ソーシャル・ジャスティス・ウォーリア(SJW)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:50 UTC 版)
「性的対象化」の記事における「ソーシャル・ジャスティス・ウォーリア(SJW)」の解説
詳細は「ゲーマーゲート論争」を参照 欧米では「ネットを中心に活動する、フェミニストを含めた攻撃的な表現規制論者たち」は「ソーシャル・ジャスティス・ウォーリア/social justice warrior/SJW」と呼ばれている。SJWは「社会正義のために戦う人」「正義の味方ちゃん」などの意味で、海外で広く使われるネットスラングである。 SJWの代表格として、フェミニスト・フリークエンシー(Feminist Frequency/略称:FemFreq)が挙げられる。カナダのラディカル・フェミニストで評論家でもあるブロガーのアニータ・サーキージアン(Anita Sarkeesian)が代表を務めるフェミニズム団体であり、2014年のゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)で「ビデオゲームにおける女性の扱われ方」というプレゼンを行い、女性として初めて、ゲームをよりよいものにするために貢献した人物に贈られるアンバサダー賞を受賞した。 クラウドファンディングの資金援助を受けて、2014年6月からYouTubeにて「ゲームに登場する女性キャラクターはいかにして性の対象として描かれているか?」が主題の『ビデオゲームにおけるトロペ対女性(原題:Tropes vs. Women in Video Games)』シリーズを公開している。任天堂をはじめとした国内外のゲームに対し、以下のような主張を行っている。 「薄着や露出の多いセクシーな女性キャラクター」「胸やヒップを強調したアングル」など性の対象として表現されたものは、男性プレイヤーの興味をそそるために創作されており、「女性は男性の欲望を満たすための装飾的存在だ」というメッセージを売りつけている。 特に操作できないモブキャラクター(NPC/Non-Playable Character)の売春婦、ストリッパー、ポールダンサーなどは、ほとんどの場合ストーリーと無関係だが、男性へのサービスとして使われる。貧困街で働いたり、片言を話す女性NPCが登場するシーンは買春ツアーを想起させ、女性や女性キャラクターを「性の商品化」しており、白人や西洋人が別の人種の女性を性の対象として消費してきた、伝統的な人種差別表現の典型である。 「見学者」であるテレビなどのメディアと違い、ゲームはキャラクターをプレイすることでユーザーを「参加者」に変えてしまうため、「女性の役割は男性の欲望を満たすことである」という強いメッセージをプレイヤーに投げかけ、現実社会における女性の立場に少なからず影響がある。 男娼キャラクターなどを登場させ、性の対象化の描写が平等になっても、社会では男性の性的能力は他人を喜ばすものとして考えられておらず、社会的ポジションを男性が独占する文化(家父長制・パターナリズム)である以上、女性キャラクターを性の対象として描くことの根本的解決にならない。 男としてプレイし、女性を射殺するようなゲームを想像するだけで、身の毛がよだつ。 ゲームに限らずアニメ、漫画、イラストなどでも同様の批判が起きることから、以下のような反論が行われている。 自主規制を強要して行われる検閲だ オリジナルを尊重していない 科学的根拠がない極論であり、欧米や一部の価値観を世界や日本に押し付けている(イデオロギー化している) アダルト業界従事者や、女性の性的要素・魅力を楽しむ女性ユーザーや女性クリエイターを差別している エンターテイメントであるゲームに、性差別という政治的な問題を持ち込むべきではない 多様性を認めず、ひとつの基準・ルールを強制している フィクションを楽しむことと実害行為を混同している 人手や予算などのリソースは限られており、表現ではなく現実に起きている事件の取り締まりに全力を注ぐべきだ 2016年、アメリカのオンラインゲーム『World of war craft』開発責任者のマーク・カーン(Mark Kern)は、インタビューで反論と日本へのメッセージを述べた。 冗談や尻を叩くジェスチャーが問題になるなら、より物議をかもす事柄や、ゲームを通して探求するべきテーマなども検閲の対象になる。 SJWは「自分たちは何も強制してはいない」「ゲーム制作者たちが自発的に決定したことだ」と言うが、実際はそうするよう圧力をかけている。昨今では、偶然に少しでも胸の谷間を見せすぎてしまったら、SJWから「女性差別主義的である」と雇用主に電話がかかり、制作者が男尊女卑的な思想の持ち主だと責め立て、表現を取り下げさせようとしてくるため、まるで禁酒法のようである。 ネットメディアサイトにいる自称「専門家」が、本人たちが買ってもいない、一度もプレイしたこともないゲームに対して、女性差別であると間違いだらけの臆説を述べ、あたかも日本製ゲームが売れないかのように発言している。 日本製ゲームは売れ続けており、アメリカではネット上の攻撃がセールスに悪い影響を与えたことはなく、ネット上でさんざん中傷された『グランド・セフト・オートシリーズ(GTA)』は大ヒットした。 日本製ゲームが欧米市場で撤退に追い込まれたり、海外でゲーム内の表現変更を求められたりしているが、海外において一般の人々は、積極的に日本のゲームを糾弾する側に賛同などしておらず、ゲームに関する表現規制など大した問題ではない、と見逃しているだけである。 「メディアと結託した少数の攻撃的な規制推進派(SJW)」「規制推進派に明確に反対する少数のゲーマーたち(GamerGate)」「大多数の、問題に大して関心がないか、見て見ぬ振りをしている人々」がおり、実態とは違う情報・主義・主張が、海外であたかも広く受け入れられている事実かのように日本に伝えられているのを正したい。
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