「ジハード」概念の問題とは? わかりやすく解説

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「ジハード」概念の問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 21:58 UTC 版)

イスラム教」の記事における「「ジハード」概念の問題」の解説

詳細は「ジハード」、「イスラーム過激派」、「世界イスラム帝国」、および「イスラム結束主義イスラムファシズム)」を参照 ジハード語源は「苦闘抗争努力」であり、1880年頃から「あらゆる種類教義的な聖戦運動」を指す語になったムスリムが“神のために苦しむこと、自分欲望断ち切って努力すること”をジハードというが、これは歴史的に見て対外的侵略口実として用いられることがあり、とりわけ預言者ムハンマド時代から初期イスラーム帝国時期にかけては、イスラーム共同体全世界その人民を支配下に置くのは宗教的義務であるとして、侵略戦争としてのジハードが行われ、現代イスラーム世界骨格となる領域形成された[要出典]。また現在でもこのような論法により破壊行為が行われることがある。 もともと伝統的な多神教信仰されていたアラブ人社会の中で生まれ、さらにユダヤ教キリスト教などの異教乗り越える中で拡大していったイスラム教は、自らが純粋で真正な一神教であるという確信に基づく自意識強く持ちイスラーム共同体開祖であるムハンマドの時代からムハンマド自ら多神教信者屈服させその神像打ち壊し、さらに敵対するユダヤ教徒屈服させることによって急速な拡大実現した宗教であるとされているが、その一方でムハンマド和平強く象徴しており、神像破壊は、幾度行われた外交的な交渉勝ち取ったメッカへの巡礼許可のもとに行われたのである[要出典]。イスラーム奉ずる国家民族が、他の宗教奉ずる文化に対して圧迫加えた例は少なからず見受けられるが、宗教強制イスラムでは堅く禁じられているという見解もある。ただし伝統的にイスラム教からの棄教死刑もしくは無期禁固とする学派多く、現在でも保守派ムスリム中にはこの見解支持する意見根強いシリア小アジアイベリアインドなどでは、ムスリムによってモスクへと改築されたり、破壊されてしまったキリスト教会仏教寺院ヒンドゥー教寺院数多く見られる。 ただし歴史上のそれに関しては、アウラングゼーブ以前ムガル帝国において非ムスリムムスリム宥和政策がとられたこと、キリスト教徒十字軍イスラーム教徒はじめとして異教徒すさまじ迫害行ったことからも見て取れるように、宗教的迫害イスラーム限られたものではないのは紛れもない事実である。イスラームのみを本質的に攻撃的であるとするのは宗教的エスノセントリズム側面極めて強いことも指摘されている。 イスラームによる他宗教へ弾圧に関して近年でも、ターリバーン政権によってバーミヤーン大仏破壊されてしまったことは記憶に新しい。 しかし一方でイスラム教では、無実の者を殺害することは一切禁じられており、クルアーンにも厳しく書かれていることを、ウラマー学者指摘する。したがってイスラームテロリズムは、実態としてテロリズム実行者支持者たちにどう受け入れられているかは別問題として、本質的に相容れないのであるという反論がある(とは言え迫害により無実の者が多数殺されたことや名誉の殺人未だ横行しているのも事実であるが)。また勿論のこと多くイスラーム諸国及びムスリムは、先述アメリカ同時多発テロチェチェン共和国独立過激派によるベスラン学校占拠事件イスラーム過激派による外国人誘拐及び殺害然り、これらの残虐非道な行為を行う者を異端者として見る向きもあり、特にジハード悪用した者達を強く非難する者も多いことも事実である。 近年自爆テロなどで活動過激さを増しているイスラーム主義先鋭的勢力も、異教徒や「背教者」に対すジハード旗印として活動行っている。特に、アメリカ同時多発テロ以降、その傾向強まりつつある。同時多発テロ実行犯たちは、これを「ジハード」であると認識し善行信じて犯行実施したとされている。 ただし、ハマースアルカイーダなどの武装組織活動は、「宗教的ジハード」の性質と共にアメリカの対アラブ政策イスラエルパレスチナ占領パレスチナ人虐殺などに対す抵抗運動としての側面併せ持っている。これらの問題地政学的な要素多分に含むため、イスラーム圏内外はもちろんイスラーム圏内部諸政府・民衆のレベルにおいてすら、そうした活動対す評価一様でない2010年4月誘拐され同年9月4日開放されジャーナリスト常岡浩介誘拐した「ヒズビ・イスラミ」に至っては、実は身代金目的誘拐であった上に、2004年発生したイラク日本人人質事件においては何故かシーア派衣装着たスンナ派聖職者交渉当たったなど、あまりに矛盾していた(後に女性NGO職員犯行グループ接点があった可能性があったことが中日新聞報道されている)ことからも解かるように、(特に貧困地域における)身代金目的誘拐ターリバーンなどのイスラム過激派組織名名乗ることがあるのも事実である。 同時多発テロに際しても、イスラーム社会宗教指導者たちの少なからぬ者は、「暴力イスラーム本質ではない」として直接的間接的にテロ批判したが、複数宗教指導者が、テロ実行犯たちをジハードによる「殉教者」として称えるファトワー発するなど、評価まちまちであったこのため、特に日本などにおいてはイスラム教=(ターリバーンアル=カイーダなど)過激派揃いと言ったイメージがあるが、先述通り地政学的にも数多く解釈がある中で、これらの問題純粋に宗教的な問題として一括りにすべきではないことに注意すべきである

※この「「ジハード」概念の問題」の解説は、「イスラム教」の解説の一部です。
「「ジハード」概念の問題」を含む「イスラム教」の記事については、「イスラム教」の概要を参照ください。

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