オルレアン・コレクションの成立とは? わかりやすく解説

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オルレアン・コレクションの成立

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 01:24 UTC 版)

オルレアン・コレクション」の記事における「オルレアン・コレクションの成立」の解説

クリスティーナコレクションを含むオルレアン・コレクションは、オルレアン公パリでの居城だったパレ・ロワイヤル収蔵され主要な場所飾られた。1727年目録によればオルレアン・コレクションのうち15点絵画のみがフィリップ2世の父オルレアン公フィリップ1世からの相続となっている。この目録にある絵画全てフィリップ2世所有とは限らないが、これらのコレクション1727年一般公開されたことは間違いない1701年フィリップ2世は父フィリップ1世最初の妻アンリエッタ・アンヌから小規模ではあるが優れた美術コレクション相続し1702年には男色家でもあった父の愛人フィリップ・ド・ロレーヌコレクション相続している。イギリス人美術史家ジェラルド・ライトリンガーによればフィリップ2世積極的に美術品収集開始したのは1715年からで、この年叔父であるフランス王ルイ14世死去した年であり、フィリップ2世後継フランス王ルイ15世摂政就任した年だった。またフィリップ2世は、スペイン王フェリペ5世からフランス大使グラモン公に贈られた「ポエジア」に由来するティツィアーノ作の非常に重要な絵画3点グラモン公から贈与されている。 クリスティーナコレクションフィリップ2世入手したのはフィリップ2世最晩年のことで、その他の絵画大部分フランス国内で購入したのだったフランスで購入した作品にはセバスティアーノ・デル・ピオンボの『ラザロの蘇生』などがあり、フランス以外では1716年枢機卿ジェローム・デュボワのコレクションから購入したニコラ・プッサン作の秘蹟描いた7点連作 (en:Seven Sacraments) などがある。デュボワのほかにも枢機卿リシュリューマザラン遺産相続人からジャン=バティスト・コルベールコレクション由来重要な絵画群を入手しており、さらにノアイユ公、グラモン公、ヴァンドーム公をはじめ、主要なフランスコレクターから美術品購入したという記録もある。 オルレアン・コレクションは、パレ・ロワイヤルの西に並んで伸びた大きな特別室蔵書棟に飾られ小規模なオランダ絵画フランドル絵画はより小さな部屋飾られていた。当時パレ・ロワイヤルフィリップ1世存命中の時代のままの調度品磁器壁飾りのままになっており、1765年パレ・ロワイヤル訪れた人の記録によれば「この宮殿以上に高価美術的価値が高い調度品などで飾り立てられた場所は想像できないといわれるほどだった。絵画配置変更されることもあり、円天井天窓から降り注ぐ薄暗い太陽光のもとでの展示だったが、当時美術愛好家からは「光り輝くギャラリー (Galerie à la Lanterne)」と賞賛されていた。18世紀通じてオルレアン・コレクションはもっとも目にしやすい絵画コレクションで、多く観客パレ・ロワイヤル訪れてオルレアン・コレクション鑑賞している。1727年発行され1737年再版され目録パレ・ロワイヤル絵画解説 (Description des Tableaux du Palais Royal)』もパレ・ロワイヤル訪れ人々大い利用された。この目録には絵画495点が記載されており、後にさらにコレクション追加され絵画もあれば、コレクションから手放され絵画もある オルレアン・コレクション画家流派描かれているモチーフなどとは関係なく、並べて壁にかけたときに展示したときにもっとも効果的であると思われる順番展示されていた。画家流派に関係なく並べるという展示方法は、ピエール・クロザが自身パリ邸宅でのコレクション展方法と同じものだった。ただし、猥雑モチーフ描いた絵画宗教画一緒に展示されるこの展示方法は、観客から非難されることも少なくなかったオルレアン・コレクション盛期ルネサンス後期ルネサンスイタリア絵画、特にヴェネツィア派作品で特に重要なコレクションだった。