ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 00:38 UTC 版)
ゲーム内容
リメイク版については後述の他機種版の節を参照。
全5章のストーリー
シナリオは全5章のオムニバス形式で、各章はストーリーとしては独立しているが、ゲームは章番号どおりの順序で進行する。章ごとにプレイヤーが操作するキャラクターが変わり、全員レベル1からのスタートとなる。ゲームを最初から始める際にはプレイヤーの分身である主人公(勇者)の名前と性別を決定するが、勇者が登場するのは第五章で、第五章では第一章から第四章までの主役たちが、勇者とともに戦う仲間として登場する。第四章までの各章終了時のキャラクターのステータスやアイテムは第五章に継承されるが、所持金や一部の重要アイテムは第五章に継承されない[注 2]。章ごとに異なるフィールドBGMが用意されており、第五章で導かれし者たちが8人集結した後は、先頭に立つキャラクターによってフィールドBGMが変わり、そのキャラクターが登場した章と同じBGMになる[注 3]。また第四章の戦闘のみ他の章と異なり、章開始時直後のシーンで流れるジプシー音楽調のBGMが使用される[注 4]。
第一章ではプレイヤーキャラクターは1人、第二章からはメンバー3人でのパーティープレイとなるなど、本作からRPGを始めた人でも段階を踏んで馴染みやすい構成になっている。
第一章から第四章までは導かれし者たちが母国や隣国でのいくつかの事件を解決し広い世界へ旅立つまでの話であり、乗り物を手に入れることもできないため、行動範囲は一部の地域に限られる。第五章では徐々に世界全体を探索できるようになっていく。
これまでは『ドラゴンクエスト』『II』『III』と進むにつれマップ(フィールド・城・町・村・ダンジョンなど)が拡大されてきたが、本作では第一章から第四章まで登場したマップの約半分を、第五章でも使う方法が導入された。これによって同じマップに、異なる複数のシナリオの情報を組み込むことができ、この手法はその後のシリーズにおいても、時間軸や別世界などさまざまな要素を変えて使われ続けている。
移動画面
移動画面でのコマンドは、前作の6つに加えて、扉を開く「とびら」コマンドが再登場、後述のAI戦闘の作戦や隊列の変更などを行う「さくせん」コマンドが新登場し、計8つとなった。
- 「とびら」コマンドで扉を開くことができる。
- 本作からは鍵のかかっていない扉が登場した。鍵のかかっていない扉は、鍵を持っていなくても「とびら」コマンドで開くことができる。
- 鍵のかかっている扉は、パーティーメンバーの誰かがそれを開けることのできる鍵を持っていれば「とびら」コマンドで開くことができるようになり、II、IIIの「どうぐ」コマンドで鍵を使う方式より操作手順が簡略化された。なお、II、IIIと同様に「どうぐ」コマンドで鍵を使うことによっても鍵を開くことができる。
- 第四章では、あるキャラクターがパーティーに加わっていると、「とびら」コマンドを使うことでその者がカギのかかっている扉をこじ開ける。
- 宝箱や地面のほか、民家などにあるタンスの引き出しや壷を調べるとアイテムが手に入ることがある。このシステムは後のシリーズ作品にも受け継がれた。
- セーブ(または復活の呪文の記録)および次のレベルまで必要な経験値の情報の取得は、前作までは王様や老人などに会うことによって行っていたが、本作からは教会でそれらを行うシステムとなった(「おいのりをする」でセーブ、「おつげをきく」で次レベルまでの経験値の表示)。開発当初は前作までと同様、王様に会うことでセーブが行われるシステムであったが、王様は城の奥にいるため町や城の入口から遠く離れており会うための移動が面倒であることや、王様本来の台詞が書けないといった理由により、教会でセーブするシステムに改められたという[4]。
- フィールドの世界地図を見ることができるシステムが初めて登場した。本作ではたからのちずというアイテムを使用することによって地図を閲覧する。これは本来はあるアイテムの所在地を示すためのものだが、現在パーティーが世界のどこにいるかを示す機能を兼ね備えている。ただし一部地図に表記されていないエリアもある。
- 前作と同様、フィールドマップを歩き続けることにより、昼と夜が切り替わるシステムが採用されている。乗り物での移動中でも同様。
乗り物
- 船は乗り込むことによって水上を移動する。本作以降では、船に乗ったまま出入りする町や洞窟などが登場する。本作では船を入手して初めて船出する前に船内を移動できるイベントがある。このときに船内で入手できるアイテムもあるが、それらは船出してしまうと二度と手に入れることができない。
