CM/TVとは? わかりやすく解説

CM/TV

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 15:53 UTC 版)

『CM/TV』
坂本龍一コンピレーション・アルバム
リリース
ジャンル
時間
レーベル ワーナーミュージック・ジャパン / WEA Japan
プロデュース 坂本龍一
チャート最高順位
坂本龍一 アルバム 年表
コミカ
(2002年)
CM/TV
US
UF
(2002年)
ファム・ファタール
(2002年)
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CM/TV』(シーエム・ティーヴィー)は、日本作曲家である坂本龍一の1枚目のコンピレーション・アルバム

2002年10月23日ワーナーミュージック・ジャパンのWEA Japanレーベルからリリースされ、プロデューサーと選曲は坂本が担当した。

本作は、坂本が1977年から2002年までに制作したコマーシャルソングテレビ番組のテーマ曲が収録されている。

リリース

2002年10月23日ワーナーミュージック・ジャパンのWEA JapanレーベルからCDのみで、ベスト・アルバムUS[2]と『UF[3]の2作同時にリリースされた。

初回プレスでは、ジャケット表記が7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植があり[注釈 1]、それに伴った交換処置が行われた。

本作と『US』『UF』の裏に印字してある応募券を貼って応募すると、非売品CDである『GEM』が進呈された『A特典』と、2002年11月札幌をはじめ仙台東京名古屋大阪福岡沖縄の全7か所で行われた「坂本龍一 トーク・セッション」に参加できる応募はがきが同封された『B特典』が初回盤特典キャンペーンとして実施された。

批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典 評価
CDジャーナル 肯定的[4]

『CDジャーナル』は、総評として「えっ、この曲って……といった驚きも多い」としたうえで「これだけ曲数が多くてもメロディ・メイカーとしての特徴がはっきりと感じられるところはさすが」と肯定的な評価を下している[4]

