研削・研磨加工
研削加工は本質的に切削加工の一つであり、被工作物を削り目的の形状を得るという点では、多数の刃先を持つフライス加工と砥石を用いる研削加工とはよく似ている。
しかしながら、砥石の特性として、砥粒よりも硬度のある素材の加工が可能であること、砥粒が摩耗しても新たな砥粒が砥石内部より現れるため、刃先のように再研磨が必要で無いことがあり、また砥粒切れ込み深さが微少であっても切削できることから良好な加工精度、仕上げ面粗さが得られる。
同じく砥粒を用いて広義の切削加工を行うものが研磨であるが、研削加工が固定された砥石を用いて削り加工を行うのに対し、砥粒が固定されず加工されるものを研磨加工と呼ぶ。研削加工では砥石には回転運動が与えられ、砥石内の砥粒で工作物の表面を削り、その面を平滑にし、精密に仕上げられる。
研削砥石は切れ刃に相当する砥粒、砥粒を保持する結合材と、研削時の微少切り屑や研削油をためる気孔からなる。砥石の性能は、砥粒種類(アルミナ、ダイヤモンド、CBNなど)、粒度、結合材種類(ビトリファイド、レジノイドなど)、砥粒保持力、砥石組織による。
研削加工では、切削速度が非常に速く、研削点の温度が高くなるため、研削性能のよい研削液を必要とする。
研削加工の種類には、平面研削、円筒研削、心なし研削、内面研削などがある。
平面研削盤を用いて、主として工作物の平面を研削する。 | 平面の研削。 | |
円筒研削盤を用いて、主として円筒工作物の外面を研削する。 | 円筒外面の研削。 | |
センターレス研削 | 主として円筒工作物を調整車、支持刃と研削砥石で支えて外面を研削する。 | ピンやパイプなど支持が困難な円筒工作物の研削。 |
内面研削 | 工作物の穴の内面を研削する。 | 穴の内面の研削。 |
バレル研磨 | バレル内に工作物、砥粒と媒材を入れ、バレルに回転又は遊星運動を与えて研削する。 | 小物、複雑形状品の外面研磨。 |
用語解説
研削
研削加工
(研削 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 08:59 UTC 版)

特徴
- 砥石車は多数の微小な切れ刃からなり、切れ刃あたりの除去量が非常に小さいため加工精度や、面粗度が優れている。
- 切れ刃は非常に硬いため通常の切削工具では加工できない高硬度の材料も加工することができる。
- 砥石車は多くの場合30 m/sの周速度で回転され、これは切削加工のおよそ10倍である。このため微小な切れ刃でも加工能率はそれほど劣らないが、それに伴う発熱は非常に大きいため加工点には研削液と呼ばれる冷却水を大量に供給して冷却しながら加工する必要がある。
- 砥石車には酸化アルミニウムや炭化ケイ素、またダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素(CBN)などの極めて固い鉱物が砥粒として用いられ、それらは結合材と呼ばれる樹脂や軟質金属によって結着され砥石車を形成する。
用語
- 自生作用
- 加工によって砥粒の切れ刃は磨耗し研削抵抗が増すと破砕を起こして新たな切れ刃を形成する。つまり多数の切れ刃が次々と自己再生して切れ味を保つ。これを自生作用と呼び研削加工の特徴のひとつである。
- 形直し
- 自生作用により切れ味は維持されるが、砥石車の形状が崩れてくるために形直し (truing) が定期的に行われる。形直しは通常数カラットのダイヤモンド粒を高速回転する砥石車に押し付けながら相対的に移動し、砥粒を脱落させて所定の形に整形する。これは砥石車を回転軸に取り付けた際にも振れを除去するために行われる。
- 目立て
- 形直し後に切れ刃が形成されていない場合や加工条件により自生作用が十分に働かないときには目立て (dressing) を行う。目立てによって磨耗した砥粒や余分な結合材が取り除かれ、切れ刃が露出する。
参考文献
- 庄司克雄 『研削加工学』 養賢堂、2004年。
関連項目
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品詞の分類
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