- 気球は乗り込むことによって世界上空を飛行する。前作の不死鳥ラーミアと同性能で、どのような地形でも上空を飛び越えることができる。歩ける地形であれば岩山や水面以外なら離着陸が可能。ただしゴットサイドの島のマップは離着陸地点が定められている。
上記の乗り物は2つともルーラの呪文やキメラの翼で主人公たちと一緒に移動させることができ、また馬車(後述)ごと乗り込むことができる。
馬車
ある場所で入手し、入手すると5人以上のパーティーとともに移動することができる。パーティーのうち1人から4人までを車外に出すことができ、残りのメンバーは車中で待機する。戦闘は車外にいるメンバーのみが関わり、車中にいるキャラクターは戦闘に加わることができない反面、敵からのダメージや悪影響を受けることがない。戦闘終了後に与えられる経験値は車中のメンバーにも与えられる。戦闘により車外のメンバーが全滅した場合、自動的に中のメンバーと入れ替わる。
本作ではこの馬車システムの導入により、最大10人のパーティーが可能となる[注 5]。
馬車があるときは、移動中・戦闘中に関わらずメンバーの入れ替えができる。フィールド上や入口の広い洞窟の中では自由に入れ替えが可能であるが、それ以外のダンジョンや町・城・ほこらは馬車が入れず入口で待機することになるため、入れ替えできない。ただし町・城・ほこらや一部ダンジョンでは馬車が入口で待機している場合でも馬車の中にいるメンバーのアイテムや呪文を使うことは可能である。
馬車が入口で待機した状態で施設内の旅の扉を使用したり、ダンジョン奥の別の出口から出たりした場合、馬車はそのままパーティと切り離されることになり、入れ替えも馬車の中のメンバーのアイテム・呪文を使うこともできなくなる。この場合は、ルーラやキメラの翼で移動するか、または終盤で入手できるアイテムを使うことで馬車を呼び寄せることができる。
戦闘
シリーズ初のゲームプログラムに搭載されたAIにコマンド入力をさせて戦闘するキャラクターが登場する。ただし、第一章から第四章までは、一部のサブキャラクター(後述)のコマンド入力にのみAIが使用されており、従来どおり手動でのコマンド入力でキャラクターの行動を指示するマニュアル戦闘である。第五章では、この特徴を全面に押し出したAI戦闘(後述)が採用された。
また第五章では、戦闘中にも馬車の中のメンバーとの入れ替えを行うことができるが、本作ではコマンド入力後、ターンの途中で実際の入れ替えが行われ、また1ターンに1人しか入れ替えられない。
合体スライムやメラゴーストなどの一部のモンスターに限ってアニメーションで動きを見せるようになり、またモシャスの呪文で味方パーティーのキャラクターの能力をコピーするモンスターが登場するなど、敵の行動のバリエーションも増加した。前作までと同様、戦闘中に呪文を使うと画面が点滅するが、メラ系は赤色、ヒャド系は青色、ギラ・イオ系は黄色、ザキ系は紫色、メガンテは黄緑色に点滅するようになった。戦闘中に同等の効果を持つ武器を使用しても同様の色に点滅する。銀のタロットだけはミネアが使った場合に限り様々な色に変化する。それ以外は前作と同様白色に点滅する。
AI戦闘
主人公を除く味方キャラクターたちは、指定された作戦に従い、AIによって自動的にコマンドを入力する。作戦は移動中・戦闘中問わず、さくせんコマンドによって変更できる。主人公は従来どおり手動によるコマンド入力で、ターンの最初にまず全体のコマンド(たたかう・さくせん・いれかえ・にげる)が表示され、全体コマンドの入力後に主人公のコマンド(こうげき・じゅもん・どうぐ・ぼうぎょ)を指示するシステムとなった。用意されている作戦は以下の6種である。このシステムが始まるのは第五章からなので、第一章から第四章まではマニュアル戦闘になる。
- みんながんばれ
- その状況に応じて攻撃・補助・回復のバランスの取れた平均的な戦闘をする。
- ガンガンいこうぜ
- 残りMPを気にせず、各自の持てる最大威力の攻撃手段で総攻撃をかける。敵へのダメージは大きいがMPが消耗しやすいほか、回復を後回しにしすぎて間に合わなくなることがある。
- いのち(を)だいじに
- 仲間が倒れないことを最優先として、HPの回復を徹底して行う。最上級の攻撃呪文を連発し、被害が大きくならないよう手早く戦闘を終える手段をとることもある。
- じゅもん(を)せつやく
- 呪文の使用を控えめにする。必要最小限の呪文しか使わず、回復呪文より回復アイテムを先に使うこともある。最終的にMPの消費が少なくなると判断した場合は、強力な攻撃呪文を使うこともある。
