主人公と北條家の人々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:15 UTC 版)
「この世界の片隅に」の記事における「主人公と北條家の人々」の解説
北條家の住所は「広島県呉市上長之木町八百八番」とある。 浦野すず(うらの すず) → 北條すず(ほうじょう すず) 本作の主人公。1925年(大正14年)生まれ。血液型B型。広島市江波の海苔梳きの家に育つ。少女時代は、実家の仕事を手伝う傍ら尋常小学校に通学、高等小学校を卒業する。絵を描くことが好きだが裁縫は苦手。18歳時の昭和18年(1943年)暮れに妹・すみと共に広島市草津にある親戚の森田家の仕事を手伝う最中に突然舞い込んできた縁談により、呉の北條家に嫁ぐ。周作と幼少期に一度遭遇していたが覚えてはいなかった。特に断る理由もないまま嫁入りし、哲への思いも捨てきれてはいないものの徐々に周作を心から愛するようになる。働き者だが、おっとりした性格から時折小事件を巻き起こす。周りにはぼんやりした嫁だと思われているが、芯の通った強さも持つ。次第に物資が乏しくなる戦時下の生活に先行きの不安を感じつつも、夫や北條家の人々を愛し、また愛されながら、知恵と明るさで懸命に乗り切っていく。1945年(昭和20年)6月22日、舅の円太郎を見舞いに行った帰りに空襲で右手を失う。人の機微に聡い一面もあり、白木リンと夫の関係に気付いている。 TBSドラマ版では2018年時点でも90歳を越して存命であり、シーズンにユニフォームを着て野球場に通い詰めるほどの広島東洋カープファンである。 北條周作(ほうじょう しゅうさく) すずの夫。呉鎮守府の軍法会議録事(書記官)。すずよりも4歳年上。昭和18年12月、突然父親の円太郎と浦野家を訪れ、幼い頃に一度だけ会ったことがあるすずに結婚を申し込んだ。短編『冬の記憶』に登場する少年と同一人物。生真面目な性格で、親族ら周囲から「暗い」と言われるのを気にしている。すずを愛し、彼女の絵描きの趣味にも理解を持っているが、すずが幼なじみの哲に淡い想いを抱いていることにうすうす気づいている。戦況の悪化に伴い文官から武官に異動させられ留守がちになるも前線に出ないまま生き延びることができ、海軍の解体後は新たな職場で広島市内に通勤することになった。 北條サン(ほうじょう さん) 周作の母(すずの姑)。足を痛めているため普段は自宅で安静にしているが、裁縫や精米など、家長の妻として出来ることを最大限頑張っている。嫁姑の関係ではあるが、すずをいびるようなことはせず優しく接する。自分の体が悪いせいで息子に嫁を取ってもらったという事情もあるものの、優しい言動は元々の性格でもあろうことが示唆されている。 北條円太郎(ほうじょう えんたろう) 周作の父(すずの舅)。広海軍工廠十一空廠勤続の技師。かつてロンドン海軍軍縮会議のため一時解雇されていた。化学が専門のようで、蘊蓄を語り出すと止まらない。真面目かつ温和・冷静で、怒ることはほとんどない。 5月5日の広工廠爆撃のあと一時行方不明になっていたが、6月に海軍病院に入院していることが判明。すずが右手を失ったあと退院し、自宅療養している。 黒村径子(くろむら けいこ) 周作の姉で、顔立ちは周作そっくりな長身の女性。元モダンガールでファッションにうるさい。はっきりと物を言う性格で、何事もてきぱきこなす。家庭に収まらず高等女学校卒業後、職業婦人として働いてもいた。反面、炊事は好きではなく飯を炊けば決まって焦がしていた。当時としては珍しい恋愛結婚をして家を出ていたが、時計屋を営んでいた夫の病死後、その性格から嫁ぎ先と折り合いが悪くなる。建物疎開によって黒村家が下関に引っ越すことを機に離縁し、娘ともども北條家に戻ってきた。跡継ぎであるため嫁ぎ先に残さざるをえなかった息子のことを気にかけている。すずには嫌味を言うことも日常茶飯事である一方、若いすずを気遣っての言動も見られる。晴美が亡くなった時は逆上してすずを責めてしまったが、その後は右手を失って家事に不自由するすずを見かね、彼女に代わって家事に精を出すようになる。すずが罪悪感から実家に帰ろうとした際には「すずさんがイヤんならん限りすずさんの居場所はここじゃ」と言って引き留めた。 すず夫妻がボロをまとった戦災孤児を連れ帰ったときは、晴美の服を直して着せてやろうとする心遣いも見せた。 黒村晴美(くろむら はるみ) 径子の娘。国民学校初等科への入学を控えている。兄の久夫に軍艦の名前を教えてもらっており、幼いながらすずよりはるかに軍艦に詳しい。母とともに北條家に同居し、すずに懐く。1945年(昭和20年)6月22日の空襲後、すずと一緒にいたところを時限爆弾の爆発に巻き込まれて死亡する。 黒村久夫(くろむら ひさお) 離縁した径子が跡取りとして黒村家に預けてきた息子で軍艦が好き。妹・晴美の入学祝いとして自分が使っていた教科書(アサヒ読本)を送ってきた。長男であることから黒村家の跡継ぎとして下関に住む。
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