キツネ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 11:46 UTC 版)
人間との関係
狐は、小型の家畜、ペット、また家に侵入し子供を襲うため、害獣とされた。どのような環境にも適応するので、様々な場所に住む固有種に影響を与える。都市部でもゴミを漁って生活できるため、そういった狐は resident urban carnivores(都市居住型肉食動物) に分類される[14]。また、そういった狐は、猫などの小動物を捕食したりし、ごみなどを散らかすため駆除対象となる[15]。
一部の国では、キツネはウサギと鶏の主要な捕食者であり、それら2つの種の個体群振動を研究した最初の非線形振動は、生物の捕食-被食関係による個体数の変動を表現する数理モデルであるロトカ・ヴォルテラの方程式として導かれた[16][17]。
キツネ狩り
16世紀にイギリスでキツネ狩りが始まり、イギリスの文化となった。しかし、20世紀以降は、世界的な動物愛護の影響により、イギリスでは犬を使った狩猟が禁止されている[18][19][20][21]。
家畜化の可能性
青銅器時代のイベリア半島では犬や牛と同様に餌を与えられ埋葬されていたことから、少なくともこの時代のこの地域では狐を家畜化していた可能性がある[22]。
ロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットは、ロシア科学アカデミーの遺伝学者ドミトリ・ベリャーエフと共に、キツネの人為選択による馴致化実験を行った[23][24]。100頭あまりのキツネを掛け合わせ、もっとも人間になつく個体を選択して配合を繰り返すことで、わずか40世代でイヌのようにしっぽを振り、人間になつく個体を生み出すことに成功した。同時に、耳が丸くなるなど飼い犬のような形質を発現することも観察された[25][26]。これはなつきやすさという性質が、(自然、あるいは人為的に)選択されうることを示している。
以下のような、規模の大きい観光用の放し飼い施設がある。
- 北きつね牧場(北海道北見市)
- キタキツネ 約100頭規模、『北の国から』スペシャルエディションのロケ地
- 宮城蔵王キツネ村(宮城県白石市)
- キタキツネ・銀ギツネ・十字ギツネ・ホッキョクギツネ・ブルーフォックス混合 約100頭規模、映画『子ぎつねヘレン』役のキツネの里
鳴き声の聞きなし
日本における鳴き声の聞きなしについては、古来は「キツ」「ケツ」と表現されており、岩手県遠野市付近の口承文芸を採集した佐々木喜善が編集した説話集『聴耳草紙』『老媼夜譚』、あるいは佐々木の語りをまとめた柳田国男の『遠野物語』においては、キツネの鳴き声は「グェン」「ジャグェン」と表現されている。現在では専ら「コン」が用いられているが、テレビ番組『シルシルミシルさんデー』によるとこれは親が子を呼ぶ時の鳴き声に由来しているらしい[27]。なお、アイヌ語での聞きなしは「パウ」である[28]。
2013年にはノルウェーのコメディアン兄弟・Ylvisが“キツネは何て鳴くのか?”をテーマにした楽曲『The Fox』を発表した。
大衆文化の中での狐
狐は広い範囲に適応して住み着くことから、多くの地域の民族伝承に登場する。西洋では、ハンターを回避する狡猾な動物であることから、トリックスターの役割として登場する。アジア圏では、使い魔としての役割や西洋のように悪戯好きで人を騙す性格を有し、女性に化けるなどの能力を持つ。特に、日本(大和民族)においては文化・信仰と言えるほどキツネに対して親密であるほか、人を化かすいたずら好きの動物と考えられたり、それとは逆に宇迦之御魂神の神使として信仰されたりしている。
- ^ 三省堂編修所, ed. (2012), “キツネ”, 三省堂 生物小事典, 三省堂, ISBN 978-4-385-24006-0
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- ^ 青銅器時代、キツネは家畜化されていた(スペイン)紀元前3千年から2千年
- ^ 動物好きな研究者の夢 -- 40年の研究からペットギツネが誕生
- ^ “実験飼育場で遊ぶキツネ”. ロシアNOW. 2015年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月21日閲覧。
- ^ 特集:野生動物 ペットへの道
- ^ ロシア科学アカデミーシベリア支部 細胞学・遺伝学研究所の「キツネの家畜化研究」
- ^ 2010年8月29日放送シルシルミシルさんデー『キツネは本当に「コンコン」鳴くの?』
- ^ 中川裕「語り合うことばの力~カムイたちと生きる世界」
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