定型」に則った句作も重視している。前述した「句会ライブ」の開催や、東京メディアシティで収録する『プレバト!!』への出演以外にも、「俳句の種まき活動」と称して精力的に活動。吟行会、故郷・内海(愛媛県愛南町)でのイベント「トレッキング・ザ・空海」、松山市で毎年開催される俳句甲子園へ参画しているほか、松山市による「松山市俳句ポスト365」の選者、地元紙の愛媛新聞で「集まれ俳句キッズ」というコーナーを担当している。 さらに、月刊俳句マガジン「いつき組」を発行。携帯電話のiモードサイトで毎日更新される「俳句の缶づめ」に携わるなど、活躍の場を広げている。2015年(平成27年)に歌手のマユミーヌが発表したCDブック「俳句ソングス 横尾嘉信 編」には、夏井が詠んだ句にクリエイティブディレクターの横尾がメロディーを付けた楽曲「密会」を収録。夏井自身も、作詞者として名を連ねている。また、同年11月19日に開館したNIFREL(大阪府吹田市の水族館)では、「生き物たちの一番面白い特徴や特性を知るための謎かけ」として「生きもの五七五」(水槽などで飼育する生物の特徴や性格を俳句で表現した種名版)の監修を担当。同館がオープン1周年を迎えた2016年(平成28年)には、予約抽選制の「句会ライブ」を館内で開いたり、俳句の選者として月に1回出演している『NHK俳句』(NHK Eテレ)に初代館長・小畑洋をゲストに招いたりしている。 「プレバト!!」も参照 自宅のある松山市を中心に活動している関係で、東京での仕事(『プレバト!!』の収録など)がある場合には、松山との間を飛行機で往復。夏井自身は、同番組への出演を「『俳句の種まき運動』の一環」とみなしながらも、「(俳句への)注目度が急に高まったのは、『プレバト!!』以外の何ものでもない。(俳句に対する)敷居やハードルを、ブルドーザーでガーッと(一気に崩された感じがする)」と語っている。 『プレバト!!』で査定を担当する「俳句の才能査定ランキング」では、おおむね厳しい口調で俳句の添削・評価ポイントを発表するため、番組内のナレーションや番組表の紹介文では夏井を「毒舌先生」と称することが多い。夏井によれば、「下手な俳句が目の前に出てくると、(推理小説における)シャーロック・ホームズのように、『作者は何を言いたくてこの句を詠んだのか』と推理しなくてはならない。逆に、良い俳句に出会うと、(自分の)血がきれいになったような気になる」という。なお、2014年(平成26年)には、同企画から派生した書籍として『超辛口先生の赤ペン俳句教室』を朝日出版社から刊行。翌2015年(平成27年)11月末までの1年間で累計発売部数が5万部を突破するなど、俳句関連の書籍では異例のベストセラーになった。なお、『プレバト!!』では、作者名を伏せた状態で俳句を査定。査定後のスタジオ収録で作者名が明かされると、俳句の表現に慣れていない作者が表現したかったことを確認したうえで、添削を通じて確認内容に沿った表現を提案している。しかし、素人独特のみずみずしい感性を手垢のついた古風で時代遅れの作風に変えてしまうことで俳句の発展を妨げているとの批判もある[要出典]。その一方で、自作の俳句を披露する際には、あえて自分で解説せずに鑑賞者の解釈に委ねている。 ちなみに、『プレバト!!』の「俳句の才能査定ランキング」では、Kis-My-Ft2メンバーの横尾渉・千賀健永・北山宏光・二階堂高嗣・宮田俊哉が作った兼題作品を定期的に査定。横尾と千賀の作品を、とりわけ高く評価している。その縁で、Kis-My-Ft2が2020年(令和2年)3月25日に発表したアルバム『To-y2』では、通常盤に収録された「王国の蝶」(横尾と千賀によるユニット曲)の作詞を手掛けた。さらに、自身の執筆による「俳句の世界」が、三省堂の令和3年(2021年)度版中学校3年生向け教科書『現代の国語3』に教材として採用されている。 毎日放送が1983年から毎年12月の第1日曜日に大阪城ホールで開催している「サントリー1万人の第九」では、2016年開催の第34回公演で、「1万人の第九特別合唱団」への参加者全員から募集した俳句の選定を担当。選定した句が、公演のパンフレットに掲載された。新型コロナウイルスへの感染拡大を背景にインターネット向けのライブ配信コンサートとして無観客で開催された2020年の第38回公演では、同局が制作する『プレバト!!』の出演者を代表して、梅沢富美男と共に「奇跡の『第4楽章』リモート合唱企画」(ベートーヴェン「交響曲第9番」第4楽章の歌唱動画投稿企画)に参加。投稿した動画が、大阪城ホール内に特設された大型スクリーンで公演中に放映された。
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