収録曲

CD
全作曲: 坂本龍一
# タイトル 作詞 作曲・編曲 備考 時間
1. 丸井のメガネ(1977)   坂本龍一 坂本が初めて手掛けたコマーシャルソング
2. 日立CI『伝統美』(1978)   坂本龍一
3. キヤノンNP5500『キャリアガール』(1978)   坂本龍一 坂本は、CMとして成功しているか分からないとしたうえで「ピアノ小品として気に入っている作品」と自評している[6]
4. バルバローゼン『カプセル』(1978)   坂本龍一 坂本はこの作品に関して「覚えていない」と語っている[6]
5. PARCO-フェイ・ダナウェイ『アニマル』(1979)   坂本龍一
  • アートディレクターである石岡瑛子のディレクションによる『フェイ・ダナウェイ』シリーズの1作として発表された楽曲で、坂本はこの作品に関して「自由に制作することができ、結果的に自分でも気に入った楽曲で書けたのがうれしい」と語っている[6]
  • 後に「ゴリラがバナナをくれる日」というタイトルで、ライヴ・アルバム『メディア・バーン・ライブ』(1986年)でピアノソロ、セルフカバー・アルバム『1996』ではトリオ編成としてそれぞれ発表された。
6. PARCO-フェイ・ダナウェイ『卵』(1979)   坂本龍一
  • 前曲の『アニマル』同様、PARCOの『フェイ・ダナウェイ』シリーズの1作として発表された楽曲で、アントニオ・カルロス・ジョビンの影響が前面に出ている。坂本はこのアルバムを編纂した際「改めて聞くまで忘れていたんですが、非常にいい曲ですね」と語っている[6]
  • セルフカバー・アルバム『/04』(2004年)で「Tamago 2004」として発表した。
7. 西武スペシャル『ゴーマンミチコ』(1979)   坂本龍一
  • ドラムは坂本自身が演奏しており「下手だけど好き」と語っている[6][注釈 2]
  • イギリスミュージシャンであるロビン・スコット英語版と坂本によるコラボレーション・アルバム『アレンジメント』(1982年)に「THE ARRANGEMENT」として、ボーカルパート追加したうえでセルフカバーした。
8. トヨタCI『燃える大地』(1979)   坂本龍一 曲の途中でトロンボーンが重なって演奏されており、坂本は「きしむような不協和音が気持ちいい」と語っている[6]
9. EDWIN(1979)   坂本龍一 ジャズギタリストである渡辺香津美が主宰したバンドのKYLYN[注釈 3]が演奏している。スタジオ入りする前に飲んでしまった影響で、レコーディングを行った際、メンバーはほろ酔い状態だったという[6]
10. パイロット『ジャスタス』(1979)   坂本龍一
11. XEROX 3500 ベビーライオン Part3(1980)   坂本龍一 クラフトワーク調の楽曲となっている。
12. オリンパスOM-10『夏』(1980)   坂本龍一  
13. 西武スペシャル B-3(1981)   坂本龍一 プログレ調の楽曲だが、クライアントから「『和』を出したい」という注文でが挿入されている。坂本は「意味がないないなあ」と思いながら渋々入れたという[6][注釈 4]
14. 明星 中華三昧『黄金の都』(1981)   坂本龍一 この曲を気に入った高橋幸宏が坂本に頼み込み了解を取り、アルバム『WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!』(1982年)に「回想/FLASHBACK」として、ボーカルパート追加したうえでカバーした。
15. 新潮社 新潮文庫キャンペーン(1982)   坂本龍一 坂本にとって初のCM出演となった作品である[6]
16. FM東京 サウンドロゴ Type C(1982)   坂本龍一 坂本は、このサウンドロゴをリアルタイムで聞いた記憶がないという[6]
17. 日本生命CM『きみについて』(1983) 糸井重里 坂本龍一
  • 坂本が出演した日本生命「新・青春の保険『YOU』」のCMソングとして使用され、プロモーション用シングル「LIFE IN JAPAN」(1983年)に収録されている。
  • ベースは坂本が演奏している。
18. サントリーウィスキーオールド』「DEAR LIZ-Strings Version」(1983)   坂本龍一
  • CM映像からオーディオ・トラックを抜き出している。
  • ライヴ・アルバム『メディア・バーン・ライブ』(1986年)とセルフカバー・アルバム『/04』(2004年)ではピアノソロヴァージョンが収録されている。
19. 資生堂 エリクシール『Ms.ニッポン』(1983)   坂本龍一 バート・バカラックに影響されて制作した楽曲。
20. 資生堂 エリクシール'84(1984)   坂本龍一 ボーカルは歌手ポプラが担当している。坂本はこの楽曲に関して「すごく『ブロードウェイ』って感じがする」としたうえで「ぼくの中で一番『アメリカっぽい』かもしれない」と語っている[6]
21. NTT『ハウディ』(1984)   坂本龍一 坂本はこの楽曲に関して、2002年時点で「以外にいい」としたうえで「記憶と違っている。そういうのが多いね」と語っている[6]
22. サントリー SASUKE(1984)   坂本龍一 「XEROX 3500 ベビーライオン Part3」同様、クラフトワーク調の楽曲となっている[6]
23. 日立マクセル「SOFT MACHINE」(1984)   坂本龍一 坂本はこの楽曲を20年ぶりに聴いたとしたうえで「『けっこうおもしろいじゃん』と思った」と語っている[6]
24. 資生堂 リバイタル'85「リバイタル」(1984)   坂本龍一 坂本はこの楽曲を「いい曲じゃん!哀愁があるし」と称賛したうえで「新古典的な作風ですね。これはのばして一つの曲として聴きたい」と自評している[6]
25. 日産 セドリック『プール編』「Floating Along」(1988)   坂本龍一
26. 野村證券『Portfolio』(1988)   坂本龍一 レコーディングにアンクルンが使用されている。坂本は「証券会社のCMなのに、なぜこんなにアジアっぽいのかな」としたうえで「音的に割とインパクトがありますね」と自評している[6]
27. NEC C-LIFEフェア「Strong Relax」(1990)   坂本龍一
28. 鹿島建設株式会社・イメージソング「The Echoing Blue」(1990)   坂本龍一
  • ライナーノーツには、鹿島建設の社長に頼まれて制作したと記載されているが、坂本の記憶違いが原因なのか曲を間違えており、収録されている楽曲は、トキオ・クマガイの非売品CD『坂本龍一 for TOKIO KUMAGAI』(1989年)に収録されている楽曲である。
  • アルバム『エスペラント』(1985年)に収録されている「A Wongga Dance Song」や、クラフトワークのアルバム『人間解体』(1978年)に収録されている「The Robots」の効果音がサンプリングとして使用されている。
29. 武田薬品アリナミンA』「Nutrition」(1990)   坂本龍一 CMがおどろおどろしい画面だったため、坂本は「ちょっと『怖い』音を入れた」という[6]
30. VIVRE「Lost in a maze」(1992)   坂本龍一 アコーディオン主旋律を奏でているが、全体的にジャズ調の楽曲で、サウンド的にはアルバム『ハートビート』(1991年)に近い感じになっている[6]
31. Toshiba BS-ARENA「Ominous Adolescence」(1992)   坂本龍一 坂本は、商品のキャッチコピーである『昔のヴィデオがきれいに見えます』というフレーズが印象に残っているが、楽曲自体は印象にないと語っている[6]
32. キャセイパシフィック航空「The Heart of Asia(reprise)(1994)   坂本龍一 キャセイパシフィック航空の搭乗者に配布された、非売品CDの収録曲。
33. アウディ A6「Whispering Green」(1997)   坂本龍一 坂本は「D&Bが流行していた頃をしのばせます」としたうえで「アウディにしては、ちょっとオリエンタルすぎないかな〜、ってもう遅いか」と語っている[6]
34. マイクロソフト I.E. 4.0 Theme 1 (不採用作品)(1998)   坂本龍一 マイクロソフトウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したもので、当時社長だった古川享に依頼されて制作したものだが、結果的に不採用となった。坂本は「けっこういいと思う」と自評している[6]
35. マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 1-1 (不採用作品)(1998)   坂本龍一 マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
36. マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 1-2 (不採用作品)(1998)   坂本龍一 マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
37. マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 2 (不採用作品)(1998)   坂本龍一 マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
38. マイクロソフト I.E. 4.0 サウンドロゴ 3 (不採用作品)(1998)   坂本龍一 マイクロソフトのウェブブラウザである「Internet Explorer 4」のサウンドロゴとして制作したものだが、結果的に不採用となった[6]
39. SEGA ドリームキャスト サウンドロゴ(1998)   坂本龍一 セガの家庭用ゲーム機である『ドリームキャスト』を立ち上げた際に、テレビ画面にロゴと同時に流れる効果音
40. バドワイザー「Beyond」(1998)   坂本龍一 CMに坂本が出演している。
41. 三共リゲインEB錠』「energy flow」(1999)   坂本龍一
  • CMで実際に使われた音源で、シングル『ウラBTTB』(1999年)に収録されているヴァージョンよりも短くなっている。
  • 坂本は、ライナーノーツに「何と言っていいやら」とだけコメントしている[6]。後に「なんであんなにヒットしたのか自分でも分からない。特に良い曲だったわけじゃないですから。なんでなのか不思議でしょうがないんですけど、自分では分からない何かがあるんでしょうね」と語っている[7]
42. キヤノン e-Magic「Out of the Cradle」(2000)   坂本龍一 坂本がケニアに訪問した際、その場で録音したマサイ族の歌を使用している[6]
43. サントリー・ウィスキー『山崎』「YAMAZAKI 2002」(2002)   坂本龍一
  • 坂本は「『energy flow』がヒットしたのに、これがヒットしないのが分からない」と語っている[6]
  • セルフカバー・アルバム『/04』(2004年)でセルフカバーした。
44. ランコム(不明[注釈 5])   坂本龍一 フランスのテレビCMで使われた。
45. NHKNHKニュースワイド(1980)   坂本龍一
  • レコーディングはNHK509スタジオで行われた。
  • 坂本は、NHKニュースのテーマソングに起用されるにあたり「けっこう力を入れて作った」語っている[6]
46. NHK『NHK教育 YOU オープニング』(1982)   坂本龍一 ドラムは坂本が演奏している[6]
47. NHK『NHK教育 YOU エンディング』(1982)   坂本龍一  
48. 日本テレビNTT DATA スペシャル「海からの贈りもの」クジラ・ヒト・地球の未来』「WHALES」(1990)   坂本龍一 楽曲にクジラの鳴き声が使われている[6]
49. TBS筑紫哲也 NEWS23 オープニング』「put your hands up」(1997)   坂本龍一 シングル『ウラBTTB』(1999年)にピアノ・ヴァージョンが収録されている。
50. TBS『筑紫哲也 NEWS23 エンディング』「put your hands up」(1997)   坂本龍一  
合計時間:

