沢木耕太郎とは? わかりやすく解説

さわき‐こうたろう〔さはきカウタラウ〕【沢木耕太郎】


沢木耕太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/14 09:36 UTC 版)

沢木 耕太郎
(さわき こうたろう)
誕生 (1947-11-29) 1947年11月29日(77歳)
東京都大田区
職業 作家
言語 日本語
国籍 日本
最終学歴 横浜国立大学経済学部
ジャンル ノンフィクション
小説
代表作 深夜特急』(1986年 - 1992年)
主な受賞歴 大宅壮一ノンフィクション賞(1979年)
新田次郎文学賞(1982年)
講談社エッセイ賞(1985年)
日本冒険小説協会大賞(1987年)
菊池寛賞(2003年)
講談社ノンフィクション賞(2006年)
司馬遼太郎賞(2013年)
子供 田澤利依子
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沢木 耕太郎(さわき こうたろう、1947年11月29日 - )は、日本ノンフィクション作家エッセイスト小説家写真家

人物

東京都大田区生まれ。東京都立南高等学校(当時)を経て、横浜国立大学経済学部卒業。大学時代のゼミの指導教官は、後に神奈川県知事となる長洲一二だった[1]

大学卒業後は富士銀行(当時)に入行するも、初出社の日に退社した。出社途中に信号待ちをしているときに退社を決めたという[2]。その後、ゼミの指導教官だった長洲から「何か書いてみないか」と誘われたのをきっかけに文筆活動を始める[1]

ルポライターとして1970年昭和45年)、『防人のブルース』[3]でデビューし、1979年(昭和54年)には演説中に刺殺された日本社会党委員長の浅沼稲次郎と、その犯人である少年の交錯を描いた『テロルの決算』で第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。以後、スポーツや旅などを題材にした多数のノンフィクション作品、小説、エッセーなどを発表している。

名前

「沢木耕太郎」はペンネームである[4]。雑誌の取材を受け、「あなたの本名はあらゆる文献を見てもどこにも掲載されていない。なぜなのか」と問われた沢木は、「ペンネームを使う以上、わざわざ本名を名乗るのなら使う必要がない」と答えている[4]。実父の没後にその句集を出版した際にも、苗字をつけず「二郎」とファーストネームだけの名義を用いた。

