4代目 BL/BP系(2003年-2009年)
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「スバル・レガシィ」の記事における「4代目 BL/BP系(2003年-2009年)」の解説
開発責任者であるプロジェクトゼネラルマネージャーは清水一良。欧州市場への対応、衝突安全性能向上のため、ボディの全幅を先代より35mm増やしている。これにより3代目まで維持していた5ナンバーサイズボディは3ナンバーサイズとなった。このサイズ拡幅ととも3代目に比し質感を増した内外装のデザイン、ATの5速化等によって、プレミアム性をより一層高めたモデルへとした。 このモデルより生産が日本とアメリカの2か国体制となる。ボディ剛性の向上、安全装備の充実、ターボ車および6気筒車のATの5速化を図りながら、アルミニウム等の軽量パーツや高張力鋼板を各所に導入し、3代目と比してグレードによっては100kg近くの軽量化を達成している。3ナンバー化によって対衝突設計の自由度が高まったことなどから軽量化を実現した。また、車体幅を増加で前輪舵角が確保できるようになったため、最小回転半径は5.6m(BE/BH型)から5.4mに小さくなった。 2代目、3代目と低速・低回転時のトルク確保のために採用していた2ステージ・ツインターボだが、加速が息をつくこと(ターボ切換えの息付き、トルクの谷間)を指摘され続けていた。本モデルでは初代以来のシングルタービンが採用されたが、ツインスクロールターボによって、わずか2,000rpmで30kg·mを超える最大トルクを発生させ、高回転仕様の水平対向エンジンとシングルタービンの弱点を克服した。また、ドライブ・バイ・ワイヤ機構「エレクトロニック・スロットル・チャンバー」を採用し、電子制御式スロットル仕様となった。これらにより以前からのEJ20型エンジンもパワーに加えスムーズさや低燃費をも兼ね備えた。また、既にインプレッサのSTIモデルで先行採用されていた「等長等爆エキゾーストマニホールド」を採用。これにより水平対向エンジンの宿命と言われた「排気干渉」を防ぐとともに、燃焼効率の向上を果たした。なおインテークマニホールドを樹脂にすることで複雑な形状の成型にも成功した。 欧州では、2006年にドイツ向けを中心とするディーラーオプションとしてLPGとのバイフューエルとなる「スバル・エコマチック」が投入された。取り扱い全車種にLPGバージョンを設定したのは欧州スバルが最初である。 2006年5月のマイナーチェンジにあわせ、一部グレードのエンジンのシリンダー研削にELIDホーニングを採用する。これにより1気筒あたりの加工時間がほぼ半減されたほか、シリンダー壁面の面粗度や加工精度の向上により、同排気量の他社製エンジンに水をあけられている燃費改善の一助とする。 2008年には量産車用としては世界初となる水平対向ディーゼルターボ仕様も欧州向けに発売されている(レガシィの他、フォレスターにも同エンジンが追加された)。2.0Lの排気量から150psの最高出力と35.7kg·mの最大トルクを発生。排ガス規制はEUのユーロ4に対応している。 STIによる限定コンプリート車として2005年、2006年、2007年に「tuned by STI」、2008年に「S402」が発売された。どちらも元富士重工業車両実験部のチーフテストドライバーである辰己英治によって纏め上げられている。「tuned by STI」は専用のビルシュタイン社製ダンパー、フレキシブルタワーバーなどを採用したほか、タイヤサイズが変更 (215/45R18) され600台の限定販売。S402は、エクステリア および インテリアに専用装備が採用され、235/40R18というタイヤを収めるためにフロントには片側20mm拡幅されたブリスターフェンダーが装着された。パワーユニットは輸出用の水平対向4気筒2.5Lターボを改良し搭載。tuned by STI2007で採用されたフレキシブルタワーバー(フロント)のほか、新たに採用されたフレキシブルロアアームバーとフレキシブルフロアバー(リヤ)により、応力を「いなす」セッティングが施されている。また、BBS製ホイールや、インプレッサ・タイプRA-Rで採用されたブレンボ製ブレーキディスクと対向6ポットモノブロック・キャリパーが採用され402台の限定生産とされた。 2008年にはBL5の2.0GTが高速道路交通警察隊用のパトカー「交通取締用四輪車(高速II型)」として6台が国費導入されており、2021年現在も山口県警が使用している。これは近年の警察車両では珍しいMT車となっている。 レガシィは過去3回のフルモデルチェンジを4 - 5年で行ってきたが、スバル初のミニバンであるエクシーガの開発があったことと、BP/BL型の完成度の高さから安定して人気を保っていたためか、この代は約6年にわたって販売が続けられ、歴代の中でも最長のモデルライフとなった。 先述したとおりこの型式から日本国内向けモデルは全て等長エキゾーストマニホールドを採用したため、独特な排気音(通称ボクサーサウンド)は消滅してしまったが、限定モデルのアウトバック2.5XTのみ不等長エキゾーストマニホールドとシングルスクロールターボの組み合わせを採用した日本国外向けEJ25ターボエンジンを転用したため、ボクサーサウンドを聞くことができる。 販売終了前月までの新車登録台数の累計は28万8889台。
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