ロシア軍の軍服
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「軍服 (ロシア・ソ連)」の記事における「ロシア軍の軍服」の解説
1991年にソビエト連邦が解体して後のロシア軍の軍服は、ソ連軍の軍服から「ソ連」「共産主義」につながる意匠(赤い星等)を排除する一方、1943年に復活した「ロシア軍」の要素と、第二次大戦後に新しく加えられた要素(開襟ネクタイ式の上着や迷彩服等)をほぼそのまま踏襲したものになっていた。 ソ連解体後に新たに加わった要素としては、従来の楕円形の帽章の上に付く「双頭の鷲」(東ローマ帝国の後継者と自任するロシアの象徴)の帽章などがあげられる。また、大統領連隊では帝政ロシア時代の親衛隊の礼服を復活させるなど、他の軍隊がそうであるように伝統回帰の傾向が見られる。また、戦闘用軍靴についても、革製の半長靴から、靴紐が付いた合皮製の編上靴へと変化している。 2008年、ファッションデザイナーであるヴァレンティン・ユダシュキン のデザインによる新型軍服が採用された。制服はいくつかの変更点が見られるものの、依然として旧ソ連軍の軍服に近いデザインとなっている。しかし、この制服は機能性よりデザインを重視していたため、2010年には厳冬の中250人ほどの兵士が風邪を引いたり肺炎を起こしたりしたことが問題となった。 一方で迷彩服には、UCPのような、ドットで構成されたデジタル迷彩柄「デジタルフローラ」が採用された。この迷彩服は防寒ジャケットの重ね着により15℃から-40℃までの気温変化に対応可能であり、南オセチア紛争以降急速に普及した。 また、ロシア軍はかねてより特殊部隊など部隊単位でさまざまな柄の迷彩服を着用している。中にはフィンランド軍のM05迷彩服に酷似したものもあり、フィンランド国防省が調査に乗り出したこともあった。 現場での悪評を受けて、デザインを手がけたヴァレンティン・ユダシュキンは、セルゲイ・ショイグが国防相に就任した2012年11月にもう一度制服を作り直すことを表明した。2014年より順次常勤服のネクタイを廃止し、ファスナージャケットにTシャツといった作業服スタイルの制服となった。この制服にはショイグ国防相の意向が反映されたと言われる。2017年からは将校向け礼装に帝政ロシア時代のものに類似した詰襟制服が採用された。 諸外国と同様にロシア軍においても歩兵の戦闘行動を支援するシステムの開発がなされている。ラトニク(露:Ратник、戦士の意)はロシア軍の先進歩兵装備システムであり、2011年の航空ショーMAKS2011で公開され2012年より軍でのテストを開始、2015年に初納入した。ラトニクはロシア版GPSであるGLONASSと連携したウェアラブル端末や部隊指揮官向けタブレット、音声や映像の送受信が可能なストレレッツシステム(露:Стрелец、銃兵隊の意)、熱線暗視装置を内蔵したヘッドセットのほか各種タクティカルベスト、防弾ベスト、ヘルメットなど10系統59種類の装備で構成される。報道によれば、ロシア国防省は毎年50,000セットを購入し2020年までに7割超の部隊がラトニクを装備する予定である。 ロシア連邦陸軍・海軍・空軍の階級章 現在の制服 大統領連隊の兵士。シャコー帽を被っている(2006年) ウシャンカとコートを着用した儀仗兵(2006年10月30日) 大統領連隊の兵士(2008年) ネクタイを廃止した新制服を着用するショイグ国防相(2015年) デジタルフローラの迷彩服を着用した空挺軍兵士(2015年) 礼装を着用した陸軍の行進部隊指揮官(2017年) 過去の制服 2008年以前の陸海空軍常勤服 元ロシア国防相パーヴェル・グラチョフ(1994年) 陸軍将官礼装(2010年5月9日) 対独戦勝60周年記念日のパレードに参加してシャンゼリゼ通りを行進するロシア軍兵士(2005年5月8日) 海軍少将(2012年5月9日) 元ロシア海軍総司令官ウラジーミル・マソリン 退役軍人の将官ら(2005年5月8日) タマンスカヤ師団の兵士。ソ連時代のアフガンカの冬服とウシャンカを着用(1992年1月3日) 第106親衛空挺師団の兵士。ベレー帽とベルトはソ連時代のものを使用 ロシア国内軍の兵士 ロシア国内軍のスペツナズ(2013年) 作業服を着用した防空軍兵士。ベルトはソ連時代のもので、キャンパス生地にアルミ製バックルの作業ベルトを装着する兵士が多い中、左端の兵士は茶色の人工皮革にOD色バックルの野戦ベルトを使用している(2002年7月1日) ロシア軍の緩衝パッドつき空挺ヘッドギア、戦車用も類似のデザイン 海軍水兵(2002年9月) 女性水兵(2012年7月14日) 水兵帽 水兵服の襟 海軍の作業服装 ロシア海軍歩兵(2003年) 2008年制定の制服。現場での評判が悪く、短命に終わった。 ヴァレンティン・ユダシュキンと2008年制定の制服。一部は現在も使用されている。 略帽を被った陸軍中尉(2008年1月28日)
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