リリース履歴

No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 備考
1 2002年10月23日 日本 ワーナーミュージック・ジャパン / WEA Japan CD WPC6-10244 ベスト・アルバムUS』と『UF』の2作同時リリース

脚注

注釈

  1. ^ 一部音楽サイトでは、誤植されたままの曲順で表記されている[4]
  2. ^ ライナーノーツでは7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植が発生しているため、13曲目の「西武スペシャル B-3」項に記載されている。
  3. ^ 渡辺香津美のアルバム『KYLYN』(1979年)のために結成されたバンド。
  4. ^ ライナーノーツでは7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」と13曲目の「西武スペシャル B-3」が逆転する誤植が発生しているため、7曲目の「西武スペシャル『ゴーマンミチコ』」項に記載されている。
  5. ^ 1993年から1994年の間に制作したとされているが、制作年次は不明。

出典

  1. ^ CM/TV | 坂本龍一”. ORICON STYLE. 株式会社oricon ME. 2025年1月13日閲覧。
  2. ^ 坂本龍一 / ソロ・ベスト「US」 [2CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  3. ^ 坂本龍一 / 映画音楽ベスト「UF」”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  4. ^ a b c 坂本龍一 / CM・TV音楽ベスト「CM / TV」”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年1月13日閲覧。
  5. ^ a b みんなCM音楽を歌っていた。立ち読み版第13回「デビュー前の起用」”. ほぼ日刊イトイ新聞. 株式会社ほぼ日 (2007年9月12日). 2025年1月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 2002年に発売されたコンピレーション・アルバム『CM/TV』のライナーノーツより。
  7. ^ a b みんなCM音楽を歌っていた。立ち読み版最終回「CM音楽の黄金期、80年代」”. ほぼ日刊イトイ新聞. 株式会社ほぼ日 (2007年9月13日). 2025年1月13日閲覧。

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