ドルジェ・シュグデン論争とは? わかりやすく解説

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ドルジェ・シュグデン論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 06:10 UTC 版)

ニュー・カダンパ・トラディション」の記事における「ドルジェ・シュグデン論争」の解説

詳細は「シュクデン」を参照 NKT真髄となっている修練には、ツォンカパのグルヨーガ〔上師喩伽〕と並んでイダム守護尊〕としてのドルジェ・シュクデンの修練があり、この修練は、ゲシェ・ケルサン・ギャツォグルである、キャブジェ・ティジャン・ドルジェチャン・リンポチェによって彼に伝授された。よって、NKT修練者にとってのドルジェ・シュクデンとは、ツォンカパであり、マンジュシュリー文殊菩薩〕であり、これらと同じ地位とされている。 よって、ダライラマ14世が、チベット亡命政府において、この修練を『禁止』したことに対して論戦沸き起こった事は、なんら驚かされる出来事ではない。そして、インドにおいて禁止された、ドルジェ・シュクデンの修練復活させるための結束行為として、何百というNKTメンバーが、ウェスタン・シュグデン・ソサエティ(Western Shugden Society) に参加しダライラマの”明白な禁止命令”に抵抗している。 ゲシェ・ケルサンは、この”政治的”な”禁止命令” を、『正当な修練に対しての、理にかなわない余計な干渉』と考えており、 彼の弟子たちまた、ダライラマ行動を、馬鹿げた問題だと考えている。 一方ダライラマは、シュクデン修練望まない理由として、以下の3つをあげている。 1.チベット仏教が、心霊崇拝となり堕落してしまう危険性チベット仏教元来古代より引き継がれ権威のある偉大なインド寺院にして大学ナーランダー僧院から進化したものであり、この伝統は、仏教の完全な形であると、しばしばダライラマ14世描写しているところである。それはナーガルージュナ龍樹〕、アサンガ無著〕、ヴァスバンドゥ世親〕、ディグナーガ陳那〕やダルマキールティ法称〕といった、偉大な仏教の師たちの哲学として、神霊的なものとして、そして精神的洞察として発展して仏陀元来伝統具現化している。8世紀はじめにチベットで仏教定着させた偉大な哲学者であり、論理学者であったシャーンタラクシタは、哲学的な探求批判的な分析はとても重要な特質であるとしている。 一方シュクデンShugdenまたはDolgyal)は、元をたどれば一介土地神護法尊とされたものである護法尊とは、仏法やそれを学ぶ人々を、欲望誘惑さらには悪魔などの仏敵から守る存在であり、人よりは霊的に上位であるものの、仏や菩薩天部にもおよばない低級存在である。シュクデン修練問題点は、その護法にすぎないシュクデンを、仏そのものより重要なものとして昇格させようとしていることである。もしこの傾向見直されないまま引き継がれ人々カルトのような修練魅了され場合危険性は、豊かな伝統としてのチベット仏教が、ただ単に心霊なだめるものへと衰退して行く事であろう。 2.非派閥主義に対して障害ダライラマ14世がしばしば述べ重要な声明として、異教徒間の理解調和がある。その中の彼の努力1つとして、非派閥主義チベット仏教各宗派流派)に推奨している。ダライラマ14世は特にダライラマ5世と、ダライラマ13世方針従おうとしている。これは、全てのチベット仏教宗派流派)において、チベット伝統ダメージ与えうる派閥主義を、お互いに起こさせないための行動であり、最適な保護手段である。シュクデン崇拝派閥主義という観点において、シュクデン修練は、チベットの仏教伝統において、派閥性がない精神促進することに対す基本的な障害である。 3.特にチベット社会健全な幸福にとっての不適切性: シュクデン供養する事は、チベット人々の今ある困難な状況考えると特に厄介である。原典的な、そして、歴史的な調査により、シュクデンダライラマ5世とその政府対す敵対心から現れたと論証されている。17世紀チベットにおいて、霊的世俗的なリーダーとして崇められていたダライラマ5世は、個人的にシュクデンを「間違った方向に導く邪悪な霊であり、人々にとって、そして、チベット政府にとって有害なのである」と非難していた。ダライラマ13世と、当時崇拝されていたチベット高僧たちも、シュクデン修練に対して強く反対していた。よって、今のチベット状況、特に政治的軍事的に抑圧されつづけ、共同体としての団結最重要課題であるチベット人民のことを考えると、議論の多いシュクデン修練は適切ではない。 この3つの理由により、ダライラマ14世は、シュグデンの修練問題に対して今一度注意深く考えられるようにと支持者達に強く勧めている。また彼は、仏教リーダーとして、チベット人民を愛す特別な思いから、この種の有害な心霊崇拝に対して意見発言するのは彼の責務であると声明している。ダライラマ14世アドバイスに従うのか従わないのか、それは個人個人問題であるが、ダライラマ14世はこのシュクデン修練に強い拒否をもっているため、シュクデンの霊をなだめるものは、ダライラマ14世宗教的な教えには参加しないように要求しており、これは、ダライラマ14世グルとしている人たちへの、伝統的な師と弟子の関係の確立ということである。としている。#* Collection of Advice regarding Shugden ちなみに、この論争大きく表面化したことにより、シュクデン修練NKTにとっての主な修練だと思われがちだが、これに対しては『New Kadampa Truth』にて、以下のように説明している。 ”他の仏教伝統同じように、NKTの主となる修練は、三宝、つまり、ブッダ(仏)、ダルマ(法)、サンガ(僧)への帰依である。他の大乗仏教伝統同じように、NKT主な修練は、菩提心起こす事である。NKT修行者は、ツォンカパ経典従った密教タントラ)を修練しているという理由から、菩提心悟りとして成就するために、グル(精神的指導者)、イダム( Yidam 、密教行者個々人を守る本尊)、護法尊(上述守護神)を頼りにしている。これら3つは、ツォンカパ説明しているように、三宝現れである。我々のメインとなる護法は、智恵ブッダであるシュクデンである。我々はまた、パルデン・ラモ〔吉祥天〕、マハーカーラ大黒天〕、キンカラ〔兢羯娑薬叉〕、カーラルーパ(文殊菩薩化身)といった護法善神頼りにしている。ツォンカパ純粋な伝統と、特にガンデン寺からの口伝による系統(the Ganden oral lineage)を支えようとする者達にとっては、シュクデンに頼ることはとても重要であるが、シュクデン修練NKT主な修行ではない。”と答えている。 このようなことがあり、欧米マスメディアでは、NKTダライラマとの関係や、シュグデン論争との関わり合いにより、NKTに対して議論の多い宗教組織”という反応をしているが、ロバート・ブルック(Robert BluckBritish Buddhism著した英国作家)は、『NKT修練者たちの確固とした自信が、外から冷淡に観察しているものにとっては独断的に見られがちだが、バランスのとれたアプローチが必要。』と述べている。

※この「ドルジェ・シュグデン論争」の解説は、「ニュー・カダンパ・トラディション」の解説の一部です。
「ドルジェ・シュグデン論争」を含む「ニュー・カダンパ・トラディション」の記事については、「ニュー・カダンパ・トラディション」の概要を参照ください。

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