- じゅもん(を)つかうな
- 呪文を一切使わずに戦う。
- いろいろやろうぜ
- 行動が戦況に関わらずランダムで選択される。結果として、普段使わないアイテムを使ったり、無意味な呪文を唱えたりもする。
AIには、戦闘経験を積んでいくごとにモンスターの弱点や特性を記憶していく学習機能が搭載された。この機能は戦闘に参加せず馬車で待機しているキャラクターにも適用される。役に立つキャラクターの使用が固定化して、役に立たないと思って使わなくなるキャラクターが成長せず役に立たないままという悪循環を防ぐための配慮である[5]。
サブキャラクター
本作では「導かれし者」と呼ばれるメインキャラクター以外に、作戦に関係なく自分の判断で動くサブキャラクター[注 6](NPC:ノンプレイヤーキャラクター)が戦闘に参加することがある。
サブキャラクターはシナリオを進めて所定のイベントをこなしていくと自動的にパーティーに加入・離脱する。仲間にしなくてもシナリオ進行に支障のないものもいる。
導かれし者と同様にHP・MPを持ち、戦闘に参加するが、戦闘中に指示を与えることはできず、作戦にも従わない。独自の判断で自動的に行動する。ステータスは固定値となっており成長はせず(レベル・経験値は「?」と表示される)、装備も固定されており、アイテムを持たせたり、装備を変更することはできない。また、サブキャラクターだけが生き残っても、導かれし者たちが全員戦闘不能(死亡または麻痺)になると全滅扱いとなる。導かれし者たち全員を馬車に入れ、サブキャラクターだけを車外メンバーにすることもできない。
ミニゲーム
- カジノ
- 本作で初めて登場した。ゴールド(所持金)をカジノのみで使えるコインに換金し、ミニゲームに挑戦してコインを増やし、景品に交換するシステムである。獲得したコインはカジノを出た後も保存され、第二章・第三章で得たコインは後の章にそのまま継承されるが、コインを直接現金に戻すことはできない。本作ではスロットマシン、ポーカー、それに前作で登場した「モンスター格闘場」を加えた3つのゲームが登場する。コインの販売額は章によって異なる。
- 小さなメダル
- 世界の各所に小さなメダルというアイテムが隠されており、これらを集めてメダル王に一定の枚数のメダルを渡すと、それと引き換えに貴重なアイテムを入手することができる。メダルは宝箱に入っているもののほか、前述したように壷や引き出し、地面などに隠されているものが多い。
注釈
- ^ 現時点で唯一、北米において『Dragon Warrior』と『Dragon Quest』の両方のタイトルで発売された作品である。
- ^ 各章が終わったあとも各キャラクターは勇者に出会うまでそれぞれの旅を続けている。公式ガイドブック上の説明では、旅を続けるうちに残った所持金を使い果たしていることになっている(FC版公式ガイドブック上巻 p.53 より)。
- ^ 8人集結後、勇者を先頭にすると、第五章スタート時とは異なるフィールドBGMになるが、勇者1人だけを馬車の外に出すと、第五章スタート時と同じBGMになる。
- ^ 第五章でマーニャとミネアをパーティの先頭と2番目にしたときも同じ戦闘BGMが流れる。
- ^ 本作はルイーダの酒場などプレイヤーの判断でキャラクターをパーティーに加えたり外したりするシステムはなく、ゲームの進行状況によってのみメンバーが加入・離脱する。通常のプレイではパーティーは9人までにしかならず、実際に10人にするには通常とは異なる特殊な手順を踏まなければならない。
- ^ a b ここではPS版『ドラゴンクエストIVのあるきかた』での表記に従った。FC版の取扱説明書では「NPC」、FC版公式ガイドブックでは「お助けキャラ」、PS版公式ガイドブックでは「協力者」と表記される。
- ^ 『スーパーファミコン奥義大全書 ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(集英社1992)にて、「ドラゴンクエストIVから数百年後」と明言されている。また、『週刊少年ジャンプ』連載「ファミコン怪盗芸魔団」でも堀井雄二が同様に述べている。さらにそれら予備知識がなくとも、内部構造や名前、住人が本作と同じである「天空城」が存在するほか、天空の武具が共通して登場する、『IV』の時代の伝説が残っているなど、ゲーム中からも読み取れる。さらにPS版『V』では500年という具体的数字のある台詞が追加された。
- ^ 「ゼニスの城」の構造が本作の「天空城」と似ていることなど。
- ^ 城とは離れていて、行き来するには一度フィールドに出る必要がある。
