種名とは? わかりやすく解説

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しゅ‐めい【種名】

読み方:しゅめい

生物学上の種に与えられた名。


種名

属名」と「種小名」の組み合わせ表される。「種名」=「属名」+「種小名

種名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 14:54 UTC 版)

種名(しゅめい)は、生物を表す名前のこと。日本語である和名標準和名)と、学術分野で使われるラテン語学名のいずれにも、種の階級のタクソン(分類群)を表す名前に対して使われる。

同様に、種より分類階級が上位のに対しては「属名」「科名」が、下位の亜種変種品種には「亜種名」「変種名」「品種名」の言葉がある。

学名

学名では二名法を用いており、動植物では属名種小名が、細菌では属名+種形容語が種名である。種小名又は種形容語はラテン語あるいはラテン語化した形容詞名詞を用いることになっている。種小名又は種形容語の部分のみを指して種名というのは誤りである。

和名

和名は学名と異なり、二名法を採用していないので、属名と種小名の区別は存在しない。形容的な接頭辞をつけたものも多いが、必ずしも近縁種とは限らない。一例を挙げるとバラ科ビワに対するクワ科イヌビワイチジクと同じ属)は、果実の形態という表面的な形態が類似しているが、別の科に属しており系統は遠い。

和名に形容的に用いられる語の例

アカ(赤)、キ(黄)、クロ(黒)、シロ(白)、など色を表す語
接頭辞で、体色にその色が強い傾向が見られることを示す。
アメリカ(亜米利加)、チョウセン(朝鮮)、タイワン(台湾)、エゾ(蝦夷)、リュウキュウ(琉球)などの地名
接頭辞。アメリカは新大陸産種、チョウセンは多くは朝鮮半島特産種ではなく、ユーラシア大陸産種であり、タイワンも同様に多くの場合東南アジア産種であることを示す。これは第二次世界大戦以前の朝鮮半島や台湾が日本領であったことの名残である(日本の旧領ではそこにのみ産していたことを意味する)。ブラキストン線の関係から、エゾの付く種もかなりがユーラシア大陸産種である。その他はその地方の特産種であることを示す。琉球列島に関しては、リュウキュウ以外にヤク(屋久)、アマミ(奄美)、ヤンバル(山原)、ヤエヤマ(八重山)、サキシマ(先島)といった接頭辞がある。
イエ(家)、ノ(野)
接頭辞。イエは人家に巣くう性質があることを示し、ノは栽培植物や農作物ではない野生の、といった意味がある。イエはもっぱら動物で、ノはもっぱら植物で使われるが、野生化した家畜等の場合は動物にも使用される(ノネコノヤギなど)。
イソ(磯)、ウミ(海)、ハマ(浜)、オキ(沖)
接頭辞で、海洋性、沿岸性であることを示すが、ウミの場合はまったく系統の離れた海産生物(ウミウサギウミケムシなど)であることも多々ある。オキはもっぱら海産生物にのみ用いられる。
イヌ(犬)
接頭辞に用いられ、似て非なる、の意があり、この用法では植物に用いられる。基準となる対象種が薬草や栽培植物として人の役に立つ場合、イヌが付いたそれには全く人の役に立たない、といった否定的ニュアンスが含まれる。ただし、イヌサフランのような例外もある。動物に用いられる場合は、例えばイヌノミの場合は寄主(イヌに寄生する)を示す。
オオ(大)、オニ(鬼)、ダイオウ(大王)、オオサマ(王様)、トノサマ(殿様)
接頭辞で、基準となる対象種よりサイズが大きいことを示す。オオとオニが異なる種を指す場合はオニの方がよりずっと大きいのが一般的である。それら以上に大きい場合にトノサマ、オオサマ、ダイオウが使用される。この場合順位はダイオウ>オオサマ>トノサマ>オニ>オオ、となるのが一般的である。
オニについては生物体が全体的にゴツゴツしている印象があったりとか、刺に覆われている、といった意味を示す場合もある。
クサ(臭)、ニオイ(匂)
接頭辞で香りがする意を示す。基本は前者が悪臭、後者が芳香がすることを示すが、後者が使われていても悪臭の場合がある。ただし、クサの意味である例も少なくない。クサギは臭木、クサカゲロウは臭蜉蝣だが、クサイは「臭い」ではなく草藺である。クサスギカズラも「臭過ぎ葛」ではない。
クマ(熊)、ケ(毛)
接頭辞で多毛性である、体毛が生えているといった意を示す。
コ(小)、ショウ(小)、スズメノ(雀之)、チビ、ヒナ(雛)、ヒメ(姫)、マメ(豆)、ケシ(芥子)、ツブ(粒)、コナ(粉)、ミジン(微塵)
接頭辞として用いられ、基準となる対象種よりサイズが小さいことを示す。同属内などで混在する場合の関係は又はショウ>ヒメ>チビ>ヒナが一般的であるが、種数の多い昆虫などの場合、又はコガタ又はショウ>ヒメ>マメ>ケシ>ツブ>チビ>チビケシ>コナ>ミジンがずらりと並ぶことがあり、実際にゲンゴロウではチビケシまで命名が済んでいる。スズメノは植物にのみ用いられる。
タカネ(高嶺)、ミヤマ(深山)、ヤマ(山)
接頭辞として用いられる。山地に産する意味で、タカネは特に高山性であることを示す。ミヤマについては必ずしも山地性ではない場合がかなりある。
ダマシ(騙)、ニセ(偽)、モドキ(擬)
ニセは接頭辞として、モドキ、ダマシは接尾辞で使われる。いずれも基準となる対象種に似て非なる、の意で、学名にも似たような接尾辞で使われる同義のギリシャ語 -psis や、接頭辞で使われる同義のギリシャ語pseudo-といった語がある。昆虫や魚類など種数の多い生物群には同属内でモドキ、ダマシ、ニセがそれぞれ別種[1]として命名されたものがあり、混乱するので近年はあまり用いられない。モドキはここから転じて罵倒語としても使われるようになった。
ナミ(並)、ホン(本)、マ(真)
接頭辞。もっとも頻繁に観察できるありふれた種や、基準となる対象種を示す。
メクラ(盲)、メナシ(目無)
接頭辞。洞窟性で目が完全に退化している様子を指し、魚類、甲殻類、爬虫類に多い。命名された当時は全く問題なく長年親しまれてきたが、近年になって差別的との指摘がされている。

