ガンダム試作1号機 フルバーニアン
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「ガンダム開発計画」の記事における「ガンダム試作1号機 フルバーニアン」の解説
試作1号機の宇宙仕様で、コード・ネームは「ゼフィランサス・フルバーニアン」。「フルバーニアン」という呼称は、バーニアの増設による機動性の向上に主眼を置いていることによる。 試作1号機も、先述の「汎用多用途」というコンセプトが主眼に置かれているが、MSが稼働する領域は基本的に地上と宇宙空間しかないとして、それぞれの領域で最高の性能を発揮できるように調整されている。そのため、主機のコア・ファイターの換装だけで宇宙空間においても完璧に近い形で適応可能となっている(ただし、機体のアライメント調整やメンテナンスは必要)。さらに、脚部のプロペラント・タンクなどの追加装備により、作戦行動時間が延長される。これら換装用のユニットは試作1号機とともにロールアウトしているが、1号機が大きく損壊したため、逆に地上での実働データのフィードバックや、ロールアウトから当時までの期間に提案されたアイデアなども盛り込むことが可能となり、「フルバーニアン」は当初の設計案からかけ離れた機体として完成する。制式なものではないが、型式番号が変更されているのもそのためである。 11月2日にAE社フォン・ブラウン工場に搬入され、4日には早くもトライアルを開始しているが、これは軍の強い督促のほか、必要なパーツがすでに完成していたことによる。ただし、作業に関わるスタッフはかなりの負担を強いられたといわれる。塗り分けも変更されており、肩が青になるなど、のちのΖガンダムに近い印象となっている。 なお、本機の宇宙用装備をジム・カスタムにほどこしたジム・カスタム高機動型も数機が試験運用されている。 機体構造(変更箇所) 胴体部 胸部は、地上用ではコア・ファイターのインテークが露出しているが、同部位がリバース・スラスターに変更されたため、それに準じて開閉式のカバーが設置され、緊急時には展開してスラスターが露出する。また、腰部スカート・アーマーが大型のものに換装されている。 腕部 両肩の「ショルダー・バーニア・ポッド」は、設計当初からの宇宙用装備のひとつであり、無重力空間での機動性を飛躍的に向上させる。各バーニアは通常は収納されており、使用時に展開する。ショルダー・ジョイントの中間に設置される可動アーマーは、耐弾性向上のため改装時に追加されたものである。 脚部 基本フレームは予備のものがほぼそのまま使用され、ほとんど当初の改装案に準じた改造がおこなわれているが、プロペラント・タンクとスラスターを増設したその形状は極端に異なり、地上用とのデザイン上の最大の差異となっている。さらに、ソール部にも当時の標準的な艦艇の規格範囲内ぎりぎりのサイズでプロペラント・タンクが装備される。これらの構造は、「脚」や「腕」としての機能に支障がなければ何を内装しても構わないという発想を生み、のちにジェネレーターを脚部に搭載するΖガンダムなどの誕生と結び付く。 バックパック コア・ファイターのドッキング時の弊害となっているバックパックのカバー(コア・ブロック・カバー)を撤廃。これにより、コア・ファイターの後部(MSのメイン・スラスター・ユニット)を可動させることが可能となり、ユニバーサル・ブースト・ポッド(後述)と併用して方向転換や機体制御に用いられ、当初の設計案に数倍する機動性を確保している。 武装 頭部60ミリバルカン砲はそのまま引き継がれており、シールド(型式番号:RX・Vsh-023F/S-04718)も型式番号に若干の変更があるのみで、変更点はない。ビーム・サーベル 型式番号:A.E.BLASH・XB-G-07/Du.05 改良型で、ジェネレーター出力の向上によりMS形態時にもビーム・ガンとして使用可能になっている。ホルダー部の改造により、射角も変更可能。 ビーム・ライフル 型式番号:XBR・BOWA M-82-06A 改装の際に内部デバイスが改良され、性能が若干向上している。 新型試作ビーム・ライフル 型式番号:ブラッシュ・XBR-L-83d CDシネマ『機動戦士ガンダム0083 ルンガ沖砲撃戦』に登場。外観はムック『機動戦士ガンダム0083 MS WARS』に佐野浩敏によるイラストが掲載されたのが初出。 「ロング・レンジ・ビーム・ライフル」あるいは「ロング・ライフル」などとも呼ばれる。ブラッシュ社製で、出力は4.5メガワットと2.2メガワットの2説がある。威力は大きいものの、MSのジェネレーターから内蔵のコンデンサーにチャージさせるタイプであるため発射間隔が大きくなるのが欠点。別の新型機(試作3号機といわれる)のために開発されるが、試作1号機との互換性検証のため11月5日に試射がおこなわれる。マッチングに不具合が生じ照準精度が非常に不安定なため、アルビオンの主砲からスタビライザーを移される。急襲してきたチベ級重巡洋艦に向かって1射するも撃沈には至らず、さらにエネルギー・ジャムにより発射不可能となる。なお、チベ級はアルビオンの主砲によって撃沈される。 漫画『0083 REBELLION』では、戦闘で破損したGファイターIIのビーム・キャノンに替わって、試作1号機用ビーム・ライフルとともに砲塔に装備される。メカニックのモーラ・バシット中尉によれば、本体のジェネレーターから内蔵コンデンサーにチャージするタイプとされ、(フルバーニアンではない)試作1号機では出力不足でまともに1発すら撃てないという。その後GファイターIIは従来のビーム・キャノンに換装され、本武装はフルバーニアンが試作4号機との模擬戦と、続くヴァル・ヴァロとの戦闘で使用する。 アニメ『ガンダムビルドファイターズ』では、マラサイ(のガンプラ)用のハイパー・メガ・ランチャーとして登場。仮想空間で主役ガンプラのビルドストライクガンダムの強化ビーム・ライフルと撃ち合うが、出力差で押し負けてマラサイごと撃破される。 劇中での活躍 11月4日にAE社のリバモア実験場でトライアル後、同日にアルビオンは出港するが、その際にフォン・ブラウンに秘匿されていたケリィ・レズナーのヴァル・ヴァロが出現。ケリィは「ガンダム」との一騎討ちを要求、それに応えるようにコウが搭乗する本機が出撃する。プラズマ・リーダーの攻撃を受けるが、コックピットの核爆発時の電磁パルス防護機能と、チャック・キース少尉のジム・キャノンIIの援護により致命傷には至っていない。その後クロー・アームで捕獲されるが、Bパーツを切り離して上半身のみでビーム・サーベルを突き刺し撃破する。8日から索敵攻撃部隊に従事、コウは戦時特例で中尉に昇進する。10日にコンペイトウ沖で観艦式襲撃後の試作2号機と交戦、相討ちとなり爆砕するが、コウは生還している。 漫画『機動戦士ガンダム0083 星屑の英雄』では、大破した機体は2号機とともに回収されている。 アニメ『機動武闘伝Gガンダム』では、終盤に世界中から集結したガンダム達で構成された「ガンダム連合」の中に一瞬だけ登場する。
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