エピソード

受賞歴

作品

  • 『若き実力者たち 現代を疾走する12人』(文藝春秋) 1973年、のち文庫・改版
  • 『敗れざる者たち』(文藝春秋) 1976年、のち文庫・改版
  • 人の砂漠』(新潮社) 1977年、のち文庫 - テレビドラマ化・映画化作品
  • 『テロルの決算』(文藝春秋) 1978年、のち文庫・改版
  • 『地の漂流者たち』(文春文庫) 1979年
  • 一瞬の夏』(新潮社) 1981年、のち文庫
  • 『路上の視野』(文藝春秋) 1982年
    • のち3分冊で文庫化『紙のライオン』『ペーパーナイフ』『地図を燃やす』 1987年
  • 『バーボン・ストリート』(新潮社) 1984年、のち文庫
  • 深夜特急 第一便 黄金宮殿』(新潮社) 1986年、のち全6分冊で文庫化 - テレビドラマ化作品
    • 『深夜特急 第二便 ペルシャの風』(新潮社) 1986年、のち文庫
    • 『深夜特急 第三便 飛光よ、飛光よ』(新潮社) 1992年、のち文庫、各・改版2020年
  • 『馬車は走る』(文藝春秋) 1986年、のち文庫
  • 『王の闇』(文藝春秋) 1989年、のち文庫
  • 『チェーン・スモーキング』(新潮社) 1990年、のち文庫
  • 『彼らの流儀』(朝日新聞社) 1991年、のち新潮文庫
  • 『象が空を 1982 - 1992』(文藝春秋) 1993年
    • のち3分冊で文庫化『夕陽が眼にしみる』『不思議の果実』『勉強はそれからだ』 2000年
  • 』(新潮社) 1995年、のち文庫
  • オリンピア~ナチスの森で』(集英社) 1998年、のち文庫、新潮文庫
  • 『血の味』(新潮社) 2000年、のち文庫 - 純文学書き下ろし特別作品、初の長編小説
  • 『世界は「使われなかった人生」であふれてる』(暮しの手帖社) 2001年、のち幻冬舎文庫
  • 『イルカと墜落』(文藝春秋) 2002年、のち文庫
  • 『シネマと書店とスタジアム』(新潮社) 2002年、のち文庫
  • 「沢木耕太郎ノンフィクション」全9巻(文藝春秋) 2002年 - 2004年
  1. 『激しく倒れよ』
  2. 『有名であれ無名であれ』
  3. 『時の廃墟』
  4. 『オン・ザ・ボーダー』
  5. 『かつて白い海で戦った』
  6. 『男と女』
  7. 『1960』
  8. 『ミッドナイト・エクスプレス』
  9. 『酒杯を乾して』
  • 一号線を北上せよ』(講談社) 2003年、のち文庫
  • 『無名』(幻冬舎) 2003年、のち文庫
  • 杯 WORLD CUP』(朝日新聞社) 2004年、のち新潮文庫
  • 冠 OLYMPIC GAMES』(朝日新聞社) 2004年、のち文庫
    • 『冠(コロナ)〈廃墟の光〉 オリンピア1996』(新潮文庫) 2021年
  • 』(新潮社) 2005年、のち文庫
  • 危機の宰相』(魁星出版) 2006年、のち文春文庫
  • 『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』(幻冬舎) 2007年、のち文庫
  • 246』(スイッチ・パブリッシング) 2007年、のち新潮文庫 
  • 『旅する力 - 深夜特急ノート』(新潮社) 2008年、のち文庫 
  • 『あなたがいる場所』(新潮社) 2011年、のち文庫
  • 『ポーカー・フェース』(新潮社) 2011年、のち文庫 
  • 『キャパの十字架』(文藝春秋) 2013年、のち文庫 
  • 流星ひとつ』(新潮社) 2013年、のち文庫 - 女優藤圭子を描く
  • 『旅の窓』(幻冬舎) 2013年、のち文庫
  • 『波の音が消えるまで』上・下(新潮社) 2014年、のち三分冊で文庫化 - 小説
  • 『キャパへの追走』(文藝春秋) 2015年、のち文庫
  • 『銀の街から』(朝日新聞出版) 2015年、のち文庫
  • 『銀の森へ』(朝日新聞出版) 2015年、のち文庫
  • 春に散る』上・下(朝日新聞出版) 2017年、のち文庫 - 小説、映画化作品
  • 『銀河を渡る 全エッセイ』(新潮社) 2018年
    • のち2分冊で文庫化『キャラヴァンは進む』『いのちの記憶』 2025年
  • 『作家との遭遇 全作家論』(新潮社) 2018年、のち文庫 - 19名の作家論
  • 『旅のつばくろ』(新潮社) 2020年 - 国内旅エッセイ、JR東日本の車内誌「トランヴェール」に連載
  • 『飛び立つ季節 - 旅のつばくろ』(新潮社) 2022年 - 『旅のつばくろ』の続編
  • 『天路の旅人』(新潮社) 2022年 - 西川一三の評伝
  • 『夢ノ町本通り』(新潮社) 2023年
  • 『暦のしずく』(朝日新聞出版) 2025年 - 時代小説

編集・共著

  • 『目撃者 - 近藤紘一全軌跡 1971~1981』(文藝春秋) 1981年、のち文庫 1991年
  • 『右か、左か 心に残る物語 - 日本文学秀作選』(文春文庫) 2010年
  • 山本周五郎名品館』全4巻(文春文庫) 2018年
  • 『貧乏だけど贅沢』(文藝春秋) 1999年、のち文庫 2012年 - 10名との対談集
  • 『月の少年』(浅野隆広絵、講談社) 2012年
  • 『わるいことがしたい!』(ミスミヨシコ絵、講談社) 2012年
  • 『いろはいろいろ』(和田誠絵、講談社) 2013年
  • 『ホーキのララ』(貴納大輔絵、講談社) 2013年、各・児童出版
  • 『沢木耕太郎 セッションズ』全4巻(岩波書店) 2020年