- ^ 第三章のみ25000ゴールドで引き取ってもらえる。第五章では引き取ってもらえない。
- ^ 男勇者は小説版では「ユーリル」、CDシアター版では「レイ」、ゲームブックでは「ユウ」、公式ガイドブックおよび『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』では「ソロ」となっている。女勇者は公式ガイドブックでは「ソフィア」となっている。
- ^ デスピサロとの同一性を疑われていたが、『モンスターズ3』にて本人であることが判明している。
- ^ 『モンスターズ3』にてピサロの兄である暴将ディオロスが彼の名を騙っての襲撃であることが判明。
- ^ スマートフォン版では、アイテムコードで入手できるフラワーパラソルが装備可能。
- ^ ミントスの宿屋で話すと仲間になるが、話して仲間に加えなくてもパデキアの根っこを入手することは可能。仲間に加えずにパデキアの根っこを持ち帰った場合はアリーナ・クリフトと同時に仲間になる。
- ^ FC版では息子に名前が設定されていないが、のちにトルネコを主人公にした作品『トルネコの大冒険』シリーズで「ポポロ」という名前が与えられリメイク版でも踏襲されている。
- ^ ミネアは「稼いだお金はその日の飲み食いで消え、ちっとも貯まらなかった」と語っている。
- ^ 一度キングレオ城を脱出したあと再び戻ると城の前で倒れており、話しかけると力尽き死亡する描写がある。
- ^ 作中でロザリーヒルに住む子供のホビットが発言している。
- ^ キングレオ城の北の島嶼部にあるほこらの住人から、かつてこの場所に地獄の帝王の城が存在したことを聞ける。
- ^ 腹部に巨大な顔があるなどデスピサロ最終形態と複合したデザイン。
- ^ 入手には『ふくびき所スペシャル 〜ドラゴンクエストXと おおいなる冒険の軌跡 編〜』の景品であるモンスターフィギュア「エスターク ブルーバージョン」に付属のアイテムコードが必要。
- ^ RPGではMSX・MSX2版『ハイドライド3』で本作の2年以上前に同じROM容量を採用している。
- ^ FC版『ドラゴンクエスト』(1986年)は512キロビット、『ドラゴンクエストII』(1987年)は1メガビット、『ドラゴンクエストIII』(1988年)は2メガビットだった
- ^ 従って、スプライトの横方向に対する表示制限を解除してしまったエミュレーションではこのシーンで帆桁の上を桟橋が通るという表示になる。
- ^ 8x16ドットで表示されるスプライトを横一直線に最大8つしか並べられず、それ以上増やす場合はスプライトを時分割で交互に表示させる必要がある(いわゆるチラツキが発生する)。
- ^ これらバグについて『ファミリーコンピュータMagazine 1989年4月7日号』(徳間書店)をはじめとした攻略雑誌や攻略本では「初期ロットのみの現象であり、後期出荷物では修正されている」などと書かれている。しかし、パッケージやマニュアル等のこまかい修正をした、いわゆるロット違いは存在するものの、プログラムまで修正されたものの存在までは現在も確認されていない
- ^ 通常の戦闘では4回目の「にげる」で必ず逃げることができるため発生することはないが、ボス戦では逃げることができないため、回数カウンターがオーバーフローしてしまう。
- ^ ローマ字表記で本作のエンディングクレジットに表示されており、当時リバーヒルソフトのゲームシナリオライターであった鈴木理香と同じ発音だが鈴木のプロフィールとしてドラゴンクエストに関する情報源は明らかでなく、別人の可能性がある
- ^ 地形の多くは本作の既存のダンジョンおよび『ドラゴンクエストVII』からの流用。
- ^ 『ファミコン通信』1990年12月21日号の対談にて、堀井本人が「ピ○ロは途中で仲間になる予定だったんだよ。でも容量の関係でどんどん削られてしまって」と話している。
- ^ ただし呪いの装備の中でも全防具中最高の守備力を誇る「邪神の面」は装備することができない
- ^ 第四章に出ていたキャラクターの分は、ミネアが仲間になった時点ではなく、そのあとマーニャも仲間になった時、第二章に出ていたキャラクターの分は、ブライが仲間になった時点ではなく、そのあとアリーナとクリフトが仲間になった時となる。
- ^ メインキャラクターはPS版開発時の鳥山によるイラストが、サブキャラクターに関してはPS版公式ガイドブックに掲載されている村上ゆみ子のイラストが使用されている。
出典
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