はどう‐せつ【波動説】
光の波動説
波動説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:34 UTC 版)
波動説は、波動が太陽内部から彩層やコロナへエネルギーを運ぶとする説で、1949年にエヴリー・シャツマンによって提唱された。太陽は通常のガスではなくプラズマでできているため、空気中の音波に似たいくつかの種類の波を伝達する。中でも最も重要な波は、磁気音波とアルヴェーン波である。磁気音波は磁場の存在によって変化した音波であり、アルヴェーン波はプラズマ中の物質との相互作用によって変化した超低周波電波に似ている。どちらのタイプの波も、光球での粒状斑対流や超粒状斑対流の乱れによって打ち上げられ、熱としてエネルギーを散逸させる衝撃波へと変わる前に太陽大気を通ってある程度の距離までエネルギーを運ぶことができる。 波動説の問題点の一つは、適切な場所への熱の運搬である。磁気音波は、彩層の圧力が低いこと、および光球に反射して戻ってくる傾向があることから、十分なエネルギーを彩層を通ってコロナまで運ぶことができない。アルヴェーン波は十分なエネルギーを運搬することができるが、コロナに入ってからはそのエネルギーを急速に散逸させることができない。プラズマ中の波動は、解析的に理解し記述することが難しいことがよく知られている。しかし、2003年にThomas Bogdanらによって行われたコンピュータシミュレーションでは、アルヴェーン波がコロナの底部で他の波動に変化し、光球から彩層、遷移領域を通って大量のエネルギーを運び、最終的にコロナに入って熱として散逸する経路を提供できることが示されているようである。 波動説のもう一つの問題は、1990年代後半まで、太陽コロナを伝搬する波の直接的な証拠が全くなかったことである。太陽コロナに流れ込み伝搬する波が直接観測されたのは、1997年、太陽を極端紫外線で長時間安定して測光観測できる初の宇宙機であるSOHOによるものであった。これは、周波数約1ミリヘルツ(mHz、1000秒周期に相当)の磁気音波で、コロナの加熱に必要なエネルギーの10%程度しか運べないものだった。太陽フレアで放出されたアルヴェーン波のような局地的な波動現象は数多く観測されているが、これらは一過性のものであり、コロナの一様な熱を説明できるものではない。 コロナを加熱するためにどのくらいの波のエネルギーが利用できるのかは、まだ正確にはわかっていない。2004年に発表されたTRACEのデータを用いた結果によると、太陽大気には100 mHz(10秒周期)という高い周波数の波があるようである。また、SOHOに搭載されたUVCS装置を用いて太陽風の中のさまざまなイオンの温度を測定した結果、人間の可聴域にある200Hzという高い周波数の波があることを間接的に示す強い証拠が得られた。これらの波は、通常の環境下では検出することが非常に困難だが、ウィリアムズ大学のチームによって日食の間に収集された証拠は、1 - 10Hzの範囲でそのような波が存在することを示唆している。 2009年、ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーに搭載されたAIA (Atmospheric Imaging Assembly) による観測で、太陽下部大気のほか、静穏領域やコロナホール、活動領域でもアルヴェーン派による振動が発見された。これらの振動は非常に大きなパワーを持っており、以前に「ひので」で報告された彩層でのアルヴェーン波と関連しているものと考えられている。 2008年には、NASAの宇宙機WINDによる太陽風の観測から、局所的なイオン加熱をもたらすアルヴェーンサイクロトロン散逸の理論を支持する証拠が示された。
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波動説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 01:10 UTC 版)
「重力を説明する古典力学的理論」の記事における「波動説」の解説
1671年にロバート・フックは重力はすべての方向に向かって物体が引き起こすエーテルの波に起因すると推定した。他の物体はこの波の発生源の方向に動くと推測した。フックは波打つ水の表面に浮く小さな物体が波の発生源に集まる現象のアナロジーで重力を解釈しようとした。同様な理論は1859年から1876年の間にジェームズ・チャリスによっても研究された。チャリスは計算によって波の波長が物体間の距離に比べて大きい時に引力が働き、波長が短い時は斥力が働くことを示した。クーロン力や磁力についても同じ理論での説明をチャリスは試みた。 この理論を、マクスウェルは、物体は定常的に波を起こさなければならず、エネルギーの消費を伴うことを批判した。チャリスも明確な結果に達していないことを認めた。
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「波動説」の例文・使い方・用例・文例
- (光の)波動説.
- いくつかの特性は波動説、他のものは粒子論により最も良く説明されるという事実により特徴付けられる物質と電磁放射の特性
- 重ね合せの原則は、光の波動説の基礎である
- 英国の科学者で、弾性の法則を定式化し、光の波動説を提案し、惑星運動の理論を定式化し、重力の逆二乗の法則を提案し、コルクの細胞組織を発見し、『細胞』という用語を生物学に取り入れ、腕時計のひげぜんまいを発明した(1635年−1703年)
- オランダの物理学者で、光の波動説を最初に定式化した(1629年−1695年)
- 波動説という学説
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