波動説とは? わかりやすく解説

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はどう‐せつ【波動説】

読み方:はどうせつ

光は波動であるという説。17世紀ホイヘンス提起しマクスウェル電磁波説に道を開いた

粒子の運動波動であるという説。1924年ド=ブロイ提唱しシュレーディンガー波動力学発展


光の波動説

(波動説 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 04:08 UTC 版)

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光の波動説(ひかりのはどうせつ、: wave theory of light)とは、「の本質は、何らかの媒質内を伝播する波動である」という仮説である。

概要

ホイヘンスの提唱による。1690年に刊行した自身の著書『光についての論考』内で、回折など光に関する波動としての性質を論じ、それらの性質をホイヘンスの原理と呼ばれる1つの原理に纏め上げた。ホイヘンスは同書内において、光が波であるならば、それを伝播する何らかの媒質があって然るべきと考え、その媒質としてエーテルと言う物質を提案した。すぐ後に、ニュートンによる光の粒子説が提唱され、それぞれの説は対立するようになった。

1723年に、波動説によらなければ説明できない現象がジャコーモ・フィリッポ・マラルディによって発見されている。この現象は19世紀初頭の1811年頃から1816年にかけてフランソワ・アラゴによって追試が行なわれた事からアラゴスポットと呼ばれる様になり、波動説を補強する一因となった[1]

その後、1805年頃に光の干渉に関するヤングの実験ヤングによって行なわれ、1835年頃にはフレネルによってホイヘンスの原理が補完され、光は偏光している横波であるとの結論が得られた事に加え、1850年フーコーが、翌1851年フィゾーがそれぞれ独立に空気中での光速度が水中での光速度より大きいと言う事実を実験で確認した事により、波動説がほぼ確立された。さらに、1845年ファラデーが自身の実験によって発見したファラデー効果により[2][3]、光は電磁場の影響を受けることが判明し、1865年マクスウェルが発表した電磁気学に関する論文『電磁場の動力学的理論[4]内で纏められたマクスウェル方程式により、光が電磁波の一種である事が示唆された。1888年ヘルツが行なった実験によって電磁波も反射屈折及び干渉や偏光と言った光と同じ性質を持っていることが判明して、光は電磁波の一種らしいということで、光は波動だとする見方は強まった。

しかし、それら電磁波についての

  1. 波であるとするならば、その媒質は何であるのか
  2. マクスウェル方程式からはその速さは一定であるということになるが、互いに運動している観測者の間では相対的にどういうことになるのか

と言った疑問点については、後にアインシュタインが登場するまでは大きな謎として様々な説が議論された。

そういった謎の1つとして、いわゆる「エーテルの風」によって予想されるような現象を検討するマイケルソン・モーリーの実験1887年に行なわれた[5]。この実験で、エーテルの風を有意に示すような結果は得られなかった[注 1]1905年アインシュタインが発表した特殊相対性理論に関する論文『運動物体の電気力学について[6]に至り、光速はいかなる(相対)運動をしている観測者からも不変である、ということになり、「光速の基準となるエーテル」の存在は考える必要が無いものとなった[注 2]

一方で同じアインシュタインによる、「光量子仮説」は、光電効果においてそれまで不思議とされてきたいくつかの現象をうまく説明するものであり、波であるはずとする数多くの実験結果が重ねられてきた光について、粒子説の復活とも言えるような新たな展開をもたらすものであった。最終的に光子(光量子)、更には「量子」という名で呼ばれることになった多くの粒子波動は、粒子と波動の二重性を持つものである、と言う結論が量子力学によりもたらされた。また、媒体は「」というものとして、現代の物理学では扱われている。

脚注

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注釈

  1. ^ その後も、レーザーなど新しい光学技術や測定技術の発展があると、それを利用して、同じ原理により何らかの違いが現れないかと言う事について確認する計測は依然として行われている。
  2. ^ その一方で、媒体がいかなるものだと考えるべきか、という謎は残った。

出典

参考文献

原論文

書籍

洋書
和書

関連項目

外部リンク


波動説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:34 UTC 版)

コロナ」の記事における「波動説」の解説

波動説は、波動太陽内部から彩層コロナエネルギーを運ぶとする説で、1949年エヴリー・シャツマンによって提唱された。太陽通常のガスではなくプラズマでできているため、空気中の音波似たいくつかの種類の波を伝達する中でも最も重要な波は、磁気音波アルヴェーン波である。磁気音波磁場存在によって変化した音波であり、アルヴェーン波プラズマ中の物質との相互作用によって変化した超低周波電波似ている。どちらのタイプの波も、光球での粒状斑対流超粒状斑対流乱れによって打ち上げられ、熱としてエネルギー散逸させる衝撃波へと変わる前に太陽大気通ってある程度の距離までエネルギーを運ぶことができる。 波動説の問題点一つは、適切な所への熱の運搬である。磁気音波は、彩層圧力が低いこと、および光球反射して戻ってくる傾向があることから、十分なエネルギー彩層通ってコロナまで運ぶことができないアルヴェーン波十分なエネルギー運搬することができるが、コロナ入ってからはそのエネルギー急速に散逸させることができないプラズマ中の波動は、解析的理解し記述することが難しいことがよく知られている。しかし、2003年Thomas Bogdanらによって行われたコンピュータシミュレーションでは、アルヴェーン波コロナ底部他の波動に変化し光球から彩層遷移領域通って大量エネルギー運び最終的にコロナ入って熱として散逸する経路提供できることが示されているようである。 波動説のもう一つ問題は、1990年代後半まで、太陽コロナ伝搬する波の直接的な証拠全くなかったことである。太陽コロナ流れ込み伝搬する波が直接観測されたのは、1997年太陽極端紫外線長時間安定して測光観測できる初の宇宙機であるSOHOよるものであった。これは、周波数約1ミリヘルツ(mHz1000周期に相当)の磁気音波で、コロナ加熱必要なエネルギー10%程度しか運べないものだった太陽フレア放出されアルヴェーン波のような局地的な波動現象数多く観測されているが、これらは一過性のものであり、コロナ一様な熱を説明できるものではない。 コロナ加熱するためにどのくらいの波のエネルギー利用できるのかは、まだ正確にわかっていない。2004年発表されTRACEデータ用いた結果によると、太陽大気には100 mHz10周期)という高い周波数の波があるようである。また、SOHO搭載されたUVCS装置用いて太陽風の中のさまざまなイオン温度測定した結果人間可聴域にある200Hzという高い周波数の波があることを間接的に示す強い証拠得られた。これらの波は、通常の環境下では検出することが非常に困難だが、ウィリアムズ大学チームによって日食の間に収集された証拠は、1 - 10Hzの範囲そのような波が存在することを示唆している。 2009年ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー搭載されAIA (Atmospheric Imaging Assembly) による観測で、太陽下部大気のほか、静穏領域コロナホール活動領域でもアルヴェーン派による振動発見された。これらの振動は非常に大きなパワー持っており、以前に「ひので」で報告され彩層でのアルヴェーン波関連しているものと考えられている。 2008年には、NASA宇宙機WINDによる太陽風観測から、局所的なイオン加熱もたらすアルヴェーンサイクロトロン散逸理論支持する証拠示された。

※この「波動説」の解説は、「コロナ」の解説の一部です。
「波動説」を含む「コロナ」の記事については、「コロナ」の概要を参照ください。

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