表記

学名も和名も地の文と異なった書体を用いる。

学名
通常はイタリックで、タイプライターや手書きなどでは下線で示される。ウィキペディアでは通常イタリックで表示される「弱い強調」(編集画面ではシングルクオーテーションマーク2個''で囲まれる)を使うのが一般的である。
和名
地の文がひらがななので、カタカナを用いることになっている。漢字やひらがなで書くのは誤りとされる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 身近な例ではマツタケ(松茸)が挙げられる。 同属内にニセマツタケとマツタケモドキが各々別種として存在する。 学名はそれぞれ、
    マツタケ Tricholoma matsutake
    マツタケモドキ T. robustum
    ニセマツタケ T. fulvocastaneum
    である。

参考文献

関連項目

外部リンク


種名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 05:58 UTC 版)

アガリクス」の記事における「種名」の解説

Agaricus subrufescens (ニセモリノカサ)は、ニューヨーク植物学者チャールズ・ペックによって1893年初め記載された。19世紀終り20世紀初頭の間、A. subrufescens は合衆国東部食用栽培されていた。 その後1970年代に、ブラジル同種が「再発見」された。しかし、A. subrufescens と同種とは気付かれず、既存別種 A. blazei Murrillあるいはまれに A. sylvaticus Schaeff. として言及された。A. blazei はフロリダ記載されていた種、A. sylvaticus は一般的な温帯森林地帯キノコである。これら(実際同一種)には薬理効果があると主張されABM (Agaricus blazei Murrill)、Cogumelo do Sol太陽キノコ)、Cogumelo de Deus(神のキノコ)、Cogumelo de Vida生命キノコ)、ヒメマツタケ、Royal Sun Agaricus、Mandelpilz、Almond Mushroom などの名称ですぐに市販された。 なお、このキノコブラジルから日本へ伝わった経緯について元JAIDO及びJICA水産専門家野澤弘司がJORNALニッケイ新聞2020年11月28日付)で詳しく回想している。その記事中当初とは別ルート日本持ち込まれた本種が「姫松」の名称で販売されたことについて「あるまじき商道徳」という表現用いて厳しく言及している。 2002年に、Wasserらは、当時 A. blazei として広く栽培されていたブラジル原産キノコが、実際は A. blazei ではないことを明らかにした。しかし彼らは、A. subrufescens とも別種だとし、新種として A. brasiliensis と命名した。しかし不幸なことに、この学名は既に他種キノコ Agaricus brasiliensis Fr. (1830) に命名されていたため、新参異物同名により無効名となる。 2005年Richard Kerrigan がいくつかの菌種遺伝的試験相互生殖試験をした結果ブラジル発見された A. blazei(Wasser による A. brasiliensis)は、北米Agaricus subrufescens と遺伝的に類似しており相互生殖能があることが証明された。また、これらの試験において、ヨーロッパのA. rufotegulisも同種であることが判明した。これらの学名のうち、A. blazei など別種の名は新参異物同名として除外され、残る A. subrufescens と A. rufotegulis のうちより古い A. subrufescens が有効な学名として使われる。しかし、Richard Kerriganが所属する米国シルバン社では、依然Agaricus blazeiの名称を使用しているなどの矛盾がある。これには、R.Kerriganが主張するところの本物Agaricus blazeiの現物写真提示されていないことにも関係している。

※この「種名」の解説は、「アガリクス」の解説の一部です。
「種名」を含む「アガリクス」の記事については、「アガリクス」の概要を参照ください。

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