スペイン王フェリペ2世依頼ティツィアーノ制作した、「ポエジア」と呼ばれる一連の古代神連作絵画少なくとも5点含まれている。現在エディンバラスコットランド国立美術館所蔵するディアナとアクタイオン』、『ディアナとカリスト』、ロンドンナショナル・ギャラリー所蔵するアクタイオンの死』、ウォレス・コレクション所蔵するペルセウスアンドロメダ』、ボストンイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館所蔵するエウロペの略奪』である。パオロ・ヴェロネーゼ描いた神話モチーフにした連作4点は、現在ケンブリッジフィッツウィリアム美術館ニューヨークメトロポリタン美術館、そしてフリック・コレクション2点と各都市分散して所蔵されている。同じくヴェロネーゼ描いた別の連作4点愛の寓意』はロンドンナショナル・ギャラリー所蔵しており、中央展示室にヴェロネーゼのほかの作品ティツィアーノの「ポエジア」3点コレッジョ作品とともに飾られている。 オルレアン・コレクションには28点のティツィアーノ(現在ではティツィアーノ工房作と見なされている絵画も多いが、ティツィアーノ絵画中でも傑作見なされる絵画もある)、12点ラファエロ16点ヴェロネーゼ12点ティントレット25点のアンニーバレ・カラッチ7点ルドヴィコ・カラッチ3点コレッジョ(他に現在ではコレッジョ作品とは考えられていない10点もある)、3点カラヴァッジョなどの作品収蔵されていた。現在では作者別人だと考えられている作品で、当時でも作者疑われいたものとして、ミケランジェロ2点レオナルド・ダ・ヴィンチ3点がある。ジョヴァンニ・ベリーニ除けば15世紀以前作品ごくわずかだった。 目録記載されているフランス絵画比較少ないが、その中でニコラ・プッサンによる一連の秘蹟描いた7点連作5点作品が有名である。その他のフランス絵画として、現在ではメトロポリタン美術館所蔵するフィリップ・ド・シャンパーニュ絵画同じく現在はロンドン陸海軍クラブ (en:Naval and Military Club) のクラブハウスナショナル・ギャラリー所蔵するウスターシュ・ル・シュウール (en:Eustache Le Sueur) がある。フランドル絵画では、ルーベンス習作12点(現在は世界中散逸している)を含む絵画19点ヴァン・ダイク絵画10点ダヴィッド・テニールス絵画9点がある。オランダ絵画ではレンブラント・ファン・レイン絵画6点カスパル・ネッチェル絵画7点フランス・ファン・ミーリス絵画3点があるが、当時比べる現在の評価高くない作品群となっている。その他のオランダ絵画にはヘラルト・ドウ絵画3点フィリプス・ウーウェルマン絵画4点もあった。 フィリップ2世息子ルイは、宗教的理由と軽い神経症から、オルレアン・コレクション中でも特に有名な絵画一つであるコレッジョの『レダと白鳥』をナイフ切りつけことがある。さらにルイ首席宮廷画家シャルル=アントワーヌ・ コワペル (en:Charles-Antoine Coypel) に対して神話モチーフとしたコレッジョ傑作3点切り裂くように命じたが、裂片は保存されており後に修復された。これらコレッジョ作品は後に、『レダと白鳥』はプロイセンフリードリヒ大王入手し『ダナエ』ヴェネツィアへと渡った盗難遭い最終的にリヴォルノイギリス領事が購入している。『ユピテルとイオ』はおそらく複製であり、ベルリンのカイザー・フリードリヒ美術館所蔵されたことが知られているが、現在は行方不明となっている。フランドル絵画の何点かは1727年7月パリ開かれたオークション売却されている。 1785年初めにオルレアン・コレクション絵画をもとにした版画予約生産のかたちで順次出版されフランス革命時のマクシミリアン・ロベスピエールらによる恐怖政治下で取り止めになり、オルレアン・コレクション絵画自体売却される事態になるまでに352点の版画制作された。ロベスピエール処刑によって恐怖政治終了し第一帝政移行した1806年には書物の形で版画集が出版された。オルレアン・コレクション絵画版画はこれ以前からも多く制作されており、1720年代パリ中流階級ではプッサン秘蹟描いた7点連作版画がとくに人気があった。

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