イスラーム通貨の導入と官僚機構のアラブ化とは? わかりやすく解説

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イスラーム通貨の導入と官僚機構のアラブ化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 02:08 UTC 版)

アブドゥルマリク」の記事における「イスラーム通貨の導入と官僚機構のアラブ化」の解説

アブドゥルマリクによる中央集権化政策イスラーム化政策大きなイスラーム通貨導入であったビザンツ帝国ソリドゥス金貨シリアエジプト廃止されることになったが、そのきっかけになった考えられているのはビザンツ帝国691年692年硬貨キリストの像を加えたことであり、これは預言者の像に関するイスラーム禁忌触れるものであったアブドゥルマリクビザンツ帝国硬貨代わるイスラーム世界金貨として693年ディナール金貨導入した当初、この新し硬貨にはイスラーム共同体精神的指導者であり、最高位軍司令官でもあるカリフ肖像描かれていた。しかし、このような意匠イスラーム教徒官僚には受け入れられず、696年もしくは697年肖像のない様式変更されクルアーンからの引用その他のイスラーム宗教的な定型句硬貨刻まれた。698年699年には東方のかつてのサーサーン朝ペルシア領内イスラーム教徒発行していたディルハム銀貨にも同様の変更加えられた。アブドゥルマリク新しディルハムサーサーン朝時代銀製素材幅の広い形状という特徴残していたが、前述理由によってサーサーン朝の王の肖像硬貨から取り除かれた。 アブドゥルマリクイスラーム国家通貨刷新された直後700年頃にシリアディーワーン用い言語ギリシア語からアラビア語変更した一般的には考えられている。この移行アブドゥルマリク書記官であったスライマーン・ブン・サアド・アル=フシャニー(英語版)によって実施された。一方でハッジャージュはその3年前ペルシア語話されていたイラクディーワーンアラブ化に乗り出していた。公用語変更されたにもかかわらずアラビア語精通したギリシア語話者ペルシア語話者官僚は同じ地位に留まった。官僚機構通貨アラブ化はカリフ実行移した行政改革中でも最も重要なものであった最終的にアラビア語ウマイヤ朝における唯一の公用語となったものの、ホラーサーンなどの遠隔地では740年代まで移行実施されなかった。ハミルトン・ギブによれば、この布告は「各地方多様な税制度の再編統一向けた第一歩であり、より完全なイスラーム教徒による行政確立向けた手段でもあった」。一方でブランキンシップによれば実際にウマイヤ朝に「それまで欠けていた観念的計画的な彩りをより多く与える」イスラーム化政策重要な一部であったまた、アブドゥルマリクはこの政策前後してビザンツ帝国領内イスラーム教義広めるためにギリシア語書かれイスラームの信仰告白シャハーダ)を含んだパピルス輸出開始した。これはビザンツ帝国イスラーム教徒抗争イデオロギー面へ拡大していたことをより強く証明するものであったアブドゥルマリクの下で国家イスラーム化進行したことは、イスラーム教徒として生まれ育った支配者第一世代であるカリフとその政策の実行担ったハッジャージュの人生イスラーム影響与えていたことの部分的な反映でもあった。アブドゥルマリクとハッジャージュは、アラビア語のみが話され行政官もっぱらアラブ人イスラーム教徒担っていたイスラームの神学と法学中心地であるヒジャーズ人生の最も多く時間過ごしたこのため両者アラビア語しか理解できず、ディーワーン役人となっていたシリア人やギリシア人キリスト教徒ペルシア人ゾロアスター教徒にも馴染みがなかった。スフヤーン家のカリフとそのイラク総督たちは青年期にこれらの地域入りその子供たちがアラブ人イスラーム教徒新参者たちと同様に多数派土着の住民馴染みがあったのとは全く対照的であったヴェルハウゼンは、アブドゥルマリクは「(カリフの)ヤズィードのような軽率なやり方で」信仰心篤い臣民怒らせないように注意を払っていたが、即位してからは生い立ち初期の経歴におけるその敬虔さにもかかわらず、「すべてを政策の下へ従わせ、カアバ破壊危機晒すことさえした」と述べている。一方でアブドゥルアメール・ディクソンはこの見解異議唱えアッバース朝時代イスラーム教徒史料におけるアブドゥルマリク即位後の性格の変化その結果としての信仰心放棄に関する描写は、「卑劣で、不誠実であり、血に飢えた人物であると非難した史料作者たちによる一般的であったアブドゥルマリク対す敵意基づいていると指摘している。それでもなおディクソンは、カリフ政治的に必要な状況であると感じたときには若い頃イスラーム教徒としての理想無視した認めている。

※この「イスラーム通貨の導入と官僚機構のアラブ化」の解説は、「アブドゥルマリク」の解説の一部です。
「イスラーム通貨の導入と官僚機構のアラブ化」を含む「アブドゥルマリク」の記事については、「アブドゥルマリク」の概要を参照ください。

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