糸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 16:42 UTC 版)
糸の太さ
糸や繊維の断面は一般には完全な円形ではない上、糸は一般には柔らかく、かかる力や撚りの状態などによっても物理的な「太さ」は変わってくるため、釣り用のモノフィラメント糸や金属繊維等(これらは糸自体も硬くてつぶれず、断面も円形に近くある程度の太さもある)の例外を除いて、直径(繊維径)や断面積で直接表すことは実質的に不可能である。そのため一般には糸の太さは長さと重量の関係から間接的な指標として表され、恒重式番手法と恒長式番手法がある[8]。
恒重式番手法
一定重量(標準重量)における糸の長さが単位の何倍になるかによって表現する方法[9]。単位には番手を用いる[8]。素材の種類により番手には、綿番手、毛番手、麻番手などがあり、数字が大きいほど糸の太さは細くなる[10][11]。
種類 | 別名 | 省略記号 | 原料の種類 | 単位(1番手) |
---|---|---|---|---|
綿番手 | 英式番手 (英国式) |
EC、Ne、NeC | 綿 ポリエステル |
標準重量1ポンド(453.6g)あたりの単位長840ヤード(768.1m)のときの太さ |
毛番手 | 仏式番手 メートル番手 共通式番手 |
MC、NM、Nm | 絹 アクリル |
標準重量1キログラムあたりの単位長1キロメートルのときの太さ |
麻番手 | (英国式) | NeL | 麻 | 標準重量1ポンド(453.6g)あたり単位長300ヤード(274.3m)のときの太さ |
岩崎芳枝、中橋美智子、鳴海多恵子、生野晴美『消費者のための被服材料』(実教出版、1988年)では、綿番手(英式番手)、毛番手(仏式番手)、麻番手という表現を用いず、1.英国式(綿糸・絹紡糸・化繊紡績糸)、2.英国式(麻糸)、3.共通式(梳毛糸・紡毛糸・その他雑毛糸)としている[8]。なお、原料ごとに区別されていたが毛番手に統一される傾向にある[12]。
また、用途による番手にミシン糸に用いる綿縫い糸(カタン糸)に使用されるカタン番手があり、原糸の綿番手を3倍して撚り合わせた原糸の本数で割った値となる[11]。
恒長式番手法
一定長さ(標準長)における糸の重量が単位の何倍になるかによって表現する方法[8]。単位にはデニール(denier)を用いる[8]。
以上のように糸や繊維の種類で単位が異なるのは不便であるため、国際標準化機構(ISO)ではテックス番手法の使用を提唱している[13]。
- テックス(tex)
- ^ 被服材料 1988, p. 9.
- ^ “撚糸とは”. 日本撚糸工業組合連合会. 2013年12月28日閲覧。
- ^ a b 消費者のための被服材料 1988, p. 9.
- ^ a b c d e f g h i 松本 陽一「絹紡績糸の複合化に関する研究」(名古屋工業大学)
- ^ a b c d e f g h i j k l m 消費者のための被服材料 1988, p. 10.
- ^ a b “「モノづくり」と「研究と創造」”. 産業技術記念館. 2023年3月10日閲覧。
- ^ 消費者のための被服材料 1988, p. 10-11.
- ^ a b c d e f g h i j 消費者のための被服材料 1988, p. 11.
- ^ 被服材料 1988, p. 11.
- ^ “糸の太さを表す単位”. 日本化学繊維協会. 2023年3月10日閲覧。
- ^ a b “素材で異なる「番手」の話 糸の太さの目安を考える 「切」や「掛」についても解説”. 両毛繊維技術研究会. 2023年3月10日閲覧。
- ^ a b “英式番手と仏式番手”. 両毛繊維技術研究会. 2023年3月10日閲覧。
- ^ 消費者のための服材料 1988, p. 11.
- ^ JIS L 0101(日本産業標準調査会、経済産業省)
- ^ JIS L 0104(日本産業標準調査会、経済産業省)
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