翻訳

  • 『キャパ その青春』(リチャード・ウィーラン、文藝春秋) 1988年
  • 『キャパ その死』(リチャード・ウィーラン、文藝春秋) 1988年
    • 『キャパ その青春』、『キャパ その戦い』、『キャパ その死』(文春文庫) 2004年
  • ロバート・キャパ写真集 フォトグラフス』(訳・解説、文藝春秋) 1988年
  • 『カラ 孤独なハヤブサの物語』(J・F・ガーゾーン、新潮社) 1995年、のち文庫
  • 『殺人者たちの午後』(トニー・パーカー、飛鳥新社) 2009年

写真集

  • 『天涯』全3巻(スイッチパブリッシング) 1997年 - 2003年、のち全6冊で集英社文庫 2006年
  • 『カシアス』(写真家内藤利朗との共著、スイッチ・パブリッシング) 2005年

放送メディアへの出演

テレビ番組

ラジオ番組

映画

  • 華 いのち 中川幸夫(2014年)- ドキュメンタリー映画

関連項目

脚注

  1. ^ a b 1999年6月27日付け日本経済新聞(文化欄)
  2. ^ 『路上の視野』所収のエッセイにこの記述がある
  3. ^ 『地の漂流者たち』所収
  4. ^ a b 「ノンフィクション作家の第一人者 沢木耕太郎の謎に満ちた"私生活"」『噂の眞相』 1996年3月号
  5. ^ この作品は、「クレイになれなかった男」(『敗れざる者たち』所収)の続編ともいえる
  6. ^ 詳細は『イルカと墜落』に収録
  7. ^ 2010年(平成22年)、東京藝術大学大学院の学生らによる
  8. ^ 共同通信 (2023年1月31日). “読売文学賞に佐藤亜紀さんら 山内ケンジさん、沢木耕太郎さん | 共同通信”. 共同通信. 2023年2月1日閲覧。
  9. ^ 『ゴロウ・デラックス』最終回、ゲストは沢木耕太郎 稲垣吾郎が“今伝えたいこと”を朗読”. Real Sound|リアルサウンド. 2019年7月30日閲覧。
  10. ^ a b 沢木耕太郎 『深夜特急 4 シルクロード』 新潮社文庫
  11. ^ 沢木耕太郎、『旅する力 深夜特急ノート』新潮社

外部リンク


沢木耕太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 01:00 UTC 版)

カシアス内藤」の記事における「沢木耕太郎」の解説

沢木耕太郎はカシアス内藤練習等の日常生活から実際試合まで行動を共にし、1976年に『クレイになれなかった男』(『敗れざる者たち』に収録)と 1981年に『一瞬の夏』を書き上げ発表した。 『クレイになれなかった男』では、恵まれた才能持ちながら、あと一歩の処でチャンス掴み切れなかった内藤を自らの姿と重ね合わせカシアス・クレイや『あしたのジョー』の主人公矢吹丈と対比させることで「燃え尽きたい」と願っても「燃え尽きることができない悲哀描いた続編とも言える一瞬の夏』では、復帰して再起を図る内藤の姿を克明に描いて各方面から絶賛され第一回新田次郎文学賞受賞した互いに二十代ころから親交があり、エディ・タウンゼントとも親しかった沢木は、エディ遺志継ぎたいと願う内藤ジム開設するにあたって、「大勢の人に広くカンパ募る」という、愛情持ちながらもさり気ない形のサポートをした。

※この「沢木耕太郎」の解説は、「カシアス内藤」の解説の一部です。
「沢木耕太郎」を含む「カシアス内藤」の記事については、「カシアス内藤」の概要を参照ください。

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